都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
小倉遊亀の「浴女その一」 東京国立近代美術館から
東京国立近代美術館(千代田区北の丸公園)
常設展示
「小倉遊亀 -浴女その一- 」
年代を感じさせる白いタイル張りの浴室に、薄い桃色がかった肌を露とする女性が二名。湯には透明感溢れるエメラルドグリーンが配されていて、タイル目地が丸みを帯びながら揺らいだ線で描かれています。小倉遊亀(1895~2000)の作品は、東京国立近代美術館に五点ほど並べられているようですが、私はいつも、この「浴女その一」(1938)の美しく上品な味わいに惹かれます。
この作品の一番素晴らしい点は、何と言っても浴槽にはられた湯の透明感ではないでしょうか。瑞々しいばかりの淡く優しい緑色を帯びた湯が、浴槽の床のタイル目地をゆらゆらと揺らげて、実に深い質感をもたらしている。また、そのたっぷりとはられた湯は、その色合いから想像もしにくいような温かさを感じさせます。さらに、今にも入浴しようとする女性は、その横顔が穏やかで、何とも言えない幸福感を発露しているかのようです。また背中を見せているもう一人の女性の、足を組みながら湯と戯れている姿も美しいものです。全体の色彩の透明感と、クッキリと描かれた輪郭線のバランス感覚。他ではなかなかお目にかかれないような味わい深い作品です。
調べてみると、この美術館では三年前に、小倉の大規模な回顧展が開催されたそうです。残念ながら私は、その時まだ彼女の魅力に気がついていなかったので見損ねてしまいました。またの機会にでも是非、まとまって小倉の作品を拝見してみたいものです。
*「浴女その二」についての記事はこちらへ。
常設展示
「小倉遊亀 -浴女その一- 」
年代を感じさせる白いタイル張りの浴室に、薄い桃色がかった肌を露とする女性が二名。湯には透明感溢れるエメラルドグリーンが配されていて、タイル目地が丸みを帯びながら揺らいだ線で描かれています。小倉遊亀(1895~2000)の作品は、東京国立近代美術館に五点ほど並べられているようですが、私はいつも、この「浴女その一」(1938)の美しく上品な味わいに惹かれます。
この作品の一番素晴らしい点は、何と言っても浴槽にはられた湯の透明感ではないでしょうか。瑞々しいばかりの淡く優しい緑色を帯びた湯が、浴槽の床のタイル目地をゆらゆらと揺らげて、実に深い質感をもたらしている。また、そのたっぷりとはられた湯は、その色合いから想像もしにくいような温かさを感じさせます。さらに、今にも入浴しようとする女性は、その横顔が穏やかで、何とも言えない幸福感を発露しているかのようです。また背中を見せているもう一人の女性の、足を組みながら湯と戯れている姿も美しいものです。全体の色彩の透明感と、クッキリと描かれた輪郭線のバランス感覚。他ではなかなかお目にかかれないような味わい深い作品です。
調べてみると、この美術館では三年前に、小倉の大規模な回顧展が開催されたそうです。残念ながら私は、その時まだ彼女の魅力に気がついていなかったので見損ねてしまいました。またの機会にでも是非、まとまって小倉の作品を拝見してみたいものです。
*「浴女その二」についての記事はこちらへ。
コメント ( 10 ) | Trackback ( 0 )
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>全体の色彩の透明感と、クッキリと描かれた輪郭線のバランス感覚。
そうですよね、この感覚が和風の絵に独得のモダンナ雰囲気をもたらしているように思います。
それと湯の色が爽やかな緑を感じさせるとともに、妙に深くて妖しい。これもたまりません。
こんにちは!
とっても素敵な絵画をご紹介してくださって
ありがとうございます。男性が画いたにしては
すごく女性的な色彩と感性がある人だわ!って
思っていたら、女性の作家でしたね(*'ー'*)♪
湯船の透明感ある色にはハッとさせられますね!
他の作品も鑑賞したくなるような美しい絵画
ですね~
>和風の絵に独得のモダンナ雰囲気
なるほど、モダンですか!
確かにそうですね!
さすがのご指摘、ありがとうございます!
しかしながら、湯の爽やかな緑色は何度見ても美しいです…。
他の作品も見てみたいです。
>女性の作家でしたね(*'ー'*)♪
そうなんです。女性の方です。
私もこの記事を書くまで、気がつきませんでした…。
>湯船の透明感ある色
この色、もう何とも上品な味わいです。
Juliaさんもぜひご覧なってください。
きっとお気に入り下さることと思います。
その一は日本画の傑作ですね。昭和の日本画
100選にも選ばれています。この絵を
東近美で観た時の衝撃を今でも鮮明に覚えてます。湯船の水面がゆらゆらしているように
見えるのが感動的でした。凄い絵です。
>昭和の日本画100選にも選ばれています。
何と!そのような栄誉にも輝いている作品だったのですか。
何度見ても湯船の色合いと質感にはうっとりさせられます。
本当に凄い絵です。
こんばんは~!
このお写真を観てから一目惚れした
小倉遊亀ですが、本日三越の展覧会へ
行って参りました。
この作品はありませんでしたが、
全体的に素晴らしい作品ばかりで
日本画の美しさをさらに開眼された
所です。
また、リンクとTBもさせて頂きます。
本当に紹介してくださって改めて
感謝しま~す
TB致しました。よろしくお願いします。
この作品のために出かけたといっても過言でもないのに、ありませんでした。。。それどころが、小倉遊亀の作品は今回1作もなくて、ショックで帰ってきました。次は来月末の入れ替えだそうですが、「事前にインターネットで内容がわかります」と親切に教えてくださったのですが・・・。私も早く鑑賞したいです。「そのニ」の方は以前鑑賞できました。今年は小倉遊亀の明るく大胆な世界にも浸っています。
「その一」、また出ておりませんでしたか…。残念です。
私が見た以来、どうやら展示がされていないようですが、
それなのに無責任に紹介してしまい、申し訳ありません。
個人的には何時行っても、展示して欲しい作品なのですが、
そうはいかないのでしょうね…。