医療制度改革批判と社会保障と憲法

9条のみならず、25条も危機的な状況にあります。その現状批判を、硬い文章ですが、発信します。

年金問題の本質

2007年03月10日 | 年金問題

 

 年金問題の本質

少子高齢化が原因なのか??

 
「年金問題」の原因は、「少子高齢化」が根本問題だと、喧伝されています。
  『支え手である勤労世代が減少し、年金受給高齢者が増大してゆけば、年金制度が維持できなくなる。したがって、今から、段階的に年金保険料の負担率を引き上げていく一方で、年金給付額を引き下げていく』というのが、この間の年金制度改定の主題であるといえます。 
  このように、政府・権力とマスメディアは、少子高齢化で年金制度が危機的な状況にあると、デマ宣伝を繰り返していますが、150兆円とも、200兆円ともいわれる、巨額の年金積立金については、ほとんど触れることはありません。その積立金を取り崩せば、年金支給について何ら支障はなく、そのために巨額の積立金があることを、敢えて口を噤んでいます。

   政府・厚労省は、巨額の積立金を「握りこみ」、その給付のための積立金がないものとして、年金運営をさせようとしていると思われます。そのために、日本の年金制度は「積立方式」ではなく、「賦課方式」であるかのようなデマ宣伝を、執拗に繰り返しているのではないでしょうか。
  現役世代から徴収したものを、年金受給者に配分するという、「賦課方式」であれば、現役の勤労者が極端に減少すると、年金支給に支障をきたすことは考えられますが、日本の年金制度は、巨額の積立金を保有する「積立方式」です。
  「法改正」により「賦課方式」に変更したとしていますが、積立金が消えてなくなったわけではなく、現状は、積立金運用益を給付に当てていることから、「修正積立方式」と呼ぶことが正確だといえます。
  「賦課方式」では、積立金などは存在しませんし、支給調整のために幾ばくかの「手持ち資金」があれば事足りるのです。賦課方式を採用している国々では、巨額の積立金などは存在しません。  

  参考となる論文としては、積立方式であるとか賦課方式とか、巨額の積立金があるといった観点ではなく、現状をふまえての批判として、
   “少子高齢化社会”という人口構成の変化は、「年金問題」とはまったく無関係なのである。という記事で晴耕雨読
 http://sun.ap.teacup.com/souun/の早雲さん・あっしらさんは、マスメディアで喧伝されているデマ宣伝を、論破されていますし、「国民経済における余剰資本と余剰通貨 《年金問題の本質は“高齢化”にあらず》 1~4」で、早雲さんは、さらに議論を進められています。 

年金積立金はどうなっているのか??

   年金積立金などの情報は公開されています。しかし、年金制度全体という大きな単位なので、わかり難いですが、小さな「単位共済組合」などを例に検討してみれば、比較的わかり易いと思われます。
  各共済組合は、「公務員の人員削減」などで現役の組合員が減少し、運営が厳しくなっているのは事実ですが、保有している長期給付積立金を充当すれば、年金支給に支障はないことが、長期給付事業収支報告などを見ればわかります。
  現在でも、単位共済組合は、積立金の取り崩しをせずに運営できているところが多いのですが、しかし、積立金の取り崩しをせざるを得ないところもでてきています。そうした共済組合でも堅実な積立金運用をしてきたことから、多額の積立金を保有しています。そうした共済組合の決算内容は、組合員(被保険者)に報告されるだけではなく、公報などで一般に公表されています。

  超低金利政策が、長期にわたって継続され、積立金運用益が少ないことから、今後、その積立金の取り崩しの額が、増えることが予想されます。しかし、その保有している積立金額からみて、年金受給者のピークと予測される時期も、十分クリアすることができると思われます。
  そのために団塊の世代も、それ以前の世代も、多額の保険料を支払い、積立金を増やしてきたのですから、それはしごく当然のことといえます。
  さらに、単位共済組合だけでは対応しきれない場合をも想定して、各共済組合の拠出で、共済組合連合会に積立金をプールしているのです。
  こうした共済組合や厚生年金・国民年金の積立金総額が200兆円といわれ、そのうち政府・厚労省が管理している厚生年金・国民年金の積立金が150兆円といわれているのです。


積立金は年金給付に当てられないのか??


  年金積立金について論評・解説された文書が極めて少ない中で、年金積立金問題について論評された書籍がありました。
  「年金2008年問題」 <市場を歪める巨大資金> 
                   玉木伸介著 日本経済新聞社 2004年8月25日
 
  著者の問題意識は、「2008年度は、財政融資資金に預託されていた年金積立金の償還が完了し、厚生労働省が金融・資本市場で運用することになる。その公的年金積立金は150兆円であり、このような巨大資金の運用を、政府・厚労省がコントロールできるのであろうか」というものです。 
  巨大な積立金があるということをふまえ、その額があまりにも「巨大」であるがゆえに、市場運用についての困難性や課題を提起しています。 

  年金積立金が存在すること、その積立金が巨大な額になっていることを前提に、問題提起していることは評価できるのですが、第4章「積立金」は「蓄え」かあたりで、米国の積立金が全額「非市場性の国債に運用されている」ことから、「積立金は貯金を下ろすように使える蓄えではない」ということを紹介し、(米国は社会保障税として徴収し、給付に当てた残りを一般財源として使ってしまう。その分を非市場性の国債を購入したとして、それが積立金とされている。)
   「個人が預金を銀行からおろして使う」「企業が剰余金を取り崩して使う」というような感覚で、積立金を年金給付のために使えると理解することは表面上のそしりを免れない、としています。少し後の項で、日本の積立金は米国と異なって、投資対象資産が多様だから、国債のほかに株式や外貨資産を市場で売却することとなる。と、米国との違いも指摘していますが、やはり「積立金が預金のように下ろして使えるようなものではない」としています。 
  その後で、「積立金」はなぜ貴重かという項を立て、年金給付のための積立金の取り崩しや、運用益のことについて触れています。
 
