都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「博物館に初もうで」 東京国立博物館 1/2
東京国立博物館(台東区上野公園)
「博物館に初もうで 新春特別展示『犬と吉祥の美術』」
1/2~1/29
東京国立博物館の通称(?)「初もうで展」では今、新春特別展示の「犬と吉祥の美術」が開催されています。出品作品は、戌年やお正月にちなんだ埴輪や絵画、工芸など、計51点(作品リストはこちらへ。)です。またこの日(1/2)は、「美術館・博物館へ行こう」という企画により、何と観覧無料でした。あいにくの天候ながらも、会場では美しい生け花が並んだり、獅子舞の演舞があったりと、お正月ムード満点です。なかなか賑わっていました。
私が最も期待して行った作品は、もちろんお馴染みの伊藤若冲から、「松樹・梅花・孤鶴図」です。ピンと伸びた細い足に、一筆で処理したような丸い胴体、そして横を向く嘴の尖った小さな頭。アニメーション的とも言える表現の鶴が、一羽、松や梅に囲まれて立っています。鶴は、ちょうど作品の奥に向かって屈み込んで、ヒョイと頭を横へ上げたのでしょうか。体つきは半ばデフォルメされたかの如く滑稽に見え、リアリティーはありません。また、「ゲジゲジのよう。」と、キャプションではかなり失礼な(?)言葉で説明されていた松葉は、一つ一つがまるで鳥のように羽ばたいて、(特に上の方の葉は、今にも飛び上がりそうなほどです。こうもりにも見えます。)ササッと、筆の跡を残しながら、動きを見せて描かれています。そして、そのような鶴や松の伸びやかな表情と対照的なのは梅の花です。こちらは比較的丹念に、カクカクとした輪郭線にて、画面にへばりつくかのように描かれます。決して目立った表現ではないものの、全体としてはどことなく荒々しい印象の作品に、良いアクセントをもたらしているようにも思いました。(ちなみに、常設展示での若冲の「鶴図」は絶品です。また後日記事にしたいと思います。)
会場にて最も人だかりが出来ていたのは、ムクムクとした可愛い子犬が戯れている、円山応挙の「朝顔狗子図杉戸」です。まさしく杉戸に直接描かれた朝顔と子犬たち。白い子犬と茶色の子犬は皆じゃれって、すっかり寛いだ様子を見せています。また、朝顔の青みが、思いの外美しく発色していました。犬の可愛らしさに負けない存在感です。
入口すぐ横に展示されていた、後漢の時代の「緑釉犬」にも目が引かれました。すぐに犬かどうか判別が付かないほどに、大きな四角い頭を持つ犬の置物(?)。犬はおそらく番犬とのことでしたが、表情は確かに獰猛で、開けた口からは、牙のような鋭い歯も見えます。短く丸まった尾と、クルッと下を向いた耳が可愛いのはご愛嬌ですが、その形の異様さに惹かれる作品でした。
今年初めてこの「初もうで展」へ行きました。特別展示のボリュームこそ決して大きくはないものの、圧倒的な常設展示も同時に(しかも無料で!)見られるとのことで、正月早々から、美術三昧の充実した一時を過ごすことが出来ます。既に新春イベント(獅子舞など。)の殆どは終了していますが、特別展示は29日までの開催とのことです。
「博物館に初もうで 新春特別展示『犬と吉祥の美術』」
1/2~1/29
東京国立博物館の通称(?)「初もうで展」では今、新春特別展示の「犬と吉祥の美術」が開催されています。出品作品は、戌年やお正月にちなんだ埴輪や絵画、工芸など、計51点(作品リストはこちらへ。)です。またこの日(1/2)は、「美術館・博物館へ行こう」という企画により、何と観覧無料でした。あいにくの天候ながらも、会場では美しい生け花が並んだり、獅子舞の演舞があったりと、お正月ムード満点です。なかなか賑わっていました。
