はんどろやノート

ラクガキでもしますか。

終盤探検隊 part98 ≪亜空間 最終戦争…の前≫

2017年01月25日 | しょうぎ
≪6五歩桃太郎図≫

 終盤探検隊は、≪亜空間の主(ぬし)≫と戦争をしている。≪亜空間≫は狂気の世界であり、≪主(ぬし)≫は、その住人であるが、姿かたちはなく、正体は不明である。
 

    [文房具vs鼬族]
まずコンパスが登場する。彼は気がくるっていた。(以下略)
ナンバリングは人知れず静かに狂っていった。(以下略)
糊が登場する。糊は色情狂だろ思われていたが紙の楮先生に言わせれば性倒錯者ではなく実は単に性欲が人並みはずれて旺盛なだけであった。(以下略)
次に登場するのは日付スタンプである。彼は日付がわからなくなって以来気が狂ってしまっていた。(以下略)
ホチキスが登場する。彼はきちがいだった。誰かれなしに喧嘩を吹っかけた。(以下略)
ここで輪ゴムが登場する。彼は気が狂っていた。(以下略)
ここで二十五種ひと組の雲形定規が登場する。彼ら二十五人は合成樹脂製だったので寒さに強く、そのため冷艦カマキリ号の保全作業を任命されていた。彼らは全員が狂っていた。それぞれ形が違うくせにお互い見わけがつかず、全員が自分を見失っていた。(以下略)
分度器が登場する。彼は完全に気が狂っていた。自分のことをコンピューターによって行動をプログラムされているロボットだと思っていた。(以下略)
次に虫ピンが登場する。誰も知らなかったが彼は気が狂っていた。(以下略)
パンチが登場する。彼はもともと殺人狂だった。(以下略)
ルーペ(むしめがね)は幻視者だった。白昼夢の如く突如眼前にとんでもないものを幻視しそれは必ず実現する。そのことを信じているのはルーペ自身と副船長のメモ用紙だけだった。紙の楮先生はなぜか彼のESPを信じない。(以下略)
清掃要員のチョークは明朗で快活で仕事を手際よくこなし滅多に不満をもらしたことはなく誰からも悪意を持たれていなかった。彼は気がくるっていた。(以下略)
一時的言語障害が癒えると同時に船長赤鉛筆の本来の病気が再発した。(以下略)
戦いが近づくとたいていの者の精神は異常な部分が発生する。精神の異常を訴えてくる者こそが正常なのだと楮先生は思う。だが、楮先生は狂えない。悲しいことだ嘆かわしいことだと楮先生は思う。わしがいちばん異常なのではあるまいか。(以下略) 
                            (筒井康隆著『虚航船団』より )



 “彼ら”は宇宙船団の「文房具船」の乗組員。全員、文房具だ。
 “彼ら”に指令が発せられた。惑星クォールへ行き、そこに住む鼬(イタチ)族を殲滅せよという指令である。
 その戦争の物語『虚航船団』の第一章は、この宇宙船の乗組員である「文房具」が一人ひとり丁寧に紹介される。ところが、一人残らず、気が狂っている。
 この小説を読むのはたいへん苦労をする。なぜなら、登場する全員が狂っており、“感情移入”が難しいからだ。改行もほとんどない。
 第二章は、惑星クォールに住む鼬(イタチ)族の歴史を延々と紹介する章となっている。これも世界史のパロディになっており、知識があれば面白いのだが、しかしやはり“感情移入”をしたくなるような人物が登場しないので、読むのが苦行のようなところがある。
 こういう文章がある。

 960年、グリダイジョ合鼬国はグリソニスに大規模な原子力研究所を作った。所長のオッペンタイラーはグリフォードとゾーアをここに招き、核分裂反応を利用した原子爆弾の研究に従事させた。彼らは963年、原子核の破壊に成功した。

 どうやらイタチ族(もともと流刑された種族だった)の科学がこのように発展しすぎたために、「殲滅せよ」という指令が下ったようである。
 この文章の、オッペンタイラーはオッペンハイマー、グリフォードはラザフォード、そしてゾーアはボーアなのだと、物理学の歴史に興味がある人はわかる。(実際の歴史ではラザフォードは核分裂発見の前に亡くなっているのだが)
 このように一部の人がわかる冗談をいたるところに散りばめ、しかし大部分の人にはそれはわからない。わからないままに放っておく。

