「どうだった?」と聞かれたら、「悪くない。読んどいたほうがよい本だね」と答えるだろう。
映画にしたらいいんじゃないかしらん。佳作だと思う。もちろんいい意味で。
タイトル通りのストーリーだ。「巡礼」という言葉をウィキペディアで調べると、「聖地を巡るという宗教的行為」だそうだ。この物語において「巡礼」は、宗教的な意味合いを持たない。しかしながら、「巡礼」以外にしっくりくる言葉がない。「再会」というのが適切なのかもしれないが、主人公つくるにとって「再会」ではなく、巡礼でなくてはならない理由があるのだ。
人生において誰もが出会いと別れを経験するが、心残りのある別れもあるものだ。これ以上書くとネタバレになるのでやめる。ともかく、その心残りに向き直って消化しようと思った主人公の心の動きを描いた物語なのである(どの村上作品でも主人公の心象風景の描写は細かいのだが)。
また、この小説は名古屋人論でもある。もちろんそれがテーマではないのだが、小説を組み立てる重要な骨組みの一つである。『海辺のカフカ』ではわがふるさと香川県の退屈な風景が描写されていたように、名古屋にありそうなドラマに仕上げられている。主人公つくるが大阪生まれでは、このようなプロットにはならなかっただろう。
そんなに残されていない人生において、私にも再会したい人間がいないわけではない。しかし、私の場合はもう会うことはないだろうと思っている。会って聞いてみたいことはほんの少しだ。ほんの少しのことを知ったところで、溜飲を下げることができたとしても、私に幸せな気持ちをもたらしてくれることはないことがわかっているからだ。
↓灰田の父親のエピソードは必要か?
映画にしたらいいんじゃないかしらん。佳作だと思う。もちろんいい意味で。
タイトル通りのストーリーだ。「巡礼」という言葉をウィキペディアで調べると、「聖地を巡るという宗教的行為」だそうだ。この物語において「巡礼」は、宗教的な意味合いを持たない。しかしながら、「巡礼」以外にしっくりくる言葉がない。「再会」というのが適切なのかもしれないが、主人公つくるにとって「再会」ではなく、巡礼でなくてはならない理由があるのだ。
人生において誰もが出会いと別れを経験するが、心残りのある別れもあるものだ。これ以上書くとネタバレになるのでやめる。ともかく、その心残りに向き直って消化しようと思った主人公の心の動きを描いた物語なのである(どの村上作品でも主人公の心象風景の描写は細かいのだが)。
また、この小説は名古屋人論でもある。もちろんそれがテーマではないのだが、小説を組み立てる重要な骨組みの一つである。『海辺のカフカ』ではわがふるさと香川県の退屈な風景が描写されていたように、名古屋にありそうなドラマに仕上げられている。主人公つくるが大阪生まれでは、このようなプロットにはならなかっただろう。
そんなに残されていない人生において、私にも再会したい人間がいないわけではない。しかし、私の場合はもう会うことはないだろうと思っている。会って聞いてみたいことはほんの少しだ。ほんの少しのことを知ったところで、溜飲を下げることができたとしても、私に幸せな気持ちをもたらしてくれることはないことがわかっているからだ。
↓灰田の父親のエピソードは必要か?
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 価格:¥ 1,785(税込) 発売日:2013-04-12 |