「たよりない現実、この世界の在りか」 資生堂ギャラリー

資生堂ギャラリー
「たよりない現実、この世界の在りか」 
7/18-8/22



資生堂ギャラリーで開催中の「たよりない現実、この世界の在りか」を見て来ました。

ピンク色のフライヤーに「たよりない現実、この世界の在りか」というタイトル。

アーティスト荒神明香と表現活動体「wah document」によって組織された「目」という現代芸術活動チームによる展覧会。少なくともフライヤーにタイトルのみで今回の展示内容を予測出来た人は、もはや殆どいないと言っても良いかもしれません。

実のところ私もかなり驚きました。そして初見の衝撃のみからすれば、過去このギャラリーで行われたどの展覧会よりも強かったとしても過言ではありません。

以下、ネタバレあります。(展覧会の核心のいくつかの部分については伏せていますが、まずは会場をご覧になってから読まれることをおすすめします。)

では何が衝撃的なのか。端的に言ってしまえばギャラリーの原型が殆ど残されていない。ようは予想だにも出来ない空間が広がっているのです。

ところで資生堂ギャラリーの展示室に入る際、階段かエレベーターのどちらを使われるでしょうか。

私は大方階段を利用します。何故なら途中で展示室を見下ろせる上、そもそも踊り場などに作品があり、それが全体の導入になっていることもあるからです。

ただ今回はひょっとするとエレベーターを使った方が良いかもしれません。ともかくはエレベーターで階下へ降りてみました。

するとそこから驚愕の世界です。ホテルのロビーです。天井にはシャンデリア。そして奥へとのびる廊下。赤いふかふかの絨毯が敷き詰められています。そもそも会場案内図からしてホテルの客室にあるような冊子風です。中には言わば支配人の挨拶でしょうか。「ホテルTGへようこそお越しくださいました。」と書かれていました。



廊下に沿って進みましょう。すると客室が101、102と続いていく。いずれも扉のみ。中には入れません。そして途中にはビデオカードの販売機まである芸の細かさ。照明もご覧の通り。ムードは満点です。ともかくここがギャラリー内部とは思えません。ホテルさながらの空間が再現されています。

そして案内図にはいくつか「ビューポイント」がある。殆どが客室の扉です。つまりは「作品」をドアスコープなどから見る仕掛け。また廊下には階段や消火栓などの点検口があり、そこからさらに中に入ったり覗き込むことも出来ます。いずれもかなり暗い。目が慣れないとなかなか分かりませんが、しばらくすると時に何かが浮かんでいることが見て取れます。(その何かは会場でご確認下さい。)



さらに奥へ進みましょう。ホテルの客室、シングルルームです。左手に口箱、奥には机とベット、それに冷蔵庫もある。またベット下には靴下が揃えられ、床にはペットボトルも転がっている。誰がか泊まっていることを意味しての演出でしょう。

机の上にはホテルの備品が置かれています。ルームサービスの価格表でしょうか。ベットカバーの上には係員の挨拶カードもあります。私の時は「筒井」と記されていました。また入口付近には「ミラー」。言ってしまえば大方通常のホテルの客室にありそうな備品や設備は全て整っているわけです。

しかしながらこの客室こそに今回の展示最大の「謎」がある。これもあえて触れません。簡単に分かることもあれば、そうでない場合もあるかもしれません。ともかく先のドアスコープ同様、何か捉え難いものをひたすら探して歩くかのような展示。ただこの客室では探して歩くだけでなく、あえて我が身を振り返る、言い換えれば姿を確認する必要があります。それがヒントです。

それにしてもラストの謎を知った時の驚き。よくぞここまで細かに作り込んだかと感心しました。ギャラリーのホワイトキューブは何から何まで作り替えられた。そもそも本展、荒神のアイデアを2012年からwah documentが練って実現したもの。2年越しの展示でもあります。

最後は再びエレベーターホールの前に戻って今度は奥の階段をあがりましょう。確かに階段、但し非常口扱い、つまり仮設です。ベニア板に鉄パイプが剥き出し。もちろん入口まで辿り着くことも出来ますが、より一層暗いせいか足元すら覚束ない。なおこちらにも「ビューポイント」があります。ちなみにギャラリーでは帰路としてエレベーターを推奨していました。(おそらく階段が狭いので行き来するのが大変だからでしょう。)一度、係の方に断って入った方が良いかもしれません。



銀座の地下に出現した希有な空間。内容の評価は分かれるかもしれません。ただそれでも現代美術ファンならずとも一度は体験する価値がある。百聞は一見にしかずです。見ないことには分かりません。まずはお出かけ下さい。

会場内、一部分が撮影出来ます。8月22日まで開催されています。

「たよりない現実、この世界の在りか」 資生堂ギャラリー
会期:7月18日(金)~8月22日(金)
休館:毎週月曜日
時間:11:00~19:00(平日)、11:00~18:00(日・祝)
住所:中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅A2出口から徒歩4分。東京メトロ銀座線新橋駅3番出口から徒歩4分。
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