はんどろやノート

ラクガキでもしますか。

終盤探検隊 part97 ≪亜空間 最終戦争…の前≫

2017年01月23日 | しょうぎ
≪6五歩図≫

 我々(終盤探検隊)が闘っている相手、≪亜空間の主(ぬし)≫は、≪亜空間≫と(我々が)名付けた特殊な空間に生きる姿の見えない存在である。
 どうも≪ぬし≫と我々人間とでは、“時間の意味”がまったく違うらしい。
 我々にとって、“時間”はたいへん重要なもので、それは生きる時間が有限だからだ。
 しかし、そこのところが≪ぬし≫は違うようなのだ。≪ぬし≫は無限に生きるのか、あるいは生きてさえいないのかもしれない。彼にとっては、“時間”は有って無きもののような、それほど重要でないものらしいのだ。
 そういうわけで、これから予定している、我々と≪ぬし≫との「一番勝負」、我々の持ち時間は“無制限”なのである。対する≪ぬし≫は、かならず一手5分以内に指す、そういうルールで合意している。(≪ぬし≫にとって5分と無制限とは等価なのだ)


 この苦行のような≪亜空間≫から生還するために、我々はこの「一番勝負」に、必ず勝たねばならない。


    [中性子星生物チーラからの返信]
「彼らは、インディアンの煙火の中性子星版を使って、信号をよこしたんだ!しかも、その原始的なパルスの一つ一つが4マイクロ秒で作られたとは――――たまげたもんだ! ということはこの生物は我々の100万倍ぐらいの速さで生きているにちがいない! そうとも知らずに、1秒で1回ほどの速さでパルスを送っていたとは。彼らにとっては、パルスの間隔が100万秒のように思えたことだろう」
 セイコは、すばやく彼に代って計算した。「つまりパルス間隔は、1週間ぐらいに思えたわけね」
 アブドゥールは、別の怖るべき疑惑に思い当った。「彼らが返事を始めたのは、どれくらい前だった?」
 セイコの手が鍵盤上を躍ると、最初の絵が、上隅に受信時刻を示しながら再び現れた。「最初の絵が到着したのは、1分近く前よ。比率が100万対1とすると、これは2年前ということになるわ」
                               (ロバート・L・フォワード著『竜の卵』より )



 中性子星<竜の卵>を探査した地球からの探査チームは、その星に住むチーラとの“交流”に成功する。
 ところが彼らの信号のパルス間隔の短さからわかったことは、彼らと自分たちとで、時間の流れが比率が100万対1であるということだった。

 彼ら<竜の卵>探査チームが観測準備を整え終えたのが、2050年6月19日8時。7メートルの球形の観測用宇宙船ドラゴン・スレイヤー号を接近させた。観測予定日数は8日間。
 探査チームが、<竜の卵>の地表の不自然な模様に気づいたのが、6月20日6時50分。知的生命がいるんじゃないかという意見も出た。しかし<竜の卵>の地表の重力670億G、表面温度は8200度。そんなところに生物がいるなんて考えられない。しかし彼らは<竜の卵>の地表に向けて、信号を送ってみた。
 <竜の卵>地表から返信が届いていると気づいたのが、6月20日7時58分。信号を送って1時間と10分が経過している。
 これが地球人と“彼ら”との、ファースト・コンタクトであった。(この段階では、“彼ら”の科学はまだ原始的なものであった)
 地球人にとっての1時間10分は、<竜の卵>生物チーラにとっておよそ130年であった。
 これでは普通の会話は不可能だ。 探査チームは6月20日8時42分、百科事典のメモリーを信号として、<竜の卵>の生物チーラに向けて送り続けることを始める。
 6月20日22時30分。地球人にとってはまだ一日が終わっていなかったが、チーラにとっては1600年が経過していた。その間にチーラは、空に浮かぶドラゴン・スレイヤー号から送られてくる知識から学び、それをさらに発展させて、とうとう「宇宙船」をつくり、“彼ら”は、ついにドラゴン・スレイヤー号へと会いに来たのであった。その「宇宙船」は、“彼ら”の生存に必要な「重力」をつくるために、なんと、「超ミニブラックホール」を持っているのであった。
 “彼ら”は、地球人の知識を基礎に飛躍し、地球人の知識を追い越したのである。

