A Diary

本と音楽についてのメモ

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ホワイトゴールドとプラチナの違い

2006-04-02 20:42:37 | 日々のこと
「プラチナとホワイトゴールド、どっちがいいの?」
今日は、福岡県にお住まいのFさんからのこの質問に答えてみたい。

まず、ご存知だとは思うけど、紛らわしくてよく混同される点を整理しておくと、「ホワイトゴールド」は金属元素の「金」(Au)からできている。一方、「プラチナ」は「プラチナ」(Pt)という金属元素からできている。問題はプラチナの和名が「白金」であることで、これが「ホワイトゴールド」と混同されやすい。あくまでもホワイトゴールドは「金」でできている。

では、なぜホワイトゴールドは「金」という金属なのに銀色(白色)をしているのか。本来、純金はその名の通り金色(黄色)をしている。ポイントは、ジュエリーなどで使われる金が純金ではないことだ。よく使用されている「18金」についていえば、純度は75パーセント。残りの25パーセントには他の金属が「割金(わりがね)」として混ぜられている。この割金に、銀やニッケル、パラジウムなどの白色系の金属を使うと、白っぽい金ができあがる。これがホワイトゴールド。

でも実は、割金でこんなふうに白色に近づけたゴールドも、まだかなり黄色味が残ってしまっている。そこで表面に、ロジウムという銀色の金属で表面加工(要するに、めっき)を施している。こうやって銀色で光沢感のある「ホワイトゴールド」が完成する。「ホワイトゴールド」の名称で販売されている世界中のほとんどの宝飾品は、だいたいロジウムめっきの加工がされていると思う。

割金は、本来金属の強度や耐久性を増すために使われている。純金や純プラチナは硬度が低すぎて、ジュエリーとしては不向きになってしまう。そこで、このように他の金属を混ぜている。ホワイトゴールドについては説明したとおりだが、18金の残り25パーセントの金属に、銅などの赤みのある金属を用いると「ピンクゴールド」になる。一方、プラチナの純度は90パーセントか、95パーセント。割金はパラジウムであることが多い。

* * * * *

さて、どちらが良いか。

■希少性■
まず希少価値で言えば、金よりもプラチナのほうが価値がある。すなわち、値段が高いということだ。現在、国内の小売価格で、金は1グラム約2300円くらい、プラチナは4300円くらいする。(ちなみに、銀は1グラム50円くらい。)プラチナのほうが倍くらい高い。金は有史以来約14万8700トン採取されたが、プラチナは約4000トンしか採取されていない。こういう希少性に違いがある。

■加工のしやすさ■
また、金よりもプラチナのほうが加工に手間もかかる。まず、金が1トンの原鉱石から約6.7グラム取れるのに対し、プラチナは3グラムしか採取できない。さらに、金は融点が1064℃であるのに対して、プラチナは1768℃。精錬にかかる時間も、金が約一週間であるのに、プラチナは約八週間もかかる。こういうわけもあって、プラチナのほうが値段が高い。

■比重■
また、金とプラチナでは比重が違うので(金19.3、プラチナ21.4)、それぞれの金属で同じ大きさの延べ板を作ると、プラチナのほうがずっしり重くなる。つまり、使われるプラチナの重量が多くなる。従って金額も高価になる。だから、仮に同じ大きさの指輪を、金とプラチナのそれぞれで作ると、外見は一緒でもプラチナのほうが重くなって、値段も高くなる。

■良し悪しについて、
実用的な問題で考えると、まず、プラチナと金では、プラチナのほうが柔らかい。たとえば、プラチナの指輪をしながら重いものを持ったりすると、指輪は変形してしまう。(僕が知っている例だと、重いスーツケースを持ったら変形したとか、電車のつり革を握っていて、急ブレーキか何かで手に力がかかったときに曲がってしまったとか。)一方、18金はこれよりもずっと硬い。だから、強度という点ではホワイトゴールドのほうが勝っている。また、プラチナは重くて高価である点も問題だろう。見た目は微妙に違うが(プラチナのほうが黒っぽい銀色)、同じような形状のものを安く買うことができるのだから、ホワイトゴールドも悪くない。

■良し悪しについて□
ホワイトゴールドの最大の欠点は、変色してしまうところ。上に書いたように、すべてのホワイトゴールド製品は、表面にロジウムめっきを施してある。ということはつまり、使っているうちに、ぶつかったり傷ついたりして、だんだんその表面のロジウムがはがれてしまう。そして、若干黄色味を帯びた地金の色が表面に現れた状態になってしまう。これを元通りにするには、もう一回ロジウムめっきをするしかない。一方のプラチナは、ピカピカの銀色の光沢感が失われてしまっても(白っぽいふつうの銀色になる)、研磨すれば、つまり磨けば、また元通り光沢が再現できる。

ということで、どうだろう。同じ形の品物だったら、ホワイトゴールドでできているものを選ぶか。あるいはプラチナ製を選ぶか。僕は、「特別な買い物ならばプラチナを選んだらどうかな」とお勧めする。気軽に使うものや、ファッション的なものならホワイトゴールドのほうがいい。同じ風合いでも安くて丈夫で軽いのだから。でも、特別な気持ちで買うものならば(たとえば結婚指輪とか)、プラチナのほうがいいのでは。ということで、いかがでしょう、Fさん。

