「第9回 shiseido art egg 飯嶋桃代展」 資生堂ギャラリー

資生堂ギャラリー
「第9回 shiseido art egg 飯嶋桃代展」
2/6-3/1



資生堂ギャラリーで開催中の「第9回 shiseido art egg 飯嶋桃代展」を見てきました。

銀座の地下の「海」には古食器による「氷河」の欠片が浮いています。

1982年に神奈川に生まれ、2011年には女子美術大学大学院美術研究科美術専攻博士後期課程を修了。近年、主に都内のギャラリーにて作品を発表する作家、飯嶋桃代。

つい昨年には馬喰町のαMでも個展がありました。ご覧になった方も多いかもしれません。

「パランプセスト―重ね書きされた記憶/記憶の重ね書き vol.1 飯嶋桃代」@ギャラリーαM
2014年5月24日(土)~6月21日(土)

さて写真のとおり照明の落とされた展示室に並ぶのは10個のオブジェ、「開封のイエ」と名付けられた作品です。


「開封のイエーFragments of glacier」 2014~2015年(一部、2009年)

先に古食器と書きましたが、遠目ではどこに食器があるのか分かりません。白く、美しい光を放つオブジェ。「イエ」とあるように確かに箱、家のような形をしていました。


「開封のイエーFragments of glacier」 2014~2015年(一部、2009年)

視線を落とし、作品に限りなく近づいてみました。すると何かが無数に埋め込まれていることが分かります。これが食器です。表面をスパッと切り取られた食器の欠片、茶碗でしょうか。丸みを帯びているものもあります。大きさはまちまちです。平たいものから深皿まで、ともかく無数の食器が固まっていました。

種を明かすと、先に型をつくり、食器を入れます。その後にパラフィンワックス、ようは石蝋を流し込んで固める。その後に切断するそうです。つまり断面に見える食器は成型後に切り取られたものです。また基本的に「イエ」は七角形に仕上げられます。


「開封のイエーFragments of glacier」 2014~2015年(一部、2009年)

そして食器はいずれも使い古されたもの。おそらくはかつて「家族の記憶で満たされた」(解説より)であろう食卓の場にあった器ばかりです。

ギャラリーαMで見た際の「イエ」は色がついていましたが、今回はほぼ白一色。ワックスの色そのものです。それゆえかより真夜中の海に浮かぶ氷河のように見える。飯嶋自身も氷山をイメージした展示だとも語っています。

「以前、馬喰町のαMギャラリーで展示したとき、家の作品が並ぶ様子が漂流した氷山みたいに見えたんです。その感覚が今回の展示につながっています。」飯嶋桃代 *下記インタビュー記事

「家族という共同体への批判的な眼差し 飯嶋桃代インタビュー」(CINRA.NET)

奥のスペースでは「Singular」と題する古食器を用いたインスタレーションが展示されていました。


「Singular(s)ー光/水 器をみたすもの」 2015年

鉄製の細いスタンドの上に整然と並ぶ古食器たち。良く見ると下に明かりがあり、Singular、つまり単数という単語が浮かび上がっていることがわかります。

飯嶋の制作の主題は「家族の記憶」だそうです。無造作に転がる「イエ」や断面に切り取られた古食器には、現代の家族の在り方を問い直す意味もこめられている。漠然とそう感じました。



【第9回 shiseido art egg 展示スケジュール】
川内理香子展 1月9日(金)~2月1日(日)
飯嶋桃代展 2月6日(金)~3月1日(日)
狩野哲郎展 3月6日(金)~3月29日(日)

3月1日まで開催されています。

「第9回 shiseido art egg 飯嶋桃代展」 資生堂ギャラリー
会期:2月6日(金)~3月1日(日)
休廊:毎週月曜日
時間:11:00~19:00(平日)、11:00~18:00(日・祝)
住所:中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅A2出口から徒歩4分。東京メトロ銀座線新橋駅3番出口から徒歩4分。
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