週末ソウル

見てきた夜を全て教えて。

『メンタル三兄弟の恋』@アートスフィア

2005年04月27日 | 演劇
一度観てみたかったシティボーイズ、ついに行ってきました。
天王洲アイルにある劇場。初めて行った。モノレール嫌いなんだよね。
羽田空港に続くこの電車は、あたしの忌まわしい過去を思い出させるの・・・。

まぁそれはいいとして。
初日だったこともあるでしょうが、おじさんの悲哀を見ました。。。
台詞飛びまくりの噛みまくり。んもぅ特に斉木しげるはひどい。
大竹まことなんて堪え切れなくて笑っちゃってたもの。あたしも笑ったけど。
シティボーイズってコントなのね。知らなかった。お芝居するのかと思ってた。
とにかく笑ったけど、期待してたほどは面白くなかったかな~。

メンタル的に問題のある三兄弟の妄想コント。パッションとポエム。
隣にいた若い男の人と前にいた若い男の人が、大して面白くもないシーンで
ケラケラケラケラ笑う。。。気になってしょうがない。会場全体がそう。
みなさん温かい。シティボーイズ、ファンに愛されてるわー。って思いました。

うん、でもまぁ面白かったけどね。おじさんって可愛いよね。
きたろうも数回すべってたけどさ。可愛かったよ。

一番笑ったのが斉木しげるの「不動明ショー」あの人、本物の変人だ。
変人だけど、男前。今日は斉木しげるが男前だということに気づいた日。

『桃』 姫野カオルコ

2005年04月25日 | 読書
処女作の『ひと呼んでミツコ』以来、あたしの中であまりパッとしなかった姫野さん。
文章はものすごく面白いし、センスいいな趣味いいなーって思ってたんだけどね、
いまいち小説はあたしの好きな感じが少なかった。
それが、前作の『ツ、イ、ラ、ク』が劇的に良くて、なので今回も期待してました。
姫野さんの小説って、随所に「主人公=作者」という図式が見られるんだけど、
で、多分ご本人が結構な歳いくまで処女だったのか深い恋愛をしたことなかったのか、
ものすごくひねくれてたんだよね、恋愛やセックスに対して。それが面白味でもあったんだけど。
それが、『ツ、イ、ラ、ク』では長くて切なくて重い、恋愛が描かれててすごく良かった。

今作は関西の田舎町の中学校を舞台にした連作短編集。
女生徒と教師の恋愛ゴシップを軸に、それぞれの回想風になっている。
これはまさに『ツ、イ、ラ、ク』と同じ題材。読み始めてすぐに「同じじゃん…」と。
そしたら本人もあとがきにそう書いてた。続編みたいな感じらしい。なんで?
よっぽど作者も気に入った小説だったのかしら。

それにしても、また『ツ、イ、ラ、ク』を読みたくなったのでした。



角川書店

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『雨と夢のあとに』 柳美里

2005年04月21日 | 読書
なんか不思議な小説だったなー。。
柳美里の小説は数冊しか読んだことがなく、それも結構前のことなのであまり印象がなく、
なんとなく彼女のマスコミ的イメージで敬遠してたかもしれない。
それが今回、唐突に読んでみる気になったのはなんでだろう。
そっか、何日か前にTVで偶然、彼女のインタヴューを見たからかもしれない。

あたしはよしもとばななとか田口ランディみたいなオカルト系が好きじゃない。
霊とか魂とか、信じないわけじゃないけど、それを題材にするのは好きじゃない。

今作はあたしにしては珍しくあとがきを先に読んだ。
それによると柳美里があとがきを書くのは初めてらしい。
多分、それを読んだからかもしれない。こんなに、受け入れられたのは。
悲しいけど、夢のような小説。世の中に起こることみんな、信じられるような。

取材、すごくしたんだろうけど、柳美里はイマドキの小学生を熟知してるよう。
確かにね、小学生のときってこういうことにこういう風に反応したり思ったりしてた。
・・・気がする・・・いかんせん昔のこと過ぎて覚えてないけどね。

大切な人を残して死ぬのは嫌だなー。残されるのはもっとずっと、絶対に嫌。

雨と夢のあとに

角川書店

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『古道具 中野商店』 川上弘美

2005年04月18日 | 読書
相変わらず、川上弘美いいです。
いつからだろう、川上弘美を好きになったのは。
処女作の『神様』や芥川賞をとった『蛇を踏む』から読んでるけど、
これらはそんなにあたしの好みじゃなかった。あまり面白く読めなかった。
それが、月並みだけど『センセイの鞄』からグッときて、それ以来、新作が出れば必ず読む。