 この小説は、このように、読者を簡単には“感情移入させない”という特徴がある。そういう意図で書かれているのだろう。
 筒井康隆の小説で有名なのは、TVドラマ化された『時をかける少女』、『エスパー七瀬シリーズ』、そしてアニメ映画化された『パプリカ』など。これらはみな少女(パプリカは少女ではないがキャラ的には少女っぽい)が主人公になっている。
 だから、“感情移入”がしやすいのである。(SFファンというのは結局“少女”にたいへん弱い人種のようだ)
 筒井康隆の作風は、一言でいえば、「男の狂気を描く」である。狂人であれば、ふつうは“感情移入”ができにくいもので、それをなんとか読ませてしまうというのが、作家の才能である。エスパー火田七瀬のシリーズや『パプリカ』では、そういう“感情移入しやすいキャラ”をつかって、読者を狂気に引き込んだが、これは作家としては“安易なやりかた”であろう。
 筒井康隆は『虚航船団』では、そのような“安易なやりかた”をいっさい使わず、狂気を狂気らしく描いたのだと思われる。とにかく、読みづらい小説である。

 なお、小説タイトルは『虚航船団』であり、「虚構」ではない。(これは特に重要なことではないかもしれないが、たいへん間違えやすいので書いておいた)
 また、文房具登場人物の一人「紙の楮先生」の読み方も意味もわからなかったので、調べてみてそれでわかったが、「楮」は「ちょ」または「こうぞ」と読み、中国ではある故事から「楮先生」(ちょせんせい)と“紙”のことをこう呼ぶのだそうだ。(和紙の材料が「こうぞ」と学校で習ったが、「楮」と書くのである。) この小説の中では、「紙の楮先生」は船医であるが、これも“繊維”にかけた駄洒落なのだろうか。
 さらに、鼬族の住む惑星は「クォール」だが、イタチにちかい動物でそのような呼び名に当てはまるものがないかと調べてみたが、特に見つからず。するともしかしたら、これはヴァン・ヴォークト著『宇宙船ビーグル号の冒険』の有名な宇宙猫「ケアル=Coeurl」から取ったネーミングか。(ケアルは人間の宇宙船を乗っ取って動かすほど知恵がある怪物猫である)


≪夏への扉図≫
  【あ】5八同金  → 形勢不明
  【い】3三歩   → 3つの「先手勝ち筋」を発見!   
  【う】7三歩成  → 後手良し
  【え】9一竜   → 後手良し
  【お】6五歩   → 後手良し

 【お】6五歩は“後手良し”と結論をすでに出している。(報告part82)
 しかし、ほんとうにそうだろうか。我々終盤探検隊は、もう一度ここでの【お】6五歩を再調査してみたいと考えた。
 そのきっかけというのは、前回・前々回の『赤鬼作戦』の成功である。『赤鬼作戦』を成功させたのは、次の参考図の「6五歩」があったからである。 

参考図(赤鬼作戦の6五歩)
 これだ。ここからあまりに鮮やかに先手が勝てた。これほど6五歩が有効とはそれまでは考えなかったのが、これで印象が変わった。


<桃太郎作戦>

≪6五歩桃太郎図≫
 そこで、この【お】6五歩である。 この図での「6五歩」を、『桃太郎作戦』と呼ぶことにした。大将自らが右パンチを放って敵と闘っているようにも見える図である。

 以下、5九金、6四歩、同銀が予想される(次の図) 

≪6四同銀図≫
 ここで3三歩のように攻めていくと、8四桂と打たれ、この手に8五玉や8六玉では詰んでしまうので、7七玉しかない。すると6五桂、7八玉となり、そこで3三桂と手を戻され、これは後手優勢である。以下3四歩は、後手7六桂が決め手になる。3三歩成は同銀で、この場合は後手が金を手に持っている関係で、3四桂としても同銀で後手玉に詰みはない。(後手が金を持っていなければ1一角から詰む。この詰みはあとで出てくる)
 8四桂と打たれてはまずいので、この図では9一竜が先手の正着となる。これなら、8四桂には、8五玉とし、以下9四金、8六玉は、後手に“9四金と打たせた”ことになって、先手良し。
 だから後手は先手の“入玉”をさせないためにも、7五金と打つ(次の図)のが有力となる。

