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山形大学、2位の結城氏を学長候補に決定

2007-07-27 00:11:20 | Weblog
山形大学の知人からの速報によると、同大学学長選考のための学内意向聴取投票が7月25日に行なわれ、26日に投票結果が公表された。その結果は以下の通り。

1位:小山 清人  378票
2位:結城 章夫  355票
3位:加藤 静吾   56票


前文部科学事務次官から天下り的に出馬した結城氏は2位に終わった。この結果を受けて、同日開かれた学長選考会議で、10-4の大差で意向投票2位の結城氏が学長候補に選ばれた。

意向投票1位だった小山氏らは次のような声明を出した。


声  明  文

2007年7月26日
             
山形大学学長候補適任者  
山形大学理学部 加藤 静吾
山形大学工学部 小山 清人
               
(50音順)

山形大学学長選考会議は、昨日(7月25日)行われた学長選挙学内意向投票の結果を覆し、結城章夫候補を次期学長に決定した。われわれは、大学構成員の意向を蔑ろにした学長選考会議の決定に強く抗議する。本学の学長選考は伝統的に教育研究に携わる有権者による投票結果が曲がりなりにも尊重されてきた。学長選考会議の決定は、そうした本学の伝統を否定するとともに、山形大学の将来に大きな禍根を残すものである。

選考会議は、意向投票の結果を覆すこととなった選考会議の決定内容を本学のすべての構成員に対して説明する責任がある。選考会議主催の説明会を直ちに開催し、全教職員に説明するよう強く要求する。

今回の意向投票結果は,候補者としての結城氏が学内有権者の多数から支持されなかったことだけでなく,文科省からの「天下り」に対してもそれを批判した3候補への支持を合わせれば,結城氏支持に対して88票も多かったことから、大学構成員は同氏の「天下り」にも拒否の審判を下したということ示している。結城氏は潔くその客観的な事実を認め、学長就任要請を辞退すべきであった。
結城氏は13日の公開討論会(小白川)において、フロアーからの天下り批判に対し、つぎのように答えていた。
「人事当局の斡旋ではない。予算を背景に押し付けているものではない。仮に押し付けがあるなら拒否すればよい。選挙で選ばれて学長になった場合は、みなさんの選択になる。したがって天下りには該当しない」
しかし、大学構成員の少数派の意向を受けて、多くの選考手続き上の瑕疵にもかかわらず、学長就任要請を受けたということは、自ら「天下り」を認めたことに他ならない!

 さらにその公的な立場もわきまえず、結城氏を擁立し、学内に混乱を巻き起こした仙道富士郎現学長の責任は大きい。権力を私物化し、学長選考そのものを恣意的にコントロールしてきたことは明白であり、学長解任に値するとさえ、考えることができる。その現学長に推薦されてきた結城氏にも当然道義的な責任はあり、学長を辞退すべきである。

さらに私たちは、結城氏の学長候補推薦同意の時期の問題と合わせて、今回の学長選そのものが無効であると考える。つまり結城氏については,6月11日学長選考会議における第1次審査時本人の次官辞任同意が得られていないという瑕疵が有る事が指摘されており,手続き上の瑕疵を不問にしたままでの学長候補決定には,法的にも問題が残る。私たちは、大学構成員の意向を尊重し、選考会議は本日の決定を取り消すよう強く求めるものである。もし、このまま、結城氏を学長候補に決定するなら,法的措置をわれわれは考えなければならなくなる。そうなれば、より一層の混乱も予想される。学長選考会議における学外者主導での結城学長の押しつけは、大学にとっては百害あって一利なきものでしかなく、一層の混乱を引きおこすので,本学の真の発展を願うのであれば、ただちに撤回すべきでものある。
以 上


学長選考をめぐる新しい訴訟に発展しそうである。

ところで、政府内部では学長選考意向聴取投票など廃止して、すべて選考会議で決め競るべきだという議論がいま強まっているそうだ。すべて選考会議で決めるとどうなるか。学外選考委員が一部の学内選考委員とつるめば、あるいは、一部の学内委員が学外委員をとりこめば、学長に据えた人物を通じて大学を操作できる。一方、官僚にとっては、大学学長という世間体の良い名前を手に入れつつ機会をうかがい、本命の天下り先を考えることができる。いわゆる“天下りロンダリング”のアカデミック版として、高級官僚の中で国立大学長の人気が高まる。国立大学法人の理事兼事務局長のかなりが役員出向の官僚だ。天下り学長と出向官僚理事が組めば、やることの第一は、官僚の陣地の拡大であろう。そのかたわら、大学の支配となった官僚が学外の産業界と手を結ぶ。官産の大学支配完成へまた一歩近づくのである。

まあ、そういう意味で、かつての国立大学学長選挙のような半分眠ったムラ型ロウ・ポリティックスが、前事務次官殿のご出馬で、突如、目の覚めるようなハイ・ポリティックスになってきたのが、せめてもの副産物であろうか。

(2007.7.26 花崎泰雄)

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