「びょうぶとあそぶ」 東京国立博物館

東京国立博物館・本館特別4、5室
「びょうぶとあそぶ 高精細複製によるあたらしい日本美術体験」 
7/4~9/3



東京国立博物館で開催中の「びょうぶとあそぶ 高精細複製によるあたらしい日本美術体験」を見てきました。

複製と映像を用いて、屏風絵の世界を体感しようとする試みが、東京国立博物館の本館で行われています。

はじめの会場は特別5室の「松林であそぶ」、つまり長谷川等伯の「松林図屏風」でした。国宝にも指定された同博物館でも特に人気の作品です。毎年恒例、お正月の公開を心待ちにしている方も多いかもしれません。



暗がりの入口は「松林の道」でした。やや甘酸っぱい匂いが鼻に漂ってきました。ヒノキやレモン、それにユーカリなどによる香りの演出です。私自身、「松林図屏風」に香りを連想したことはありませんが、これも屏風を5感で味わうための仕掛けなのでしょう。さらに僅かな風も吹き、松の木を表した透明な布も垂れていました。どことなく幽玄です。夜の松林の中を彷徨い歩くような感覚に近いかもしれません。



肌と鼻を刺激する「松林の道」を抜けると、畳敷きのステージが広がっていました。中央に鎮座するのが「松林図屏風」です。もちろん複製です。それゆえにガラスケースもなく、剥き出しでの展示でした。

そして後ろには、高さ5メートル、直径15メートルにも及ぶ、半円型の大型スクリーンが設置されています。畳の上に座ることも可能です。「松林図屏風」の複製を目と鼻の先で見ること出来ました。



その複製からスクリーンへと松林図の世界が映像で広がりました。はじめは長閑な山水の景色です。水辺が開け、野山が連なります。そこへ桜色の色彩が加わりました。さらに季節は夏、秋へと進みます。いつしか朱に紅葉が色づきました。



景色はさらに変化し、鳥が松林の中へと飛んで行きます。所要時間はおおよそ10分です。普段は寡黙でかつ深淵な松林図が、映像の力を借りて、雄弁なまでに四季の情景を現していました。



第2会場は「つるとあそぶ」です。モチーフは尾形光琳の「群鶴図屏風」でした。原本はアメリカのフリーア美術館の所蔵です。同館のコレクションは門外不出のために、日本で実物を見ることは叶いません。そこを複製でじっくりと味わうことが出来るわけです。



「群鶴図屏風」の映像はシンプルでした。作中の鶴が壁一面に映し出されています。鶴は空から舞い降りたかと思うと、羽を休め、しばらくすると屏風へ向けて歩み出しました。まるで屏風へ吸い込まれていくかのようでした。



映像の前に立つと鶴が微妙に反応することに気づきました。インタラクティブな仕掛けなっているのかもしれません。



さらに「びょうぶにさわる」と題し、ミニチュアの複製屏風で遊べるコーナーも設置。通常とは異なった向きなどを自由に試すことも出来ます。

「名画の世界に入り込む、あたらしいアート体験」(解説より)と銘打った「びょうぶとあそぶ」。キヤノンの文化財複製プロジェクトこと「綴プロジェクト」とのコラボレーションでもあります。



「あたらしい」と感じるかどうかは個人差があるやもしれませんが、ぼんやりと映像を眺めているのも楽しく、何よりも高精細な複製品のクオリティの高さには舌を巻きました。一見の価値があります。

複製ゆえに空間の制約がありません。博物館外、例えばパブリックスペースなどで展開しても、面白いのではないかと思いました。



タイ展(特別展)、並びに総合文化展(常設展)チケットで入場可能です。ほかの観覧の際にあわせて見るのが良さそうです。



9月3日まで開催されています。

「びょうぶとあそぶ 高精細複製によるあたらしい日本美術体験」 東京国立博物館・本館特別4、5室(@TNM_PR
会期:7月4日(火)~9月3日(日)
時間:9:30~17:00。
 *毎週金・土曜は21時まで、日曜・祝日は18時まで開館。
 *入館は閉館の30分前まで。
休館:月曜日。但し月曜日が祝日または休日の場合は開館し、翌平日に休館。
料金:一般620(520)円、大学生410(310)円、高校生以下無料。
 *( )は20名以上の団体料金。
住所:台東区上野公園13-9
交通:JR上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成電鉄上野駅より徒歩15分。
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