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news commentary

一枚めくれば

2017-11-06 16:56:15 | Weblog

以下はためにする冗談である。念のため。 

日本に到着するや否や、川越のゴルフ場にヘリで乗り込んだトランプ米大統領が、コースに出て言った。「良いコースだ。機会があれば買い取りたい」。現職の米大統領だから、名目上は商売から切れているトランプ氏だが、トランプ・ゴルフという会社はアメリカやイギリスに17のコースを持っている。ゴルフも好きだがコースを所有するのもすきなのだ。

日本の安倍晋三首相から銀座の鉄板焼き屋に誘われたトランプ大統領が言った。「アメリカの肉ならもっと良かった」

アメリカ国内では世論調査によるとトランプ大統領についてネガティブな見方をしている人が、ポジティブな見方をする人より多い。さらに、いわゆる「ロシア・ゲート」の疑惑の波がトランプ氏の至近距離まで迫ろうとしている。EUのリーダーたちとの仲は冷え切ったままだ。いまトランプ氏をあたたかく迎えてくれるのはシンゾーだけだ。彼の“extraordinary” relationshipという言葉にはその気持ちが込められている。

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冗談はさておき、北朝鮮に核弾頭と大陸間弾道ミサイルを捨てさせることが可能かどうか、という点になると、答は誰も出せない。

サダム・フセインのイラクは核兵器を持っていなかったので、アメリカに叩きつぶされた。北朝鮮はこれを教訓にしている。核兵器はアメリカを交渉に引っ張り出し、生き残るための手段だ。それを捨てれば、北朝鮮がイラクになる。

たとえば、インドは核兵器も運搬手段のICBMも持っている。インドのICBMは5000キロを飛ぶ。だが、インドの核ICBMを米国も欧州も近隣国も、安全保障上の抜き差しならない脅威ととらえているようには見えない。隣り合わせの中国は脅威を感じているかもしれないが、中国も核戦力を保有しており、最終的には両国間に相互確証破壊という核の恐怖のバランスによる安定が生まれるだろう、という安心感と気休めがある。

核兵器が怖いというより、その引き金を引くことができるのは誰か、それが恐怖の核心である。そうであれば、北朝鮮のいまの指導部を排除するしか方法はない。中国も北朝鮮の核ミサイルには気分を害している。中国も北朝鮮のミサイルの射程内だ、という発言が漏れ伝わればなおさらだろう。

日本はソ連・ロシアの核ミサイル、中国の核ミサイルの標的に含まれてきたのだが、それよりも北朝鮮の核ミサイルの恐怖が大きいのは、キム・ジョンウン指導部を正気を失った政権と考えているからだ。同様に「米国の決意を軽く見るべきではない」と発言するのが、オバマ前大統領なのかトランプ現大統領なのかで、その怖さは変わる。

北朝鮮の核武装解除は成功せず、核保有に暗黙の了承を与える可能性もささやかれ始めている。そうなると、韓国が核武装によって、軍事バランスをとろうとするだろう。韓国が核武装をすればいずれ日本も核武装をする。日本政府は、現行日本国憲法は自衛のための核武装を禁じていない、とかねがね表明している。

国連の核廃絶決議で日本政府は今年の提案で、これまでの「核兵器のあらゆる使用による壊滅的な人道的結末についての深い懸念」から「あらゆる」を削除して、「核兵器の使用による壊滅的な人道的結末」と変更した。この変更は、核攻撃を受けた場合、核による報復の余地を残しておこうとする、日本の考え方を示唆している、との見方も報道されている。

北朝鮮の核の脅威をきっかけに北東アジアに核武装のドミノが広がる。その可能性はある。冗談じゃない。

 

(2017.11.6 花崎泰雄)

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