≪7五金図≫
 7七玉、6五桂、8八玉、6七と。(6七とでは7六桂もある)
 ここで先手は3三歩。手裏剣を飛ばす。
 以下、7七桂成、9八玉。そこで後手の手が分かれる。

≪9八玉図≫
   〔L〕3三桂 
   〔M〕3三銀
   〔N〕7八と
   〔O〕7六金

3三桂図01
 〔L〕3三桂(図)と応じたところ。
 前回調査時(報告part82)は、ここで8九香以下、先手負けと結論を出している。
 しかし再調査により、結論が覆ったのである。ここは、「3四歩」または、「7九香」で、先手勝てる、と。
 これによって、新しい希望の道が我々の前に開けてきた。
 やはり「感情移入」は人間にとって重要な要素だ。前回はこの「6五歩で勝つ」という思いが足らなかったから、あっさり“後手良し”と結論を出してしまった。今回それを覆したのは、「6五歩」に対する強い「感情移入」があったからだと思う。

 ここでは「3四歩」(次の図)以下を解説する。 
 
3三桂図02
 「3四歩」(図)には、後手<1>7八とと、<2>7六金とがある。

 <1>7八と以下は、3三歩成だが、これを同銀なら、3四桂がある(次の図)

3三桂図03
 前回調査のときは、終盤探検隊は、この“詰み”を見逃していたのであった。
 3四同銀、1一角、同玉、3一飛、2一角、2二角、同玉、3三銀、3一玉、3二香以下、“詰み”。
 (この詰みは後手が金を持駒に持っていると成立しない。すなわち、3一飛に2一金合なら不詰。後手が7五金と金を使ったためにこの筋が詰みになった)

3三桂図04
 よって、3三歩成には、後手同玉しかないが、先手は1一角(図)と打つ。
 これには4二玉が粘りがあるが、2二桂の場合を先に解説しておく。(3四玉は5六角、4五桂、2五銀以下詰み)

3三桂図05
 2二桂合には、3八飛(図)

3三桂図06
 ここで3五歩や3六歩は、2五桂と打って、それから2二角成で先手良し。
 後手は3七歩とするが、それには3六香。

 “4四玉”と逃げるのは、2二角成、5四玉、7八飛、同成桂、5六銀(次の図)

3三桂図07
 2二の馬が8八に利いていて、先手玉は詰みを逃れている。この図は先手勝ち。

 したがって、前図の3六香には、“4二玉”と逃げるが、それには2二角成(次の図)

3三桂図08
 先手玉は飛車と角とで自玉の“詰み”を逃れており、後手玉は3一角以下の“詰めろ”。
 適当な手のない後手は、図以下、8八成桂から勝負する。同馬、同と、同飛。
 そこで5五角では4五桂で後手勝てないので、4五角と打つ。その手には5四歩、同角、3一角、同玉、3三銀とする(次の図)

3三桂図09
 これで先手勝ちになった。


3三桂図10
 戻って、1一角に、4二玉と逃げる。このほうが紛れが多く先手としては手ごわい。
 これには7九金(図)と打つ。同金なら7七角成で、はっきり先手良しになる。
 ここで<v>3三歩、<w>7六金、<x>7六桂を見ていくことにする。先に結論を書いておくと、いずれも先手良しである。

3三桂図11
 <v>3三歩。これは1一角の利きを遮断する手。次に7九とで金を取るつもり。
 先手は6一飛と打って、これが3一角以下の“詰めろ”になっている。5三玉と先逃げで受けるが、3一角、4二桂、5六香、5五銀上、同香、同銀、4五銀(次の図)

