アラビア語学科の先輩に教えてもらった動画です。2012年2月7日、エジプトの人民議会で、マムドゥーハ・イスマーイール議員が、アスル(午後)の礼拝のアザーンを唱え始め、ムハンマド・サアド・エル=カタトニ議長(ムスリム同胞団の自由公正党)の止めるのも聞かず、アザーンを朗誦し続けたというものです。
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نائب يرفع الأذان أثناء الجلسة ومشادة مع الكتاتني
私はてっきり、サラフィー主義のヌール党(光の党)の議員かと思ったのですが、
ウィキペディアによると、アサーラ党(حزب الأصالة 、アサーラとは、高貴な生まれであること、あるいは深く根付いていること)という別の党の党員。サラフィー主義に傾倒した弁護士で、エジプトのイスラム集団を弁護したことで知られるそうです。1月25日革命直後、ナフダ党(復興党)という政党を組織したものの、2011年9月にはアサーラ党と合併、マムドゥーハ自身は副党首となったとのこと。
そのアサーラ党というのは、同じく
ウィキペディアによると、イスラーム主義政党。美徳党(حزب الفضيلة)の党首だったアーデル・アブデルマクスード・アフィーフィー少将が、美徳党から分かれた執行部のメンバーたちとともに、2011年7月、アサーラ党を結成。2011年10月23日、ヌール党(サラフィー主義政党)と建設・発展党(イスラーム集団の政党)とともに、「イスラーム・ブロック」の同盟を組んだものです。
アザーン朗誦事件については、上記
ウィキペディアのマムドゥーハ・イスマーイールの項にも説明が少しありますし、
Library PressDisplayで検索したところ、いくつかの新聞記事もヒットしてきました。
アッ=シャルク・ル=アウサト(中東新聞、ロンドン)の2012年2月8日号の「マムドゥーハ・イスマーイールはアッ=シャルク・ル=アウサトに”私はアザーンを続ける”と」という見出し一面記事では(記事では「サラフィー主義のアサーラ党」と明記)、
エジプトの人民会議(国会の下院)のサラフィー主義の議員マムドゥーハ・イスマーイール ―ー昨日、議会の審議中にアスルのアザーンを朗誦した― は、稀な事態に、以下のように言った: 自分は、議長ムハンマド・サアド・エル=カタトニ ―同胞団の指導者― への、礼拝の時刻に議会の会合を立たせるという自分の要求を貫徹する。
そして、「もし、ムスリム同胞団が多数を占める議会が自分を罰するなら、それは(同胞)団史上の不名誉となるだろう」とも述べたとのこと。対するエル=カタトニ議長は、マムドゥーハ議員の行動を誇張とみなし、「彼は、イスラームにおいて、我々に勝るものではない」と言ったそうです。
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選挙中に、エジプト人のお兄さんたちに聞いた話その1)
ムスリム同胞団とヌール党は、同盟はしていないけれど、時折、協力はしている。例えば、ムスリム同胞団の候補が、ある選挙区で当選の見込みがないとき、他の政党に議席を取られるくらいなら、ヌール党の議員が当選してくれた方がましなので、決選投票などで、ヌール党の候補に投票するように、支持者に指示する。逆もまた然り。彼らは、組織力があるので、こういうことが可能である。
選挙中に、エジプト人のお兄さんたちに聞いた話その2)
ムスリム同胞団とヌール党が、選挙で協力するなんてあり得ない。お互いに嫌い合っているのだから。
→このアザーン事件を見ると、「その2」が正しかったような気がしますが、さて。
選挙中に、エジプト人のお兄さんたちに聞いた話その3)
イスラーム系の政党は、国民に、調理油やお砂糖を配って、自分たちの候補に投票するようにと呼び掛けている。本当は違反だが、実際にはそういうことがまかり通っている。テレビで見たが、投票所から出てきた人に、どの党に投票したかとインタビューしたら、その人は、自分が何党に投票したのか、党の名前が言えなかった。
※エジプトの選挙では、非識字者用に、各候補者に記号(ラケット、ランプ、など具体的な物の絵)を与えているので、このようなことはあり得る。
【追記】 ちなみに、カイロの在留邦人の方によると、当日のアスルは、午後3時14分だったとのこと。