窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

個性を活かし合う組織へ!!-キックオフミーティング2017

2017年07月24日 | リサイクル(しごと)の話


  ナカノ株式会社の創業月である7月に行われる、恒例の「キックオフミーティング」。全社員が一堂に会し、当社の価値観であり行動方針である「活かす」と「他利自得」を再確認できるような研修を毎年行っています。

キックオフミーティング2016
キックオフミーティング2015
創業80周年記念式典
キックオフミーティング2013
キックオフミーティング2012
キックオフミーティング2011
キックオフミーティング2010

  今年は、パーソナルブランドコンサルタントの山本秀行先生を講師にお招きし、レゴブロックを使った「言葉にならない思いを言語化し、埋もれている創造性を顕在化させる」、レゴ®シリアスプレイ®のワークショップを行いました。テーマは、「個性を活かし合う組織へ!!」です。



  我々の内面には「何となく感じているけれども上手く表現できない」心の声が存在します。実はそうした心の声こそ本人さえ気づいていない本音であったりするのですが、うまく表現できないためにしばしば見過ごされたり、取るに足らない物として意図的に無視されたりしています。しかし、その潜在意識にある「本音」が実はその人の判断や選択あるいは行動の真の原因なのです。したがって、この本音を上手く捉え顕在化することができれば、その人の持っている能力をより良く発揮することが可能となるはずです。

  スポーツ、芸術、ビジネスなど様々な分野で優れた功績を残した人たちに共通するパターンを分析した膨大な研究は、そのパターンの一つが彼らの直感や本音を顕在化させる能力であることを明らかにしています。従来、そのような能力は天賦の才に恵まれた特定の人だけが持つものと考えられていました。しかし今や、そのブラックボックスと思われていたプロセスも研究が進み明らかにされています。そうした直感や本音を顕在化させる方法の一つが、「頭で考えるのではなく手を動かすこと」であり、レゴ®シリアスプレイ®はまさにレゴブロックを使った創作活動を通じ、誰もがこの能力にアクセスすることを可能にしているのです。

 

  レゴ®シリアスプレイ®は、「手は頭より先に知っている」・「作品には必ず意味がある」という二つの前提に立っています。与えられたテーマについて、イメージができてもできなくてもとにかく直ぐにブロックを組み立て始めます。そして、出来上がった作品について、その作品の意味を後付やこじつけでも良いので、制限時間をフルに使い、他の人たちに説明します。説明を聞いている人たちは、質問を投げかけることにより、さらに話し手の考えを引き出していきます。

 

  「頭で考える」ことや「論理的に説明する」、「筋道をはっきりさせる」社会に生きることに慣れ親しんだ我々にとって、「頭で考えない」、「分からなくても手を動かして作る」といった課題に面食らう人は多かったようです。それもテーマが「家を作る」というような具体的なものであればまだ良いのですが、今回与えられたのは以下のような何とも抽象的なものです。

1.「今の気分」を作り、丁寧に説明する
2.「個性を活かしあう組織の魅力」を作り、丁寧に説明する
3.「個性を活かし合う組織であなたが発揮してみたい『自分らしさ』」を作り、丁寧に説明する
4.「個性を活かし合う組織になるための方法」を作り、丁寧に説明する


  当初は僕が予想したよりもはるかに多くの社員が、これから行われるワークショップに対する不安を感じていたことに驚かされました。不確かなものに対する人の不安や恐怖は想像以上に強く、この不安や恐怖がまず創造性や個性の発揮を阻む障害になっているのではないかと思いました。

 

  しかし、それでもとにかくやってみることで、皆さんが徐々に開放されていくのが手に取るようにわかりました。特に意図をもってパーツを選択したのでも、組み立てたのでもない。それでも、そこに意味を付与することによって、自分でも気づかなかった視点や現在抱えている課題に気づいたり、また説明することによってさらに新たな考えが浮かんできたりと、気づきがどんどん深化すると共に、場が活き活きしていくのが感じられました。つまり手を動かして何かを作り、その意味を説明するという一連のプロセスは、我々の心にある恐れや不安、あるいはとらわれと言ったものを取り除き、潜在能力を開放させる効果があると言えます。

 

  印象的だったのは、話しを聴く側の態度によって、話し手が驚くほど輝いていくという事です。それぞれが個性を持っていることを確認するだけでなく、活かしあう。それは受け止める側の態度如何によるのだということを改めて感じ、反省もした次第です。

  とりわけ「自分らしさ」について仲間から質問を受け、説明する時の皆さんの弾けるような笑顔が印象的でした。組織の中には外向的な人もいれば、内向的な人もいます。しかし、どんな形であれ「自分を開放したい」、「受け入れられたい」という思いは共通のようです。つまり、個性の発揮は必ず他者の存在を必要とするということです。心理学の研究でも他者貢献度の高い人の方が自尊感情や幸福度が高いことが明らかとなっています。即ち「他利自得」とは、お互いの個性を引き出し「活かす」という価値観だということもできるのです。



  カオス理論の中に初期値のごくわずかな違いが時間の経過と共に大きな違いとなって予測不可能な結果を生む、「初期値鋭敏性」という考え方があります。しかし、あるカオスを示す方程式に於いては、この初期値鋭敏性がありがなら無限に発散することなく、非周期的で一切交わることのない非常に複雑な図形を描き出すのだそうです。これはストレンジアトラクタと呼ばれ、下の動画にように、個々のドットは全くランダムにプロットされているにもかかわらず、全体を眺めるとあたかも一定の秩序があるような動きをします。



  このストレンジアトラクタを見ていると、部分は自由に振舞いながら、全体としては秩序を保つという、自由と秩序の両立を可能にする力学がこの世には元々存在するはずだという気がしてきます。この画像は、僕には「個性が自由に振る舞いつつも散逸することなく、一定の秩序を保つ組織」のメタファーのように思われます。「個性を活かし合う組織」は決して理想に終わるのではなく、自然界の原理として実現可能なのだと確信しています。

  終わりに。インドの僧、龍樹(ナーガールジュナ)が著したとされる『大智度論』に「指月の譬」と呼ばれる一節があります。

「人の指を以って月を指し、以って惑者に示すに、惑者は指を視て、月を視ず。人、これに語りて『われは指を以って月を指し、汝をしてこれを知らしめんとするに、汝は何(いか)んが指を看て、月を視ざる』、と言うが如く」

  この言葉は、1973年の映画『燃えよドラゴン』の中で、ブルース・リーが語った次の台詞で有名になりました。

"Don't think, feel...it is like a finger pointing away to the moon. Don't concentrate on the finger or you will miss all that heavenly glory!"
(考えるな、感じろ…それは月を指差すようなものだ。指にとらわれるな、さもなければ栄光はつかめない!)


繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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