3三桂図12
 以下、6二歩に、7三歩成(6二飛成、同金、5一竜以下の詰めろ)、6四玉、6二と、7九と、5二とと進めば、後手玉は詰んでいる。

3三桂図13
 <w>7六金。先手玉に“詰めろ”をかけた。9六銀や8九香と受けるのでは、7九金で先手負け。
 先手ピンチに見えるが…
 3四桂と打って、5三玉に、5六飛と打つ(次の図)

3三桂図14
 以下、5五銀引、7六飛、同成桂、7八金として、このピンチを脱す。
 続いて、3八飛には、6八香。

3三桂図15
 そして3四飛成には、3五歩(図)と打って、先手が優勢である。
 以下一例は、3五同竜、7三歩成、7五桂、6三と(次の図)

3三桂図16
 6三同金は、5一竜、5二歩、1七角がある。
 よって6三同玉とするが、それには、6一竜として、6二桂に、8五角が狙いの一手(次の図)

3三桂図17
 7六の後手の成桂を取ってしまえば先手に怖いところはなくなり、先手勝勢となる。

3三桂図18
 後手の3つ目の候補手<x>7六桂。これも8八と以下“詰めろ”だ。
 これには8九香と受けておけば、後手の次の攻めがない。7九とには7七角成がある。
 よって後手は3三歩だが、3四桂と打つ(次の図) 

3三桂図19
 同歩なら6一飛と“詰めろ”をかけて先手優勢。
 したがって、3四桂に5三玉だが、これには4五銀と打つ。
 以下、6三玉に、7三歩成(次の図)

3三桂図20
 7三同玉には7一飛と打って、二枚飛車で寄せていく。
 7三同銀にも7一飛。以下、6四玉には、3一角と打ち、7四玉に、7二竜、6三金、5三角成(次の図)

3三桂図21
 後手受けがなく、先手勝ち。

 先手「3四歩」に<1>7八とは“先手良し”とわかった。

 
 次は、<2>7六金。

3三桂図22
 「3四歩」に、<2>7六金(図)の場合。
 この場合も3三歩成とし、同銀は3四桂の詰みがあるので、3三同玉。
 以下、1一角に、4二玉、8九香(次の図)

3三桂図23
 1一角に2二桂合の場合も同様に8九香で受けておけば問題ない。
 ここで後手は7五桂と攻めてくる。先手は9六銀とこれを受けるが、7八とがまた“詰めろ”である。この攻めを先手はどう凌(しの)ぐか。 
 3四桂と打ち、5三玉に、5六飛(次の図)

3三桂図24
 5五銀上に、7六飛。上でも出てきたこの飛打ちで“詰めろ”を消す。これで“攻守”が逆転する。
 以下、7六同成桂、4五金、6四玉、6一竜、6二歩、3八角と、逆に後手玉を、“詰めろ”で攻める(次の図)

3三桂図25
 単純な受けのなくなった後手は、8七桂成と攻めてくる。以下、同銀、同成桂、同玉、7七飛、9八玉、6五銀と進む。(7七飛で6七飛は7八玉があって後手悪い)

3三桂図26
 そこで5六桂(図)が決め手になる。7五玉なら5五金、同銀、同角成で。5六同銀右は、同角、同銀に、5五銀と打って“詰み”。
 5六同銀直と取って、4六金に、8六桂、同香と犠打を打って、それから3三歩と角の利きを止めて後手は抵抗するが(単に3三歩だと5五銀、7五玉、8六金で詰みだった)、それには―――

3三桂図27
 8七桂(図)とぴったりの手があった。 これで先手勝ちが決まった。

 後手<2>7六金も、先手が勝てる。



 後手の3三桂に「3四歩」以下を解説してきたが、「7九香」(図)でも先手が勝ちになる。これは7七香で桂馬を取ってそれを3四に打てば後手玉が簡単に詰むからである。
 したがって、7九香には、後手は成桂を取らせないで攻めるには7八としかないが、これは同香と取り、同成桂、3八飛、6八歩、5六角、7七成桂、3四歩と、後手玉に"詰めろ"をかける(次の図)


 これで先手が勝ちになる。以下、3七歩には、3三歩成、同銀、3七桂とした図が、また2三角成以下の“詰めろ”になっている。(後の解説は省略する)