今作もとても良かった。
ものすごく小さな居心地のいいコミュニティで密に毎日を過ごす。
一緒にいる人のすべてを知ってるような錯覚を持ち、安心していられる。
あたしも前にそんな数年間を過ごしたことがあるから、よくわかる。
生き難い人ほど、そのコミュニティを誇りに思っちゃうんだよね・・・。
そういうのって、例えば学生時代のコミュニティとはちょっと違って、
大人になって自分を知った分、余計に居心地良く感じるし、失うのが嫌なんだと思う。
この小説はそんな温い大人の小さなコミュニティでのお話。

好きな人に急に受け入れてもらえなくなったときの、苛々して頑なに執着しちゃう
悲しい感じが、これまたよくわかる。
それと、解散してそれぞれが違う生活に入っていった後の埋まらない感じも。

57~58ページにかけての数行は、あたしが先日友人に力説したのと同じことが書いてあった。
そうなんだよ、これが言いたかったの。
なんて、この小説には、そうなの何で知ってるの?、がたくさんあった。


古道具 中野商店

新潮社

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『袋小路の男』 絲山秋子

2005年04月16日 | 読書
なんかこの話嫌いだな~。
あたしはだいたい片思いってのが好きじゃない。
更に「実らなくてもずっと思い続ける」ってのも好きじゃない。
だから、小田切をずっと思い続けてる彼女にも苛々したし、
10年以上ものらりくらりと彼女と付かず離れずしてる小田切にも不愉快になった。
なんかこういうのが世間で理想の関係とか思われてたら嫌だな。

また小田切の生業がよくない。
アルバイトでバーテンダーをしながら、小説を書いてる。
もういかにもじゃん。ちょっと変わってて難しくてナイーブな俺様、みたいな。
だから俺様を好きな女にあいまいな態度をとってても許されちゃう。
いや、彼も彼で色々思うところあると思いますがね。なんせ「袋小路」の男だし。

あたしは、恋愛関係で確実に一方的に優位に立ってる人を見ると無性に不愉快になる。

あ、でもこれって、彼女が「袋小路の男」って思ってるんだよね。
もしかすると、この二人の関係で優位に立ってるのは彼女かもしれない。
自分がいなきゃ、より駄目になるとでも思ってるのかもね。

なんだかんだ言ったけどさ、あたしもこういう男、好きになりがちなんだよね・・・。
でも、ヒステリックなあたしの性格を考えると、こういう男とは絶対うまくいかない。
というジレンマがあたしを不愉快で意地悪な気持ちにさせるのかも。嫉妬。

あたしは、心が健全な男の人が好き。その点で現実のあたしは恵まれている。


袋小路の男

講談社

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『乱暴と待機』@新宿シアターモリエール

2005年04月15日 | 演劇
初めての「劇団 本谷有希子」面白かった。予想以上にかなり、面白かった。
なんだか金曜の夜に一人でお芝居観に行くのが億劫に感じ、どうしようかなー、
3500円だし、行かなくてもいいかなー、と揺れたのを鼓舞して、本当に行って良かった。

馬渕英里何が主演の四人芝居。
12年前の交通事故で足を悪くした男と、その事故に居合わせた女。
無用に恨み復讐を誓う男と、それを待つ女の奇妙な同居生活。
そこに、二人の同居生活に興味をもったカップルが混ざり・・・関係は複雑に。
とにかく、話自体はシュールなんだけど、引き込まれ飽きない。
台詞や演出もいいし、セットが良かった。本谷有希子、好きかも。

とにかく、馬渕英里何が最高でした。
体を張ったギャグにコント、泣いて喚いて、果てはおしっこもらしてました。
いい女優さんだなーと思ったし、本谷有希子はうまく使ったなーって思った。

印象に残った台詞は、馬渕演じるナナセの「私は面倒くさい女だ、だけど
面倒くささ込みで大丈夫って言ってほしかった、受け入れてほしかった」と言うもの。
妙にジーンときて、あたしなんて面倒くさいだけの女だなー、と思ってしまった。
丸々受け止めてくれる人がいて良かったなー。でも今日は朝帰りのようですけど、その人。
朝まで飲むと今電話があり、せっかくの金曜日なのになーとしょんぼり。。。

