はんどろやノート

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怪物イトダニの右玉戦法

2006年10月09日 | しょうぎ
 今年4月、プロデビューした将棋棋士糸谷哲郎(いとだにてつろう)が快走している。17勝4敗、勝率.810(全棋士中1位)、そして今新人王戦決勝を戦っている。
 糸谷哲郎はまだ18歳(広島学院高校3年)である。「怪物」などと呼ばれている。有望な若手が出てくると、すぐ、「天才」とか「怪物」とか呼びたがるが、天才と怪物の違いはなんだろう? 体重差か?
 以前このブログで故村山聖が広島将棋センター出身であることを書いた。その広島将棋センターからその後有望な若手がプロ棋士として生まれている。2号山崎隆之、3号片上大輔、そして第4号がこの「怪物イトダニ」糸谷哲郎だ。(みな、森信雄門下。それぞれユニークな棋士である。)
 イトダニの場合、その風貌もおもしろいが、将棋の内容もおもしろいのだ。
 「イトダニ流」と呼ばれる。デビューしたときからそうしたネーミングを与るほどの戦法をもっている。
 相手が振飛車で来た場合、「戦場」は盤の右側になる。だから「戦場」から遠ざかる左側に玉をもっていくのが定跡だ。それを1番遠く、左隅まで移動させておくのが「居飛車穴熊」でプロ棋士はみなこれを得意としている。
 ところが「イトダニ流」は玉を逆に右へもっていくのだ。すべての駒を右にもっていき、その圧力で「戦場」を制圧しようという作戦だ。
 実はこの戦法は糸谷哲郎のオリジナルではない。アマチュアのあいだではときどき指すひとがいて、僕もこれを相手にして戦ったことがある。本に書いてない戦法なので、相手を惑わす効果がある。
 しかしプロでこれを使うひとはこれまでいなかった。だから「イトダニ流」と名づけられたわけだ。イトダニの将棋を見ているとホント面白い。その右玉戦法がプロのなかでどこまで通用するのか、たのしみだ。
 今のところ、十分通用している。この戦法で羽生善治と戦う日はいつくるのか。羽生はどんな対策でむかえうつのだろうか。


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