≪9八玉図≫
   〔L〕3三桂 → 先手良し
   〔M〕3三銀
   〔N〕7八と
   〔O〕7六金
 〔L〕3三桂は先手良しが確定した。 〔M〕3三銀はどうなるのか。

3三銀図01
 〔M〕3三銀には、3四歩とたたく。
 これには同銀が本筋だが、4二銀と変化してきた場合をまず解説しておく。

3三銀図02(3四歩に4二銀の変化)
 3四歩に4二銀(図)の場合。
 これには4一角とする。
 対して3一歩では、2五香、3二歩、2六飛、1一桂、4五角で、後手受けなしになる。
 よって、4一角には3二歩。

3三銀図03
 しかし3二歩には、3三香(図)があって、後手玉は寄り。
 以下の一例は、3三同桂、同歩成、同銀(同玉は1一角、2二桂、4五金)、5二角成、8七成香、同玉、8四香、8五桂(次の図)

3三銀図04
 先手は“歩切れ”なので、歩の代わりに桂で8五桂と中合いをして、先手玉は詰みを逃れている。
 先手勝ち。


3三銀図05
 というわけで、3四歩のたたきには、後手は同銀(図)と応じるのが本筋となる。
 ここで4一に、飛車や角や銀を打ち込む手が見えるが、それでは先手勝てない。たとえば4一飛は、7六金、8九香、9五桂、9六銀、7八ととなって、後手勝ちになる。(4一飛が詰めろになっていないので攻められてしまう)
 4一角や4一銀は、3一歩と受けられて、5二角(銀)成としても、同歩で、後手玉が詰まないので、やはり先手負けになる。
 
 しかし、この図では、先手に“好手”があって、先手が優勢になる。

3三銀図06
 図の「3三香」が、先手勝利への道をこじ開ける“好手”である。
 対して、後手はどう受けるか。考えられる応手は、次の5つ。
   (ガ)3三同桂
   (ギ)3二歩
   (グ)3三同玉
   (ゲ)3一歩
   (ゴ)3二桂

 (ガ)3三同桂は、先手に4一飛と打たれると、これでもう後手は“受けなし”になってしまう。(8七成桂、同玉、8四香には、8五桂で先手玉は詰まない)
 したがって、(ガ)3三同桂はない。

3三銀図07
 (ギ)3二歩が一番ふつうに思える受けだが、これには4一銀と打つ。後手4二金では、3二香成、同金、同銀成、同玉、3一飛から詰むので、後手の応手は3三玉しかない。
 そこで、1一角と打ち、2二桂合に、3一角がある(次の図)

3三銀図08
 この3一角があるので、この攻めが有効になる。
 ここで後手7六金や7八と(先手玉に詰めろをかける)では、2二角左成以下、後手玉が“詰み”となる。2二角左成に2四玉は、2六飛、2五銀、3六桂、3五玉、4四馬、同歩、同角成まで。2二角左成に4二玉は、3一馬、同玉、3二銀成、同玉、2二飛以下。
 といって、図で4四玉と早や逃げするのも、6四角成があるため、後手にこの図では勝ち目はない。

 しかし1一角に2二香合だったら、2二角左成、2四玉のときに桂馬がないので詰まないため、ここで7六金(先手玉への詰めろ)が先手で入り、事情が違ってくる。しかしその場合も結局、先手が勝ちになる。その手順を示しておくと
 7六金、2二角左成、2四玉、2六飛、2五銀、1五金、3五玉、2五金、4五玉、2三馬、5四玉、8九香、7五桂、9六銀(次の図)

3三銀図09
 この図は正しく指せば、先手勝ち。
 7八とには、同馬、同成桂、4六飛。3三桂なら、4六飛、5五銀、6一竜、6二歩、4五銀の要領で。

3三銀図10
 (グ)3三同玉。 これには1一角と打つ。
 後手の応手は、4二玉2二桂(香)合だが、4二玉には次の先手の決め手がある。

3三銀図11
 5四飛である。これで先手勝ちが決まる。次に3一銀、同玉、5一竜以下の“詰めろ”になっており、受けもない。(3一歩には3二金、同玉、5二飛成、同歩、4一銀、4二玉、5二銀成、同玉、4一角以下、“詰み”がある)

