学ぶ喜びを生きる力に☆奥田塾

三重県桑名市にある小さな英語塾・奥田塾のブログです。テーマは、学ぶ!楽しむ!分かち合う!

心の旅

2017年03月30日 | 名曲アルバム
春・・・旅立ちのとき。



あーだから今夜だけは 君を抱いていたい
あー明日の今頃は 僕は汽車の中

力強いメロディー。
チューリップの『心の旅』です。


*  *  *  *  *


7年間の東京暮らしを終えた僕は、『心の旅』とともに、故郷へ向かう夜行列車の中にいた。

いろいろなことがあって、僕は旅に出る(故郷へ帰る)決意を固めた。
大切にしていた愛が終わったことも、旅に出ることを決心させる要因の一つだった。
(今思えば、とても愛と呼べるようなものではなかったけれど…)
そんなとき、この歌の「愛に終わりがあって 心の旅がはじまる」のフレーズが、僕に勇気を与えてくれた。

夜の11時過ぎに東京駅を出て、名古屋に着くのは翌朝の6時。
東京駅を出る頃は、ホロ酔い加減のサラリーマンも多く、にぎやかな感じであるが、茅ケ崎あたりで背広姿の最後の一団が降りると、各車両とも、もう乗客は数えるほどしかいなくなる。
それでもていねいに、すべての駅に停車しながら、一晩中走り続ける優しい鈍行列車。

僕はそれまでにも何度か、この列車を利用したことがあった。
学生の僕にとって、もちろん一番の魅力はその運賃の安さだ。
しかしそれだけでなく、決して乗り心地が良いとは言えないこの夜行列車の、なんとなく郷愁を誘うような雰囲気が気に入っていたのだ。

午前1時をまわる頃には、それぞれが思い思いの格好で横になっている。
新聞紙を敷いて床に寝転がっている人もいる。
遠く離れた故郷の夢でも見ているのだろうか。
そんなことを考えながら、自分もいつの間にか眠りにつく。

東京での生活に完全にピリオドを打ち、故郷へ向かう最後の夜行列車の中で、僕はそれまでのように眠ることはできなかった。
4人掛けのボックス席にただ一人になった瞬間から、涙が堰を切ったようにあふれ出た。
曇った窓ガラスを指でこすり、他の乗客に気づかれないように、ずっと窓の外を見ていた。
何も見えるはずのない真夜中の風景に、じっと目を凝らしているふりをしていた。
そこには窓ガラスに映ったクシャクシャの自分の顔があるだけなのに。
涙の中で、何度もリフレインされるのは…

あーだから今夜だけは 君を抱いていたい
あー明日の今頃は 僕は汽車の中


*  *  *  *  *


作詞・作曲をした財津和夫さんは、以前、中日新聞に連載された「この道」の中で、「あーだから今夜だけは~」というサビのメロディーについて、次のように語っています。

「ド・レ・ミ・ソ・ラ・シ・ド・シ~ いちばん美しいとされるドレミファソラシドの音階から「ファ」を抜いただけのシンプルなメロディー。脇目もふらず、ただまっすぐに進むしかない当時の僕の決意を表しているかのようです」

関連記事はこちら → 「財津和夫さんの『この道』」「青春の影1」「青春の影2」「さよなら道化者
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