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京大 VS JASRAC

2017-05-20 18:23:53 | アラカルト

新聞各紙だけではなく、ネット上でも話題になっている「京大 VS JASRAC」。
ことの発端は、京大の入学式で総長の式辞にボブディランの「風に吹かれて」の一節があった、ということらしい。
京都新聞:式辞に歌詞引用、著作権料を 京大HP掲載でJASRAC

このところ、JASRACに関する話題というか、問題が多い。
今年2月、JASRAC側が「音楽教室」などで演奏する場合も著作権料を支払うように、とヤマハをはじめとする音楽教室を展開している事業者に通告をしてきたことに始まる。
この通告に対して、ヤマハ音楽振興会(「音楽教室」を運営している)などが反発。
「音楽教育を守る会」をヤマハや河合楽器などが結成し、新聞に意見広告などを出した。
今月に入り、ヤマハ側がJASRACを提訴する、という動きになっている。

「音楽教室 VS JASRAC」の場合、演奏するために購入した譜面には著作権料として既に支払われているので、この場合「演奏」によって発生する著作権ということになる。
想定されるのは「発表会」ということになるはずだが、「音楽教室」の目的は「音楽に対する知識や演奏技術を深め、音楽を楽しむ」ということだと思う。
その成果としての「発表会」を、プロの演奏と同じだと考えてよいのだろうか?ということになる。
「発表会」そのものも、観客としてきているのは生徒の家族程度で、「広く多くの人に聞いてもらう」というモノではない。
そのような状況というか事情を考える必要があるはずだ。

それに対して、京大での式辞は全く違う内容だ。
式辞で引用されたのは、「風に吹かれて」の一節。
それをHP上に公開した、という点が問題らしい。
とすれば、ネット上にたくさんある洋楽ファンの対訳付きブログなどは、アウトになってしまうはずだ。

もう一つ考える必要があるのは、式辞で述べた一節が著しく著作権を侵害しているのか?という点だろう。
「風に吹かれて」の歌詞を丸っと使ったわけではないし、歌ったわけでもない。
あくまでも一節を引用しているに過ぎない。
詞の一部の言葉を使うだけで、そこに著作権が発生するのだろうか?
普段使いなれている言葉が、何かの歌の一部として使われ、それを話しHP上にアップしたからと言って「著作権がある」と言えるのだろうか?

話はそれるのだが、最近メジャーデビューをしている10代後半から20代前半の話題のミュージシャンたちの一部は、ニコニコ動画などで自分たちの演奏を公表し、メジャーデビューを果たしている。
この夏、某日焼け止めクリームのCMに起用されている「ぼくのりりっくのぼうよみ」などは、その一例だ。
メジャーデビューをするにあたっては、レーベルがJASRACと何等かの契約をしているとは思うが、メジャーデビューする方法が、これまでとは全く違ってきているのだ。
言い換えるならJASRACが著作権云々を言う前に、彼ら自身が自分たちの音楽を配信し、場合によっては自分たちでYoutuberのように管理している可能性もあるだろうし、映像を見てコピーをする人達もいるだろう。
JASRACの手が届かない所で、音楽が生まれ育っているのだ。

今年に入ってからのJASRACの動きは、「著作権料」ということばかりにフォーカスしすぎて、本来の「著作者の権利の保護」という観点が抜け落ちているような気がする。
その最たる例が、今回の京大での式辞のように感じるのだ。
個人的には京大側が、JASRAC側と真っ向勝負(というと変な話だが)して欲しいと思っている。






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