日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

物語のあるブランドの強さ

2017-09-15 19:06:25 | ビジネス

シャネルが14年ぶりに、新しいフレグランスを出す。
名前は「ガブリエル」。
この名前で気づかれた方も多いと思う。
「ガブリエル」という名前は、ココ・シャネルのファーストネームだ。
シャネルパフューム公式:ガブリエル シャネル

シャネルがあえて「ガブリエル」という名前のフレグランスを発売する、ということは相当の自信策なのだと思う。
海外のミュージシャンの場合、自分の名前を付けたアルバムをリリースする、という時は相当の自信作か心機一転新しいモノのへの挑戦、という時に使うことが多い(ように思っている)。
同様に、ファッションの世界でもそれまでブランドネームで活躍をしてきたデザイナーが、自分自身の名前でコレクションを発表する時というのは、独立をした時だ。
そのような場合「満を持して」という、枕詞を使って紹介されることが多い。

既にブランドとして確立しているシャネルのフレグランスに、あえて「ガブリエル」という名前を付けたのか?と考えた時、やはり「これまでにない新しいシャネルのフレグランス」という考えがあったのでは?と、感じている。
とはいうもののブランドの創設者である、ココ・シャネルへの敬意と親愛、シャネル自身が追い求めた「創造」という軸はブレることなくシャネルファンに伝えたい、そんな思いもあったのでは?

実際、公式サイトのプロモーション映像を見てみると、プロモーションイメージではココ・シャネルの生き方を体現したようなイメージで作られている。
それは、自由で何ものにも縛られない、挑戦的な女性の姿だ。
特に、最後のブロックを打ち壊すシーンなどは、今の「ガラスの天井」と戦ってる女性へのエールのようにも思える。

そしてもう一つのメッセージとなる映像が、その下にある。
ココ・シャネル自身の生き方、あるいは生きる信条をまとめた内容だ。
この映像を見て改めて感じることは、「ブランドストーリー」のある企業の強さ、という点だ。
シャネルというブランドは、ココ・シャネルが一人で(もちろん、様々な協力者はいたが)創り上げたブランドだ。
ココ・シャネル自身、自分が創り出す洋服は「自立した女性、仕事をしている女性たち」の為だった。
今現在の購入者層とは、随分違うがココ・シャネル自身はそのような女性たちが心地よく着られる服づくりを目指していた。
それは生涯変わることのない、信念であり理念でもあったように思う。
だからこそ、ココ・シャネルの生き方をまとめた内容とプロモーションイメージが、違和感なく重ね合わせることができるのだ。

考えてみれば、日本の多くの企業も「物語のあるブランド」が多かった。
企業の大小関係なく、あったように思う。
そして思うことは、そのような「物語のあるブランド」は、生活者から支持を得る努力をし、ファンとなった生活者はその「物語」のファンなのではないか?ということだ。



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