 一日後―――つまり“彼ら”にとっては数千年後になるが―――、超光速推進の宇宙船までも完成させ、宇宙の旅を果たしてきたのであった。
 地球の<竜の卵>探査チームの目的は、<竜の卵>をできるだけ詳しく観測することであったが、チーラが送ってくれた<竜の卵>に関する科学観測データによって、もうこれ以上の“観測”は必要がなくなり、こうして探査チームは調査を終了したのである。

 しかし、もしチーラが“極悪”だったら、どうなってしまうのか。気になるところではある。(つくり話だからまあいいか)


≪4一飛赤鬼図≫
 これが『赤鬼作戦』。 これで先手が勝てるかどうかが、前回と今回のレポートのテーマ。
 3三玉、3一飛成、4四玉、6五歩と進んで、次の≪6五歩図≫になる。

≪6五歩図≫
 ここでの「6五歩」が、先手期待の一手。
   〔芋〕7四歩 → 先手良し
   〔苺〕8四桂
   〔茶〕5九金
 これから、〔苺〕8四桂、および〔茶〕5九金の変化を調べていく。


≪苺8四桂図≫
 〔苺〕8四桂(図)には、8六玉が良いようだ。以下、7四歩、6四歩、5九金、8三竜、6四銀。
 そこで先手の手の選択が難しいが、3六銀(次の図)が良いのではないか。

8四桂図01
 この図の「激指」の評価値は[ +417 ]。 ここは先手良しかもしれない。しかしソフト「激指」は95%は正しいが、5%は間違うこともある、そういう印象である。結論はまだ早い。

 ここから、後手[1]7三金、[2]7五銀、[3]3三歩を見ていく。

8四桂図02
 まず[1]7三金。
 先手は8八角と打ち、6六歩、同角、5五銀引、7三竜、同銀、6五金、5三玉、8一角(次の図)

8四桂図03
 先手勝勢。



 [2]7五銀。 これには8五玉だが、次に7四玉とされては後手いけないので6二桂とする手が考えられるが、それには3四竜、同玉、2五角、4四玉、4五金、3三玉に、4四角(次の図)

8四桂図04
 後手玉“詰み”。

8四桂図05
 6二桂では、竜の横利きがあったので詰まされたということで、それならこの6三金打(図)ならどうかと、後手が手を代える。
 しかしこれにも、3四竜から寄せがある。3四竜、同玉に、今度は4五角と打ち、4四玉に、6三竜、同金、同角成(次の図)

8四桂図06 
 これも先手勝勢である。


8四桂図07
 [3]3三歩。 上の例をみてもわかる通り、3一竜の潜在的な力が強烈である。よって、その力を封じる3三歩はどうかという意味である。これが最も粘りのある手のようだ。
 先手は7四竜。そこで後手の8五歩がなかなかの手。以下、同玉(同竜は7六金、9五玉、7五金で形勢不明)、9四金、8六玉、8五歩、7七玉、6五桂、8八玉(次の図) 

8四桂図08
 ここで後手は6四竜以下の“詰めろ”を受けて、5五玉。
 そこで先手は2八角(次の図)

8四桂図09
 この2八角で、どうやら先手が良いようだ。
 ここで後手の有効手がない。6四銀を支える6三歩には、6七歩がある。(同となら4六角以下詰み)
 7六歩、7八歩、5六とには、5七歩、同と、5四金、同玉、4六角で先手勝勢である。

 図では、7三歩が最善手とみられるが、4六角、同玉、3七角、5六玉、6四竜と進む。
 そこで後手から6六角の攻めがあるが、8九玉、7七桂成に、7九銀と受ける(次の図)

8四桂図10
 ここで7六桂と先手玉に“詰めろ”をかけるのは、5四竜、6七玉、7八銀打、同成桂、同銀、5八玉、4八金、6八玉、6九歩、同金、同銀、同玉、7九金、5九玉、5七金(次の図)

8四桂図11
 4九玉に、6六金と角を取って、先手勝勢。

8四桂図12
 また前の図に戻って、6八と(図)。
 ここでは、5七歩がある。同玉なら、4八銀、5八玉、4七銀引、6九玉に、6六竜。
 よって5七歩に、後手6七玉とするが、それには5六銀、5七玉に、6八銀(次の図)

