「阿修羅~天平乾漆群像展」 興福寺仮講堂

興福寺仮講堂
「興福寺国宝特別公開2017 阿修羅~天平乾漆群像展」 
3/15~6/18、9/15~11/19



興福寺仮講堂で開催中の「興福寺国宝特別公開2017 阿修羅~天平乾漆群像展」を見てきました。

天平の仏像彫刻でも特に有名な阿修羅像はかつて興福寺の西金堂に安置されていました。

旧西金堂の建立は734年です。藤原不比等の娘である光明皇后が、亡き母の橘三千代の冥福を祈って建てました。当時は釈迦如来をはじめ、両脇侍、十大弟子、四天王像、そして阿修羅を含む八部衆像などが配置されていました。

興福寺は度重なる火災に見舞われます。平安時代に2度、鎌倉時代に1度被災。その都度、八部衆像や十大弟子が救出されました。とはいえ、お堂は再び江戸時代の出火によって焼失。資金難のために再建されることはありませんでした。



現在では通常、阿修羅像などの八部衆像は、国宝館で公開されています。しかし国宝館は今年一年、耐震改修工事のため休館中です。見学することは叶いません。

その休館を機に行なわれているのが「天平乾漆群像展」です。普段、非公開の仮講堂を開放した上、国宝館の諸仏像を移し、旧西金堂の宗教空間を蘇らせています。



仮講堂は中金堂の北側です。中金堂は2018年の落慶に向けて復元工事中。仮講堂の真東には同じく工事中の国宝館があります。



チケットブースは仮設でした。拝観料を支払った後、仮講堂内へと入場。受付ともスムーズです。行列などは一切ありませんでした。

思わず息をのみました。講堂内部には「濃密」(解説より)な天平の空間が現出しています。中央に鎮座するのが阿弥陀如来坐像でした。作は鎌倉時代。かつては興福寺の子院の本尊として伝えられ、仮堂、そして国宝館へと移された後、今回、仮講堂の本尊として迎えられました。



四方を固めるのが四天王像です。いずれも同様に鎌倉時代の仏像です。運慶の父、康慶一門によって造られ、かつては南円堂に安置されていたと言われています。旧西金堂には天平の仏像だけでなく、金剛力士像などの鎌倉彫刻も少なからず収められていました。



阿修羅を含む八部衆像は前列での展開です。元はインド神話の神々でしたが、仏教に帰依して守護神と化します。確かに阿弥陀如来を背景に立つ姿は場に相応です。左右に4体ずつ並んでいます。阿修羅は左手前でした。表情は憂いを帯びています。そして華奢です。俄かには戦いの神には見えません。

お堂内ということで、やや距離がありましたが、それでも群像が作り出す祈りの空間の重みと言ったら比類がありません。国宝館や展覧会で見るのとは全く異なった趣きが感じられました。

仮講堂の「阿修羅~天平乾漆群像展」の開催期間は以下の通りです。

「阿修羅~天平乾漆群像展」仮講堂公開期間
前期:3月15日(水)~6月18日(日)
後期:9月15日(金)~11月19日(日)

四天王像、及び天燈鬼、龍燈鬼像は前期のみの公開です。ご注意下さい。

仮講堂の次は向かって右手正面、東金堂に向かいました。ここでは「国宝 仏頭 東金堂特別安置」が開催されています。



仏頭は元は飛鳥の山田寺の本尊の頭部でした。像は鎌倉時代に興福寺へと移送(いわゆる強奪)され、東金堂の本尊として安置されます。しかし東金堂は1411年に被災。頭部だけが、のちに再興された現東金堂本尊の台座の中に納められました。

ただどういうわけか仏頭の存在はいつしか忘れ去られてしまいます。以来、約500年。1937年の東金堂解体修理の際に発見されました。奈良国立博物館に寄託された後、戦後になって興福寺の国宝館に収蔵されました。

その仏像がおおよそ80年ぶりに東金堂に安置されています。現在の本尊は室町時代に造られた「薬師如来像」です。そして両脇に日光・月光の菩薩像が並んでいます。仏頭はいささか控えめに、順に沿って最奥部、出口付近での公開でした。


日光・月光菩薩像は仏頭と同じく奈良時代の作品です。仏頭と両菩薩像はかつて東金堂に安置されていました。被災後は一度も同じ空間にあったことがありません。つまり約600ぶりの再会というわけです。



仏頭の東金堂の特別安置は12月までです。仮講堂と共通の拝観券で見ることが出来ました。



天平の息吹を伝える「阿修羅~天平乾漆群像展」と「国宝 仏頭 東金堂特別安置」。国宝館の休館中だからこそ実現した貴重な機会だと言えそうです。

「興福寺国宝特別公開2017 阿修羅~天平乾漆群像展」 興福寺仮講堂
会期:3月15日(水)~6月18日(日)、9月15日(金)~11月19日(日)
休館:会期中無休。
時間:9:00~17:00
 *受付は15分前まで。
拝観料:一般900円、大学・高校・中学生600円、小学生250円。
 *仮講堂と東金堂をともに拝観可。
住所:奈良市登大路町48
交通:近鉄奈良駅東改札より徒歩7分。JR線奈良駅より奈良交通市内循環系統に乗り5分。バス停「県庁前」下車すぐ。
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