「蜷川実花 うつくしい日々」 原美術館

原美術館
「蜷川実花 うつくしい日々」 
5/10~5/19



原美術館で開催中の「蜷川実花 うつくしい日々」のプレビューに参加してきました。

写真家の蜷川実花は、父で演出家の蜷川幸雄の死に向き合う日々を、ひたすらカメラにおさめ続けました。それは彼女をして「逝く人の目で撮った」ものであり、「どうして撮れたのかわからない」というほどの、穏やかで「うつくしい」写真でした。*「」内は解説より。

父の幸雄が亡くなったのは2016年の5月です。以来、ちょうど1年。その日々を捉えた写真が原美術館にやって来ました。

さて蜷川実花の写真展として思い出すのが、2015年、同じく原美術館で開催された個展「Self-image」です。

金魚や花に象徴される鮮やかな色彩が所狭しと埋め尽くすとともに、一転してのモノクロームでポートレートなどを表現。いわゆる蜷川カラーに加え、新たな展開を見せた挑戦的な展覧会でもありました。

そして今回です。明らかに以前の作品とは一線を画しています。まず例のヴィヴィッドな極彩色はほぼ見られません。代わって存在するのは、淡くて柔らかく、また温かみのある光でした。



桜が満開です。淡いピンクを帯びた花が咲いています。背景には水色の空が広がっています。光は白く眩い。まるで桜を祝福するかのように降り注いでいました。



草花は可憐です。白い藤のカーテンが僅かに風に揺られています。イメージは必ずしも明瞭ではありません。薄いヴェールに包まれているかのようです。時に朧げに対象を捉えていました。



明るい空、芽吹く若葉、さらに桜や藤など春の気配が随所に滲み出しています。確かに美しい。春は何故にこうも魅惑的なのでしょうか。

キャプションは皆無です。よって場所や場面の特定は出来ません。それでも伝わるのは死を間近に控えた父の存在でした。



例えば亡くなる直前の心電図です。さらにむくんだ父の手そのものを写しています。蜷川はこれらの作品を発表するか最後まで迷ったそうです。「センチメンタルになり過ぎる」とは彼女の言葉でした。確かに儚く、物悲しい。ただそれでもあえて取り入れました。

病院と思しき建物や病室と思われる場所も捉えています。極めてプライベートな空間です。一つ一つの写真に父と娘の視点が重なりあっているのかもしれません。



父が倒れた時、蜷川の子どもが生まれた時期と重なったそうです。80歳の父と0歳の子の間に自身が存在します。そこに彼女は「生命をつないでいくこと」を見出しました。



必ずしも明示されているわけではありませんが、写真から何らかのストーリーを感じたのは私だけでしょうか。まるで父と娘によるドラマを追っているかのようでした。



最後に交差点を捉えた一枚に目がとまりました。道路には蜷川自身の影が写っています。とすれば隣に立つのは小学生という息子なのでしょうか。ともに前を向き、交差点を進もうとしています。ここに未来への歩みが投影されているのかもしれません。


「うつくしい日々」出品作品に限り、撮影が可能です。ただしフラッシュ、動画のほか、常設展示作品は出来ません。ご注意下さい。

「うつくしい日々/蜷川実花/河出書房新社」

写真集「うつくしい日々」(河出書房新社)も刊行されました。よほど思い入れがあるのでしょう。蜷川が「代表作」ともなり得ると自負しています。



スケジュール上の都合から開催は極めて短期間です。僅か10日間しか展示されません。

5月19日まで行われています。

「蜷川実花 うつくしい日々」 原美術館@haramuseum
会期:5月10日(水)~5月19日(金)
休館:会期中無休。
時間:11:00~17:00。
 *水曜は20時まで。入館は閉館の30分前まで
料金: 一般1100円、大高生700円、小中生500円
 *原美術館メンバーは無料、学期中の土曜日は小中高生の入館無料。
 *20名以上の団体は1人100円引。
住所:品川区北品川4-7-25
交通:JR線品川駅高輪口より徒歩15分。都営バス反96系統御殿山下車徒歩3分。
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