3三銀図12
 戻って、1一角に2二香(桂)合の場合は、ここでも3一角と打つ手が有効で、これが“詰めろ”になっている。その詰め手順を示しておくと、後手の7六金に、2二角右成、2四玉、2六飛(図)と打って、2五銀に、2三馬、同玉、2五飛、2四桂、3二銀(次の図)


 先手に「桂」がある場合はここで1五桂から詰んでいた。この場合は桂ではなく「香」なので、この3二銀(図)からの“詰み”になる。3二同玉に、3四香と打ち、2三玉に、2二角成がある。以下、3四玉に、2三銀、2五玉、2六金まで。
 この変化も、先手に3一角の好手があって、これが6四の銀取りになっているために、後手は(4四玉のように)逃げる手が利かなかったのが先手の勝因になっている。

 (グ)3三同玉は先手勝ち。

3三銀図13
 (ゲ)3一歩(図)は、どう攻略するのがよいだろう。
 4一銀は3三玉で息切れする。これは後手良し。
 しかしここで先手にうまい手があった。

3三銀図14
 3一同香成(図)である。
 これは後手同玉しかないが、そこで1一角と打つ。この手は3二銀、同玉、2二飛以下の詰めろになっている。
 なので後手は2二桂と受けるが(4二玉には5四飛)、そこでまた先手に好手が用意されている(次の図)

3三銀図15
 6二飛(図)。 これで後手玉はほぼ受けなしになった。
 4一玉くらいしかないが、それには3一銀と打って、“必至”である。

 (ゲ)3一歩には、同香成で、先手勝ち。 

3三銀図16
 後手最後の手段(ゴ)3二桂(図)。
 妙な受けに見えるが、これは先手の4一銀に、3一歩と受けるという意味。
 それでもやはり先手は4一銀と打ち、3一歩に、3二香成、同歩、そこでいま取った桂馬を2六桂(次の図)と打つのが良い手になる。

3三銀図17
 後手4五銀に、5二銀成が“詰めろ”になっている。(2六桂に2五銀は後で解説)
 これを後手同歩なら―――

3三銀図18
 1四桂で華麗な“詰み”。 派手な手だが、意味は単純で、2六に金や飛車を打つスペースをつくる意味。
 1四同歩に、3一角、3三玉、2二角打、3四玉、2五金、同玉、2六飛、3四玉、2五金まで。

3三銀図19
 5二銀成を放置して後手が攻める――たとえば8四香だと、後手玉は詰む。
 この図の示すように、4四角と打つのである。
 以下の詰め手順は、4四同歩、3一角、同玉、5一竜、2二玉、2一竜、同玉、4一飛、3一角合、1一金、2二玉、3一飛成以下。

3三銀図20
 2六桂に2五銀の変化。この場合は、まず3一角と打って、これを同玉は、4二金、2二玉、3二金、同玉、3一飛、同玉、5一竜以下詰み。
 よって後手は3三玉と逃げるが、そこで―――

3三銀図21
 3五飛(図)がある。 同銀に、2二角打以下、3手詰。
 3四香は、4二角打から。 2四玉には、3四金から“詰み”である。

 (ゴ)3二桂も先手勝ちになり、これで“3三香”で先手が勝てることが証明された。


≪9八玉図≫
   〔L〕3三桂 → 先手良し
   〔M〕3三銀 → 先手良し
   〔N〕7八と
   〔O〕7六金

 つまり、こうなった。

 残るは〔N〕7八とよ〔O〕7六金だが、これはいずれも先手「3三歩」を手抜きする手である。

7八と図01
 〔N〕7八と。(〔O〕7六金も同じ手順で同じ結果になる)

7八と図02
 〔N〕7八と、3二歩成、同玉、3三歩(図)
 これに同桂は、詰む。 この“詰み”がなかなか難しいのだが。
 詰み手順は、2一銀、同玉、4一飛、3一歩、2二香(次の図)