8四桂図13
 6八同玉は6六竜、5八玉も6六竜で、先手勝ち。
 6八同成桂には、5八歩(同成桂なら6七金で詰み)、同玉、6六竜で、やはり先手勝ち。

 これで、〔苺〕8四桂は、先手勝ちになった。


≪6五歩図≫
   〔芋〕7四歩 → 先手良し
   〔苺〕8四桂 → 先手良し
   〔茶〕5九金

 残るは〔茶〕5九金の調査である。これで“先手良し”となれば、『赤鬼作戦』は成功となる。

≪茶5九金図≫
 ここで先手は当然、6四歩と銀を取る。
 そこで、次の5つの後手候補手がある。
   (a)6四同銀
   (b)6六歩
   (c)8四桂
   (d)6二桂
   (e)3三歩
 (なお、7四歩は、すでに調べた〔芋〕7四歩の変化に合流するので除外)

 これらをすべて“撃破”したら、『赤鬼作戦』の作戦成功が証明できる。


5九金図01
 まず(a)6四同銀。
 これには、5四金がある。以下、同玉は3四竜で“詰み”。
 よって、5四金に、4五玉、6四金、8四桂、8五玉、5五銀、8九角、6七歩、5四銀、5六玉、6五金が予想される手順(次の図)

5九金図02
 先手勝勢。


5九金図03
(b)6六歩の場合。これには7二角と打つのが良い。
 以下、5四桂に、7三歩成(次の図)

5九金図04
 ここで後手6七歩成なら、8三角成として、上部を安全にして、“入玉”をねらう。この場合は先手の大駒が四枚ともに犠牲にする必要もなさそうなので、仮に“相入玉”でも先手が「勝ち」になるだろう。
 また6四銀は、5四角成~3四竜で、後手玉が寄っている。
 よって図では、後手は7五歩としてくるかもしれない。これには8六玉。(7五同玉には8四金がある)
 以下、6四銀、8三角成、8四歩、同馬、9四金、7四馬、8五歩(8四歩には9六銀で受かる)、9六玉、5三銀、9五銀(次の図)

5九金図05
 これも、先手勝勢。
 

5九金図06
 (c)8四桂には、7五玉が良い手になる(次の図)

5九金図07
 ここで後手6四銀、同玉、6三金打という手もあるが、以下、7五玉、7四金、8六玉、6六歩は、7九香(次に7四香で金を取るねらい)で、先手良し。
 しかしそれ以外となると、ここでは後手にあまり有効な手がない。先手の7三歩成が入ると後手まずいが、6二金は8三竜でやはり先手良し。
 だからここは6三桂(次の図)が後手の勝負手になるが…

5九金図08
 以下、6三同歩成、同金に、7七角(次の図)

5九金図09
 これを6六歩、同角、5五銀と受けるのは、先手に歩が入ったために、4五歩が生じて、後手玉が詰んでしまう。(4五同玉は3六銀以下)
 だからここで、<イ>5五銀と受ける手と、<ロ>6六歩、同角、5五金と受ける手の、二択。

 まず<イ>5五銀だが、これには8三竜(次の図)とする。

5九金図10
 このとき、先手に「一歩」が入ったので、先手4五歩から後手玉には“詰み”が生まれている。
 だから後手はここで何か勝負しなければいけない。7四金しかないだろう。
 以下、同竜、同歩、8四玉。
 そこで、8三歩、同玉に、8一飛(次の図)

5九金図11
 これには先手8二銀と受け、以下、9二金、7四玉、8二金に、5六桂(次の図)

5九金図12
 5六桂で、後手玉が見事に詰んでいた。この場合先手の「7四玉」が詰みにうまく働いているのであった。
 5六同となら、4五歩、同玉、3六金から詰んでいる。
 また5六桂に4五玉は、3四竜、同玉、4六桂以下である。

5九金図13
 戻って、先手7七角に、<ロ>6六歩、同角、5五金(図)と後手が受けた場合。
 これには7七角と引き、後手に手を渡す。以下、7四金、8六玉、6四銀と迫ってくるが、9六歩がある。さらに7五銀、9七玉、8五金と駒を前進させてくるが…

5九金図14
 7二角(図)が決め手で、先手の勝ち。


5九金図15
 (d)6二桂。 この桂打ちはすぐには意味が分かりづらいかもしれない。これはつまり、7三歩成なら、6四銀と出ようという意味で、その時に先手からの5四金、同玉、3四竜という、後手にとってきびしい攻め筋を6二桂が消しているのである。
 さあ、ここで先手の手番だが、何を指すのが良いだろうか。
 終盤探検隊が選んだ手は、3六金である(次の図) 

