円山応挙「海辺老松図襖(旧帰雲院障壁画)」 東京国立博物館

東京国立博物館・本館7室
円山応挙「海辺老松図襖(旧帰雲院障壁画)」
2/6~3/18

東京国立博物館・本館7室で公開中の円山応挙の「海辺老松図襖」を見てきました。


円山応挙「海辺老松図襖(旧帰雲院障壁画)」 江戸時代・天明7(1787)年

「海辺老松図襖」は元々、南禅寺の塔頭である帰雲院を飾った障壁画の一部で、応挙が54歳の時に描きました。


円山応挙「海辺老松図襖(旧帰雲院障壁画)」 江戸時代・天明7(1787)年

中央には海が開け、その水面は右手の黒い岩を回り込み、遠景の霧を伴いながら、右後方へと広がっていました。波の描線は至って細く、また柔らかで、岩場にぶつかっては、砕け散る白い波頭も僅かに見ることも出来ました。


円山応挙「海辺老松図襖(旧帰雲院障壁画)」 江戸時代・天明7(1787)年

岩の上で根を下ろす松は、手前から奥へと枝を振り上げているからか、どことなく遠近感もあり、「雪松図屏風」の表現を思わせなくはありません。

左の面にも同じように水辺から岩が切り立ち、やはり松を何本か従えていました。右の岩に比べると墨は薄く、霧に包まれていて、心なしか松も薄い墨で象られているようにも見えました。


円山応挙「海辺老松図襖(旧帰雲院障壁画)」 江戸時代・天明7(1787)年

崖から上方へ向けて峰が連なり、奥の方にも松が生えていることが見て取れました。そしてこの峰の細部が実に精緻で、離れて見ると良く分からないかもしれませんが、目を凝らすと、山の稜線に無数の松が林立していることが分かりました。


円山応挙「海辺老松図襖(旧帰雲院障壁画)」 江戸時代・天明7(1787)年

どれほどに深遠な空間が広がっているのでしょうか。この頃の応挙は、香川の金刀比羅宮や、兵庫の大乗寺などの障壁画を手がけるなど、大変に精力的に活動していました。まさに充実した力作と言えそうです。

なお応挙の作品は、7室に続く8室(書画の展開ー安土桃山~江戸)でも、2点の人物像、「拡元先生像」と「端淑孺人像」が公開されています。


円山応挙「拡元先生像」 江戸時代・安永8(1779)年
円山応挙「端淑孺人像」 江戸時代・18世紀


ともに高い写実を思わせる作品で、着衣の文様なども、極めて精緻に描きこんでいました。あわせて鑑賞するのが良さそうです。

3月18日まで公開されています。

円山応挙「海辺老松図襖(旧帰雲院障壁画)」 東京国立博物館・本館7室(@TNM_PR
会期:2月6日(火)~3月18日(日)
時間:9:30~17:00。
 *毎週金・土曜は21時まで開館。
 *入館は閉館の30分前まで。
休館:月曜日。但し10月9日(月・祝)は開館。
料金:一般620(520)円、大学生410(310)円、高校生以下無料。
 *( )は20名以上の団体料金。
住所:台東区上野公園13-9
交通:JR上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成電鉄上野駅より徒歩15分。
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