 巨額の積立金があること、年金受給者の増大に伴い、積立金の取り崩しが必要であること、またその位置付けなどが解説されていますが、私の読解力が不足のせいか、どうしても、政府・厚労省が、積立金を握りこみ、その運用益だけを給付に当て、「賦課方式」と称して、積立金がないものとして年金運営をさせようとしていることと、軌を一にしているように思えてなりません。  

  ともあれ、150兆円という巨額の年金積立金があり、9兆円を超える収益をあげていることは、厚生労働省(年金資金運用基金⇒年金積立金管理運用独立行政法人)が、発表しています。
 平成17年度 厚生年金保険及び国民年金における年金積立金運用報告書
 http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/02/tp0202-1.html
  
                       
  また、先にも紹介しました晴耕雨読
 
http://sun.ap.teacup.com/souun/の早雲さんが、「経済を成長させる 年金改革第三の道」  マクロ経済 で、「年金積立金197兆円を担保に、国債を日銀引き受けし年金給付に当てる」という、「セーニアリッジ政策」を取ることで、デフレ対策を兼ねて年金問題を解決する提案を、下記の「経済コラムマガジン」を引用して紹介されています。
  経済コラムマガジン http://www.adpweb.com/eco/index.html
05/5/30(391号) 03/12/15(326号)  

  政府・権力のマスメディアを総動員しての、「年金の危機」デマキャンペーンに惑わされることなく、年金問題の本質について、きっちりと把握するための努力が大切なのではないでしょうか。
                                                      2007・3・10   harayosi-2

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米国の年次要望改革書を読み解く必要がありますね (谷口硝子)
2007-03-10 16:33:46
トラックバック、ありがとうございます。
小泉「構造改革」のハイライトは、郵政民営化でしたが、米国がその中でも一番欲しかったのは簡易保険だと言われています。官が運営している保険を米国資本に売り渡すためです。
次いで、混合診療の導入により、米国資本の医療保険に加入しなければならならないかのようなテレビCMによる「洗脳」が更に進行しています。医療費の高額化の原因も少子高齢化ではなく、医療の高度化だと医療経済学者は言います。
少子高齢化は「持続可能な社会保障」というインチキなスローガンのために、うまく使われて、われわれ国民は本当のことを知らされずに騙されているのです。まして、年金問題は極めてわかりにくい。社会保険庁の解体は、積立金の市場化がねらいだったわけですね。
日本なりの公共性の中で、医療・福祉・年金も培われてきたのに、
米国の年次要望改革書の要求は、日本にあるさまざまな国民の財産を身包み剥がそうという魂胆が見え透いています。年次要望改革書にそって、経済財政諮問会議で制度を決めて、茶番劇場の国会で審議して、圧倒的多数の与党の力で何でも強行採決という図式がこのところ定着しています。
こうしたカラクリさえわかれば、反論はそれほど難しいことではないのですが、おっしゃるとおり、権力・マスゴミの総動員態勢のデマゴギーの渦中にあっては、マイノリティの反論として切り捨てられる。これまた極めて同じ構図がまったく変わっていません。
谷口硝子さん、コメントのとおり、事態は進行しています。 (harayosi-2)
2007-03-10 17:39:40
 谷口硝子さん、コメントありがとうございます。事態の展開は、ご指摘のとおりです。
 外資(多国籍金融資本)が、この年金積立金という巨大な資金を活用し、様々なことをやっているようですね。
 そのことを、ブログでできる限り解りやすく発信していかなければならないと考えています。
TBありがとうございました (村野瀬玲奈)
2007-03-10 19:56:53
たいへんに励みになるトラックバックとコメントありがとうございました。

年金の技術的なことについては正直言って私は素人です。考える余裕もないというのが正直なところです。今のところ良心的な専門家の解説に頼るしかありませんが、政策立案上のごまかしは見抜けるようになりたいとは思っております。

これからもどしどし気軽にトラックバックしていただけるとうれしいです。またよろしくお願いいたします。
保坂議員の著書 (ゴム3号)
2007-03-11 22:33:20
はじめまして。社民党の保坂議員の著書「年金のウソ」(ポット出版、ISBN4-939015-66-1)によりますと、「144兆円の年金積立金中87.8兆円が不良債権化(2002年時点)」とのことです。これは日医総研の試算です。当時は全額財政投融資に回っており、年金積立金勘定というものはありませんので、不良債権額は按分比例により求めたものですが。正常部分がどの程度あるのかは不明ですが、積立金のかなりの部分は回収できないものと思われます。詳しくは保坂展人議員の著書をご覧ください。
Unknown (よしお)
2007-03-18 22:13:13
いや、一昨年あたりから年金積立金運用益はクロ字化して含み損は含み益に転化している。政府マスコミは黙っている。
おっしゃるとおりです。 (ステレオ)
2008-04-26 07:53:09
少子高齢化と言いますが、①長寿化による高齢者の増加と②団塊世代による高齢者の増加を一緒くたにして政府は議論し、酷い少子高齢化が永遠に続くように思わせています。実際は、団塊世代による高齢者の増加のピークの2030年でも政府が言うほどの高齢化ではないし、その時期を積立金を取り崩して乗り越えれば年金制度は問題なく運用できそうです。
最近の厚生白書は見ていませんが、2001年の厚生白書では、少子高齢化で年金制度が危機にあるとしながら、さらに積立金を増加させるという予測が描かれていました。

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