7八と図03
 2二香に同玉は、1一角、3二玉、3一飛成以下。
 2二香に3二玉に対する手順がまた気づきにくい詰め方で、3一飛成、同玉、3二銀とする(次の図)

7八と図04
 この3二銀に代えて3二歩だと4一玉で詰まない。以下の手順は省略。

7八と図05
 3三歩に、同玉の場合。これには1一角(図)と打つ。
 これに2二桂の場合は、いったん8九香と受けに回る。さらに後手は7六金と“詰めろ”をかけてくるが、これも9六銀と受けておく(次の図)

7八と図06
 これで後手にうまい攻めがない。
 それでも、8九と、同玉、8七金と攻める手はある。それには、同銀、同成桂、3八飛(王手)とする。
 以下、3七歩に、4五金(次の図)

7八と図07
 3八の飛車が先手玉の“詰めろ”を消して、4五金が後手玉の“詰めろ”になっている。2二角成、同玉、3四桂からの詰みである。先手勝ち。

7八と図08
 1一角に、後手4二玉の場合。
 この手には、“詰み”がある。

7八と図09
 3一角(図)と打って、以下、“詰み”。 3一同玉に、3四飛と打って詰みだ。3三歩には、2二銀、4二玉、3三銀成、5三玉、5四銀以下。


≪9八玉図≫
   〔L〕3三桂 → 先手良し
   〔M〕3三銀 → 先手良し
   〔N〕7八と → 先手良し
   〔O〕7六金 → 先手良し

 これで、この図は「先手良し」が確定した。


≪6五歩桃太郎図≫
 しかしそれでこの6五歩作戦(桃太郎作戦)が成功かと言えば、それを宣言するのは早計である。後手にもまだ対抗手段があるからだ。



7六桂図01
 今研究してきた手順で、後手が、6七とに代えて、7六桂(図)とする手がある。以下、9八玉に、7七桂成で、“詰めろ”がかかる。このほうが攻めが早いのだ。(ただし7五の金を7六に進められないという欠点もある。一長一短だ) 

7六桂図02
 ここでどう受けるか。“8九香”が見えるが、どうだろうか。
 以下、6七と、3三歩、7八と(次の図)

7六桂図03
 3二歩成、同玉、3八飛という手はあるが、3三歩と受けられ、その図は、先手に適当な受けがなく、先手不利。
 しかし先手にもまだ手段はあった。3三歩に代えて、9五角(次の図)と打つのである。

7六桂図04
 7八となら、7七角と成桂を取って、同とに、3四桂、3三玉、4五金となって、先手勝ち。これが9五角と打った手の狙い。
 しかし7八とではなく、7八成桂が後手の最善手。
 先手はそこで3三歩と攻め、同銀(同桂は5六飛で先手良し)、3四歩、4二銀(3四同銀は4一飛で先手良し)と進む。
 以下、4一銀、3一歩、5九角(次に1五角と出る手が3三金以下後手玉への詰めろになる)、8九成桂、同玉、7七香(次の図)

7六桂図05
 9八玉、7八香成、9六歩、8八桂成、9七玉、7七と、7九桂、7六金、8六金、9九成香(次の図)

7六桂図06
 ここまで進めてみると、はっきり後手良しになった。先手玉は、8六金、同玉、8四香からの“詰めろ”になっている。ここで7七角、同成香、7六金、同成香という手で勝負するしかないが、正しく応じられると先手は勝てない。
 「7六桂、9八玉、7七桂成」の攻めに、“8九香”では、先手勝てないようである。

7六桂図07
 終盤探検隊の調査では、“8九金”(図)と受けるのが先手最善手で、これなら、先手勝てる。(ただしこの後もそう簡単ではない)。
 8九金に、6七となら、7九香と打つ。これで次に7七香と成桂を取り、取った桂馬を3四に打つことができるので、これはわかりやすく先手良し。

7六桂図08
 しかし、6七とではなく、6八と(図)がある。今度は7九香はない。(同と、同金、6九金で先手悪い)
 図で9五角、7八成桂、同金、同と、3四桂の展開も先手勝てない。

 さあ、では、先手はどうやってこの図から「勝ち」に結び付けていくのか―――。


                          『終盤探検隊 part99』につづく
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