5九金図16
 後手6四銀なら、4六金で先手良し。
 ここでは、<1>8四桂と、<2>5六とが後手の有力手になる。

 しかし<1>8四桂は、8五玉、9四金、7五玉、7四歩、6六玉、6五歩、7七玉と進み、先手優勢である。以下4六金と先手に銀を無条件で渡してはいけないので、後手は銀にひもをつけて5四桂と跳ねるが―――

5九金図17
 2六角(図)が決め手になる。3五歩は1一角で合駒がないので後手負け。だからここは5五玉しかないが、以下、3四竜、4四歩に、3五銀と打って、先手勝ちとなる。

5九金図18
 3六金に、<2>5六と(図)の場合。
 これには8三竜として、6四銀に、7三歩成、7五金、7七玉と進む(次の図)

5九金図19
 ここで6六歩は、6二と、6七歩成、8八玉、7六桂、9八玉、7七とに、3四竜(取ると詰み。8三の竜が横に利いている)、5五玉、4五金以下、先手優勢。
 そこで後手は、7六歩、8八玉に、4五銀と勝負する。これを同金は、先手苦戦に陥る。
 4五銀には、6二と(次の図)が良い。

5九金図20
 6二同金には、3五銀、5五玉、4五金(これを同玉のとき4三竜があるのが6二との意味)、6六玉、6八銀で、先手勝勢。
 図以下、3六銀には、5二と、7七歩成、同玉、6六と、7八玉、7七歩、8九玉、7六桂、5三角(次の図)が予想される。

5九金図21
 5三角(図)で、後手玉は“詰み”。 先手が勝った。


 さあ、あとは5番目の候補手(e)3三歩だけだ。

5九金図22
 (e)3三歩。
 以上に見てきた通り、あの“赤鬼”(=3一の竜)に暴れられる筋があっては、後手は勝てそうにない。そこで3三歩として、その“赤鬼”を封じ込めようというのである。
 先手は7三歩成とする。以下、6四銀に、7四金、5五銀引、3六銀(次の図)

5九金図23
 3六銀に代えて8三竜も有力だが、7五歩、8六玉、8四歩、同竜、9四金の展開がちょっと嫌なので、3六銀(図)を選んだ。
 これには後手3五銀が最善手と思われる。これを同銀、同玉となると後手良し。
 なので3五銀には、先手4五歩。以下、5四玉、7二角、6三歩、同と(この手で3五銀は6五銀で先手負け)、6五銀、8六玉と進み、そこで後手に9五金(次の図)の勝負手がある。
 
5九金図24
 これがあるので、後手も簡単には土俵を割らない。(この手の意味は先手玉を9五に行かせて、後手玉の入玉路を広くした意味)
 9五同玉、7四銀、7六角、6五桂、7三と(次の図)

5九金図25
 ここで後手6三銀には、6一竜が好手で、これで先手勝ちになる。
 よって後手は6三歩と受けるが、以下、7四と、3六銀、9一竜、4五玉、9三竜、7七桂成、9四角(次の図)

5九金図26
 どうやら“相入玉”将棋になる。それなら、先手は点数勝ちのためにできるだけ大駒を渡したくない。引き分けではなく、「勝ち」をつかみ取りたい。
 逆に後手は大駒を取りたい。
 7一歩、8一角成、7二銀、7一馬、8一桂、9二竜、9三歩、7二竜、9四歩、同玉、3八角、8三と(次の図)
 
5九金図27
 ついに角を一枚、後手に取られてしまった。
 しかし、まだ大駒は三枚あり、これは先手“入玉点数勝ち”できるだろう。
 つまり、(e)3三歩も、先手勝ちになるとわかった。


 よって、〔茶〕5九金も、先手勝ち。


≪6五歩図≫
   〔芋〕7四歩 → 先手良し
   〔苺〕8四桂 → 先手良し
   〔茶〕5九金 → 先手良し

 これで、この図での後手の有望手をすべて征服したように思う。


≪4一飛赤鬼図≫
 すなわち、『赤鬼作戦』は成功。これが終盤探検隊の発見した3つめの「先手勝ち筋」となった。


                          『終盤探検隊 part98』につづく
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