次回は吉祥寺に新しくできる劇場で公演するらしいので、また観に行きたい。劇団 本谷有希子。

『傷口にはウォッカ』 大道珠貴

2005年04月13日 | 読書
変なおばさんの話。変な、というか、既に変人の域に入ってる。
とにかく大道珠貴の描く女の人はみんな変。きっと大道珠貴も相当変だと思う。
だからか、あたしはいつも大道珠貴の小説を読んでると、自然に彼女をイメージしてる。

中年って男も女も気持ち悪いよね。なんか最近は特に女の中年が気持ち悪く感じる。
おばさんの性欲とか恋愛とか、容色を伴ってない分、リアルに気持ち悪い。

あ~でもあたしも少しずつ近づいているのよね。中年かー。
ピチピチしてればきれいってわけじゃないけど、汚くなりたくないなぁ。

傷口にはウォッカ

講談社

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『しかたのない水』 井上荒野

2005年04月12日 | 読書
井上荒野は好きなので、新刊は必ず読んでる。
今作は同じフィットネスクラブに通う人たちのそれぞれの物語。連作短編集。

今日は角田光代の『人生ベストテン』を読んですぐこれも読んで、
文章の感じとか雰囲気とかは似てないはずなんだけど、なんとなく風景が似てる。
なので、読後感が同じというか、感想が混ざるというか・・・。頭がごちゃごちゃしてる。

なんか、ほんとに、みんな変。みんな変だよ!って思う。
だけど、きっとあたしも変だと思うの。人から見たら人って変なんだよ。
前にあたしのゼミの先生が、「小説とは、人生の平凡なことをいかに平凡に書くかだ」
というようなことを言ってたんだけど、確かにね。最近は本当にそう思う。
誰かの日常は誰かにとってはおかしく見える。でも、それをありのままに書くのが小説。
そして、それを読むのが、読書。

しかたのない水

新潮社

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『カナリア』@新宿武蔵野館

2005年04月12日 | 映画
久々に新作映画を観た。
塩田明彦監督はあたしは初めて。
この『カナリア』は、オウムをモデルにしたカルト教団で育った12歳の男の子と、
家庭に問題があり援助交際に奔る12歳の女の子の、大阪~東京へのロードムービー。
前にオウムの事件についてのノンフィクションや、『カルトの子』というノンフィクションを
読んだことがあるので、あたしはわりと前知識がある。とにかく、読後感は最悪だったけど・・・。

で、この映画。
主人公の光一役が石田法嗣、ユキ役が谷村美月、という若い二人。
石田法嗣くんは『バーバー吉野』でも観たけど、ずいぶん大人っぽくなりました。
顔つきが精悍になって、前はコミカルな映画・役柄だったってのもあったけど、
今作では眼光鋭いハンサムな男の子に成長しておりました。
谷村美月ちゃんは、ものすごく美人。演技も立派で、非常に感心いたしました。

何度も思い出したのは『誰も知らない』のこと。テーマ的に非常に似通ったものがあると思う。
つまりは、バカな大人のせいで、子どもは苦労するってこと。悲しんでるってこと。
大人がバカでも、子どもは立派に生きていけるってこと。むしろ、大人いらないかも。
『誰も知らない』のキャッチに「生きているのは、大人だけですか」
というようなのがあったけど、今作でも観てる間にそのキャッチが頭の中に浮かんだ。

水橋研二が教団幹部役で出てて思わず笑ってしまった。。。でも可愛かったけど、相変わらず。
あと、りょうとつぐみの出てきた意味が少々不可解です。そして最後の白髪も。

映画館に主役二人のインタヴュー記事が貼ってあって、読んでみると、
二人はなんとあの地下鉄サリン事件を知らないと言う。なんかショックだった。

『人生ベストテン』 角田光代

2005年04月12日 | 読書
直木賞受賞後第一作。短編集。
角田光代は、前は若者ばかりを書いていたけど、最近は30~40代の話が多いなー。
どの短編もシュールに感じた。でも、現実なんだよね。誰かの普通の生活を切り取ると。

人ってみんなこんなに不幸なのかな?
誰かに自分の生活を話して聞かせたら、毎日自分が考えていることを包み隠さず話して聞かせたら、
それは不幸に聞こえるのかもしれない。
楽しいことは人生のほんの一部。現実は、なんだかみんな変なのかもしれない。

人生ベストテン

講談社

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