* * * * *

ここからは余計な話。

金やプラチナはどうやってできるのか。「そんなの当たり前じゃん、鉱山から掘り出して精錬してでき上がるんだよ」・・・じゃあ、その鉱山にある金鉱石やプラチナ鉱石はどうやってできたのか・・・。間違っても、ダイヤモンドみたいに地球の内部の圧力とかでできたものではない。たしかに、金という元素もプラチナという元素も、高温・高圧下で生成されるという点は間違っていない。しかし、仮に太陽の中心のような超高温高圧下でも、金やプラチナの元素を生み出すことはできない。

太陽をはじめとする恒星は一種の核融合炉で、水素をヘリウムに変化させる核融合反応を行いながら、莫大なエネルギーを放出している。水素の原子核(陽子)は、プラスの電気を帯びているので、二つの原子核をくっつけると言っても、実際にはプラス同士の電気力が反発してしまい通常の状態では融合できない。だから、恒星の内部のような高温高圧状態ではないとこの核融合反応は始まらない。

その昔、メンデレーエフの周期律というものを勉強したが、あの一覧表を思い出してほしい。水素は一番目、ヘリウムは二番目の元素だ。ヘリウムより重い元素はまだまだたくさんある。現在の太陽では、ヘリウムより重いこれらの元素は作りだされていない。温度が低すぎるのだ。プラチナ(原子番号78)や金(原子番号79)といった重い元素は、もっともっと超高温、超高圧の環境下ではないと生み出されない。

実際のところ、こういった重い元素がどのように作られたかについて、決定的な説明はまだない。一般的に考えられているのは、非常に巨大な恒星が超新星爆発を起こした際、その猛烈な爆風(ジェット)の中に大量の中性子が含まれているので、それが金や銀、プラチナやウランなどを作るという説。あるいは、二つの中性子星(かつて巨大な恒星が爆発した残骸)が衝突した際に、その衝撃でこうした重い元素が生成されるという説もある。

いずれの考え方にしても、こうした元素は、太陽よりもずっと巨大な恒星がその生涯を終えて、その結果生成されたものであるという点では一致している。どこかのはるか遠い宇宙空間で、数十億年以上のはるか昔に、想像を絶する環境の下、これらの金や銀やプラチナは生み出された。僕たちはこういうものを身につけている。
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ホワイトゴールド 核融合反応 超新星爆発 メンデレーエフ 急ブレーキ
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4 コメント

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プラチナと宇宙空間 (KAFKA)
2006-04-03 08:43:47
ホワイト・ゴールドとプラチナの違い・・・今まで考えたこともありませんでしたので、とても勉強になりました。



>どこかのはるか遠い宇宙空間で、数十億年以上のはるか昔に、想像を絶する環境の下、これらの金や銀やプラチナは生み出された。僕たちはこういうものを身につけている。



一見ロマンティックな響きもありますが、そう考えると人間の存在は何て小さなものか。レムの宇宙観に通底する感覚かもしれないなとも思います。
星くずの結集体 (タイセイ)
2006-04-03 21:58:51
今回は金や銀、プラチナなウランといった重い元素でしたが、もし機会があれば、人間を構成するもうちょっと軽い元素の由来も調べてみてください。



ちなみに人間のレシピは、水素61%、酸素26%、炭素10.5%、窒素2.4%、他に微量のカルシウム、リン、硫黄。



水素は宇宙開闢のビッグバンにてできたのでちょっと例外ですが、その他はみんな星(恒星)で作られました。人間もまた、かつて宇宙に輝いていた星の名残りということです。
お返事ありがとう (Fになりました。)
2006-04-12 23:02:46
タイセイさん、いつもいろいろとありがとう。

今回も楽しく拝見させていただきました。

お返事がおそくなってごめんね。



さて、わたしも紆余曲折(?)ありながらめでたくFになりましたー}

プラチナとホワイトゴールドの違いも、どっちを選択するかもこれでようやく決まることでしょう。(ほ)

さっそくパートナーに相談することにします。

私は、ついついデザインで選びたくなってしまう。どうなることやら、決まったらご報告させていただきますね。(え?別にいいって??)



最後に。『人間もまた星の名残り』というところがお気に入り。「あーそういえば乙女座だったよなー」と思い出しました。そう!すこしロマンチスト。そこがまた素敵なところだと思うよー



ロマンチストことタイセイ (タイセイ)
2006-04-14 22:02:52
だって、ほんとうに星屑なんだから仕方ないじゃんね!?僕も君も。この世の誰もかもが。



デザインで楽しむのは、別の機会にすればいいと思うよ。僕はいつもそう思うね。パートナーはかっこいいのとかが好きなのかな。



また今度の六月に福岡に行く予定ありです。仕事で。今度はもうお時間割いていただかなくて結構です。もう僕はお邪魔虫だからね。

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