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トランプ氏は、ビジネスマンとしても「難あり」だと、自ら告白してしまった。

2016-08-04 19:24:38 | 徒然

米国大統領共和党候補となった、トランプ氏の暴言・放言が止まらない。
先日は、イラクで戦死したイスラム教徒の遺族に対して、暴言を吐き問題となった。
AFP:トランプ氏、戦没者遺族を繰り返し批判。党内外から非難の嵐

この発言に対して、オバマ大統領だけではなく共和党内からも非難の声が上がったのは、当然だろう。
というのも「退役軍人団体」というのは、団体規模も大きく資金面での支援も大きいからだ。
そのような団体から非難されるとなると、とてもではないが選挙戦は戦えない。
戦えないだけではない。
批判した陸軍中尉は、イラクでの戦闘で亡くなっている。
ブッシュ氏(=共和党出身の大統領)が始めた戦争で、亡くなったといっても過言ではない。
トランプ氏としては、イスラム教徒を批判したつもりだったのだろうが、イスラム教徒ではなく戦没者全体を批判したようなカタチとなってしまったのだ。

しかし、トランプ氏の暴言はこれだけでは収まらない。
「あなたは何一つ犠牲を払っていない」と、戦没者遺族の言葉に対して「たくさんの『雇用』という犠牲を払ってきた」と、言ってしまったのだ。
朝日新聞:「雇用創出という犠牲払った」トランプ氏、遺族に反論

「雇用の創出」と「戦争で自分の家族が犠牲になる」ということは、同じではない。
それを思わず、言ってしまったのだ。
ある意味、トランプ氏が考える「雇用」についての本音の考えを、話してしまったという瞬間だったと思う。

トランプ氏のような実業家だけではなく、企業の経営に携わっている人はもちろん、ビジネスマンであれば「雇用の創出」の意味は、十分にご存じだと思う。
「雇用の創出」があるからこそ、経済的な安定が図られ、経済が発展するのだ。
もちろん「経済格差」の解消にもつながり、社会的貧困層の解消、ひいては社会保障費の軽減にも結び付く。
それが「雇用の創出」の重要性でもあるのだ。

それを「犠牲」と思わず(苦し紛れに)言ってしまった、ということはトランプ氏自身は、「雇用」することは、自分の利益を失わせることだ、と考えているということになる。
実際、トランプ氏は自分が出演するテレビ番組で「お前は、クビだ」という言葉が、お決まり台詞だった。
テレビ番組では、決め台詞となる言葉であっても、ビジネスマンとしては軽々しく言う言葉ではない。
それは「雇用」によって起きる、様々な経済的利点や社会的利点が、十二分にわかっているからだ。

にもかかわらず、苦し紛れに言ってしまったということは、トランプ氏自身が実業家としても、経営者、ビジネスマンとしても、問題を抱えた人物である、ということを自らアピールしてしまったのだ。
トランプ氏を支えている層というのは、「白人のブルーカラー」と言われている。
「雇用」に対する、不安を常に持っている層でもある。

彼らが今回のトランプ氏の発言を聞いて、どう思ったのだろうか?
何より、全米のビジネスパーソンからは「トランプ氏のような人物は、ビジネスパーソンでも何でもない。単なる金儲けの亡者だ」と、思われたような気がする。