日々の便り

男女を問わず中高年者で、暇つぶしに、居住地の四季の移り変わりや、趣味等を語りあえたら・・と。

美しき暦(49)

2022年08月14日 10時55分30秒 | Weblog

 関東からは、花便りが聞こえて来るとゆうのに、雪国では3月末になっても雨や曇りの日が多く天候は冴えない。
 理恵子も、天候に合わせたかの様に心が落ち着かず、なにをしても気が晴れないまま修了式前の日々を送っていた。
 
 そんなある日。 昼食後のお喋りしているとき、奈津子さんから
 「ねぇ~ 明日の土曜日に、久し振りに新潟に遊びに行かない。なんだか、気分がパァッと晴れないので、気分転換にさぁ~」
と声を掛けられたので、理恵子は直ぐに同調し
 「わたしも、そうなのよ。色々買いたい物もあるし、デパートでお食事もしたいしさぁ」
と賛成した。
 理恵子は奈津子の顔を見て、きっと幾ら気が強いと言っても、やはり自分と同じ様に彼氏と離れることで彼女なりに先行きなどで悩んでいるんだなぁ。と、表情から察した。

 翌日の朝、理恵子は母親の節子さんに
 「奈津子さんと新潟の街に遊びに行きたいので、お小遣いを少しいただけません?。少しはあるけど、足りないの」
と話をしたら、節子さんから「何か買い物でもするの」と言われたので
 「う~ん 下着なんかも・・」
と言いかけたら、節子さんは
 「アラッ 貴女の下着類は、普段着や運動着などと一緒に、わたしなりに普段気配りして充分揃えてあるわ」
 「何か、気に入らないもでもあるの?」
と言われ返事に窮していたら、新聞を読んでいた父親の健太郎が
 「母さん 一年間の成績も良かったし、たまに奈津子さんと一緒に息抜きに行くのもいいんじやぁない。奈津子さんと一緒なら心配いらないよ」
と言いつつ財布から札を取り出して
 「ホラッ これで思う存分遊んできなさい。帰りが余り遅くならない様に注意してね」
と言って機嫌良く一万円札を2枚渡してくれた。

 翌日も雨模様であったが、約束の時間に駅で待ち合わせて急行に乗り新潟に向かった。
 新潟まで、約一時間かかる列車の中で、奈津子さんは、先日、江梨子から直接聞いたと言って

 江梨子は来年高校卒業後、小島君と二人で彼女の親戚の人が経営する東京の会社に就職するんだって。 
 彼女達、この前、川辺でデートしたとき二人で約束して、彼女の家に行き例の調子で母親に小島君を改めて紹介すると同時に、自分達の希望を聞き入れてくれなければ、二人で家出をすると大袈裟に言ったら、母親は吃驚してしまったが、気を取り直して
 「なんとか、希望をかなえる様にするから、今後、決して家出なんて物騒なこと言わないでおくれ。頭がおかしくなりそうだよ」
 「それに、小島君は三男だし、この家にお婿さんに来て家を継いでもらえるように、小島君の家にお邪魔して頭を下げてお願いしてみるが、お前のお嫁さんとなると、こりゃ、就職問題より大変だわ」
と宥められたらしいが。と、幾ら現実的な江梨子でも自分の生活の為にはやるもんだなぁ~。と、感心してしまったわ。
 小島君は、彼らしくおとなしく話を聞いていたらしいが・・・

と話したあと、奈津子は、それにしても、わたし達完全に追いぬかれてしまったはね。と、急速に燃えあがった二人の行動の素早さに苦笑いしあった。

 新潟駅につくと、二人は街の中央にあるDパート内を見てあるいたあと、食堂でコーヒーを飲みながら、奈津子が
 「ねぇ~ 理恵ちゃん、織田君に何かプレゼントするの?」
と聞いたので、理恵子は
  「そうねぇ~ 毎日考えているんだけど、迷ってしまうわ」「奈津ちゃんは、どうするの?」
と逆に聞き返したところ、自分同様に迷っていると答えたが、丁度、そのとき、店のBGで夏の甲子園の高校野球のとき演奏された”夢をあきらめないで”とゆう軽快な曲が流されていて、奈津子は
 「わたし、この歌詞が大好きで、いまのわたし達にピッタリだわ」「織田君も、野球をしていたし、いいんじゃない・・」
と言いだし、理恵子も地区予選の応援のとき吹奏楽で演奏して覚えていたので
 「そうねぇ~ メロデーは好きだが歌詞が、いまのわたしには、一寸、自分の心を余りにも正直に表現していて、織田君に心の隅まで覗かれる様で恥ずかしいわ」
と、このCD贈ることにためらった。 それとゆうのも歌詞の中に

 ♪ いつかは 皆 旅立つ  それぞれの道をあるいていく
     あなたの夢を あきらめないで  熱く生きる瞳がすきだわ・・
とか
 ♪ 切なく残る痛みは  繰り返すたびに 薄れていく
     あなたが選ぶ全てのものを  遠くにいて信じている

と、岡本孝子の作詞が、理恵子の心には、寂しく映るのが気になった。
 奈津子は、そんな理恵子の心境を痛いほど理解できたが、自分とて同じ心境だが、いつかこのCDを聞いてくれれば必ずや自分を思いだしてくれるであろうと思いつめて、渋る理恵子を強く促して、音楽ショップに入って行った。
 
  
 

 

 

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