きょうは、障害者スポーツセンターでトレーニングしていると、脳卒中のリハビリで毎日頑張っておられる利用者の皆さんの間で、あるTV番組「脳卒中、リハビリ最前線」が話題となり、そのリハビリ最前線の内容や治療に使われている薬の質問に答えさせて頂きます。
この話題は、私のブログ記事2012/6/7の「脳卒中、夢のリハビリ最前線」でも取り上げ、それを抜粋したものです。
脳卒中による後遺症の麻痺は、発症直後ならリハビリによって、腕や足などの機能はある程度回復しますが、6か月過ぎると改善が止まり、麻痺は改善しなくなり「6か月の壁」と言われています。
「6か月の壁」の意外な犯人は、実は反射だったのです。熱いとか、痛いとか刺激を感じた瞬間に腕を縮める状態が麻痺患者さんたちに起こっているのです。
筋肉の伸び過ぎを感知するセンサー「筋紡錘(きんぼうすい)」が引き起こす反射で、脳卒中になると脳からのコントロールが効かなくなり、筋紡錘が故障してしまい、常に縮めてと信号を出し続けるようになります。
やがて腕の筋肉は縮まり、硬くこわばり、リハビリも出来なくなってしまうとのことでした。
リハビリさえ出来れば新しい神経回路がつながるチャンスはあるのに、その大事な神経の中を縮めての信号が暴走して邪魔していたのです。
しかし、最近この壁がある薬によって、全く動かなかった手が動き出し、10年も物をつかめなかった手が、掴めるようになったそうです。
その反射の暴走を止めた薬がなんとボツリヌス菌の毒素を1000倍以上に薄めた薬として精製したものを注射して、神経の働きを一時的に止め、筋肉は柔らかくなり、こわばりが取れ、ここでリハビリすれば機能回復が期待できると言う訳です。
この治療は、ボツリヌス療法と呼ばれ、薬は保険適用で、病院では神経内科・リハビリテーション科が主に担当している診療科です。
一回の注射の効果は、3か月ほどで、打てる量が決まっているため、手・肩・足など少しずつの治療になります。(保険適用ですが、量によって多少異なります、1回の注射で数万円かかります。)
発症後何年経っていても、高齢になっていても効果は期待できるので、もう諦めることはないそうですよ。