私が最も期待して行った作品は、もちろんお馴染みの伊藤若冲から、「松樹・梅花・孤鶴図」です。ピンと伸びた細い足に、一筆で処理したような丸い胴体、そして横を向く嘴の尖った小さな頭。アニメーション的とも言える表現の鶴が、一羽、松や梅に囲まれて立っています。鶴は、ちょうど作品の奥に向かって屈み込んで、ヒョイと頭を横へ上げたのでしょうか。体つきは半ばデフォルメされたかの如く滑稽に見え、リアリティーはありません。また、「ゲジゲジのよう。」と、キャプションではかなり失礼な(?)言葉で説明されていた松葉は、一つ一つがまるで鳥のように羽ばたいて、(特に上の方の葉は、今にも飛び上がりそうなほどです。こうもりにも見えます。)ササッと、筆の跡を残しながら、動きを見せて描かれています。そして、そのような鶴や松の伸びやかな表情と対照的なのは梅の花です。こちらは比較的丹念に、カクカクとした輪郭線にて、画面にへばりつくかのように描かれます。決して目立った表現ではないものの、全体としてはどことなく荒々しい印象の作品に、良いアクセントをもたらしているようにも思いました。(ちなみに、常設展示での若冲の「鶴図」は絶品です。また後日記事にしたいと思います。)
会場にて最も人だかりが出来ていたのは、ムクムクとした可愛い子犬が戯れている、円山応挙の「朝顔狗子図杉戸」です。まさしく杉戸に直接描かれた朝顔と子犬たち。白い子犬と茶色の子犬は皆じゃれって、すっかり寛いだ様子を見せています。また、朝顔の青みが、思いの外美しく発色していました。犬の可愛らしさに負けない存在感です。
入口すぐ横に展示されていた、後漢の時代の「緑釉犬」にも目が引かれました。すぐに犬かどうか判別が付かないほどに、大きな四角い頭を持つ犬の置物(?)。犬はおそらく番犬とのことでしたが、表情は確かに獰猛で、開けた口からは、牙のような鋭い歯も見えます。短く丸まった尾と、クルッと下を向いた耳が可愛いのはご愛嬌ですが、その形の異様さに惹かれる作品でした。
今年初めてこの「初もうで展」へ行きました。特別展示のボリュームこそ決して大きくはないものの、圧倒的な常設展示も同時に(しかも無料で!)見られるとのことで、正月早々から、美術三昧の充実した一時を過ごすことが出来ます。既に新春イベント(獅子舞など。)の殆どは終了していますが、特別展示は29日までの開催とのことです。
コメント ( 6 ) | Trackback ( 0 )
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こんばんは。TB&コメントありがとうございます。
実はニアミスだったんですね!意外と世界は狭いものですね。
若冲の「松樹・梅花・孤鶴図」は初めて見ましたが、鶴の面白い描写や松の(「ゲジゲジ」はちょっとひどいっと思いましたが)一筆で一気に描いた感じとか逆に梅の緻密な描写は興味深く鑑賞しました。
西美とのハシゴで東洋館まで行けなかったのはちょっと残念でしたが、また日を改めて東博に行ってみたいと思っています。
あの鶴は脳裏に焼き付きますね。1/2に行かれたとのこと。無料で鑑賞出来たのは羨ましい限りです。それでも、通常展示を見る420円であれだけ楽しめたので大満足でした。
私も無料鑑賞デー狙ってたのですが、
母がハリポタ観たいというので、
そちらに行ってしまいました(^ ^;
国博は北斎とかも気になるので、いずれ常設展示を見に行きたいと思っています。
では、今年もよろしくお願いします(^ ^)
こんばんは。どうやらニアミスだったようです。
意外とこの世界は狭いようです!
>鶴の面白い描写や松の(「ゲジゲジ」はちょっとひどいっと思いましたが)一筆で一気に描いた感じとか逆に梅の緻密な描写は興味深く鑑賞しました
鶴の体つきはもうユーモアとしか言い様のないくらい、
丸く太っていて可愛かったです。
松の「ゲジゲジ」という説明書きには、
会場で「それはないだろう!」と突っ込んでおられる方がいました。
もちろん私もそれに同感です…。
それにしても東博の常設はもの凄いボリュームですよね。
しっかり見れば、一生かかりそうなくらいです。
@あおひーさん
コメントまでありがとうございます。
2日無料と言うのは、行く直前に知りました。ラッキーです。
でも仰られる通り、あんなにたくさんで400円ですものね。
とってもお得です!
@gemさん
あけましておめでとうございます。
ハリポタと東博ですか…。う~ん、困ってしまいますね…。
展示替えも頻繁なようですし、
東博は何回も足を運びたい場所だと思います。
私も実は法隆寺宝物館がまだなもので、
次回は必ずチェックしたいです!
それではこちらこそ、今年もよろしくお願いします。
応挙と若冲はずるいです・・・
あんな可愛い絵かいたら。。。
お出向きになられましたか!
東博にて「応挙と若冲」展を希望します!