詩はここにある(櫻井洋司の観劇日記)

日々、観た舞台の感想。ときにはエッセイなども。

2回目『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』プレビュー公演 2017年7月23日 赤坂ACTシアター

2017-07-23 18:34:04 | 日記
昨日に続いて『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』のプレビュー公演へ行きました。大人のキャストは昨日のソワレに出演していなかったメンバー。ビリーは加藤航世。バレエ経験は五人の中で一番あるらしいが、技術は安定していない部分もあって年齢相応の出来に終わっていた。アクロバットは不得意のようで、昨日の木村咲哉がやっていたようなバク転2回といったような大技は入っていなかった。どうもElectricityの振付は五人とも微妙に違うらしい。とはいえ、あと三人の振付を確認したくなるほど作品に魅力は感じられなかったというのが正直な感想。

今日の上演で一番輝いていたのはウィルキンソン先生を演じた柚希礼音。宝塚のトップスターだっただけあって舞台から発するオーラが明らかに違う。歌もダンスも芝居も貫禄の安定感。ウィルキンソン先生が振付を考えた設定になっているShineでは子供達に羽を持たせて自分が主役になってしまうのだけれど、流石に宝塚だけあって決まっていた。さらにカーテンコールでは頭にティアラをつけてスパンコールのついたチュチュで登場で存在感は抜群だった。

ビリーの父親役は益岡徹。少々声を潰していたような気もしたが、とってもリアリティを大切にした演技だと感じた。派手さはないけれど、ビリーへの愛情溢れる理想的な父親像を作ったと思った。

昨日は半分聴き取れなかったアンサンブルも2回目だからか、よく聴き取れたのは何より。英国の国有企業だった炭鉱がサッチャー首相によって民営化されストライキが長期に渡って行われ、最終的には労働者側が敗北するという流れもよく理解できた。第2幕の冒頭サッチャー元首相を戯画化して徹底的に批判する。今の日本で安倍首相を茶化すなどという勇気のある演劇人はいないと思うので、その自由な空気を羨ましく思う。

ミュージカルなので暗い物語だけではなく息抜きとなるような場面もアンコール含め用意されていて楽しい。特に一矢乱れることのないタップダンス見事だった。タップダンスといえば、往年の中野ブラザーズの格好良さを思い出すけれど、集団でのタップダンスも見事だった。繰り出される様々なギャグに素直な客席子供の反応が面白かった。キャッキャと笑い声を立てる小さな観客達は十分楽しんでいたようだ。

そしてオーケストラ。キーボードを弾きながら指揮をする指揮者だけが見えてオーケストラは舞台の下に潜りこんでいて全く見えないというバイロイトのオーケストラピットのような形式。9名のミュージシャンだけのオーケストラらしいが破綻なく演奏。演出のせいか出演者とオーケストラの交流はなかったような気がする。

カーテンコールでは男性を含めてチュチュを身につけるという笑撃的な場面だけれど、下品にならず、出演者自身が楽しんでいる感じなのが客席へも伝播して面白かった。

印象に残ったのは、ビリーがロンドンに旅立ち日に炭鉱達が炭鉱へ入っていく場面。斜陽産業で未来のなどないというのをヘッドランプの照明だけで見せて、ビリーをシルエットで見せる場面。本当はビリーが好きなマイケルに最後にビリーがキスをするために舞台に戻る場面。どちらもちょっぴり切なくて余韻が残った。
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