中野京子の「花つむひとの部屋」

本と映画と音楽と。歴史のなかの恋と。

新作「マリー・アントワネット 運命の24時間」

2012年02月14日 | 
 新しい本が出ました♪
 今週末に書店に並びます。

 「マリー・アントワネット 運命の24時間
    〜知られざるフランス革命ーヴァレンヌ逃亡」 
       (朝日新聞出版社)

マリー・アントワネット 運命の24時間 知られざるフランス革命ヴァレンヌ逃亡
 (クリックするとアマゾンへゆきます)

 担当編集さんと一昨年から話を煮詰めてゆき、書き始めて丸一年。連載の合い間の書き下ろしはものすごく大変で(何しろ調子が出てくると、連載の締め切りがやってくるので中断、というくり返し)、ようやく完成したため喜びもひとしおです。

 アントワネットといえば、ツヴァイクの伝記が金字塔としてすでに存在していますから、何を今さらわたしが、と思わぬでもなかったのですけど、でもヴァレンヌ逃亡にフォーカスしたら面白いものになるのでは、と。

 案外この逃亡劇は知られていないのです。バスティーユ陥落がフランス革命そのもののようについ思ってしまうのですが、それは実はきっかけにすぎない。なぜならこの日以降も驚くほど国王一家の日常は変わらなかったからです。十六世は狩猟狂い、アントワネットはプチ・トリアノン遊び。

 しかし怒った民衆にパリ強制送還され(コッポラ監督の映画はここで終わっていました)、チュイルリー暮らしが始まります。そこで2年、監視下にありながら贅沢な暮らしは続いていました。

 とはいえ王権の制限に十六世は逃亡の意志を固めます。フェルゼンに導かれての逃亡劇の始まりです。王宮をまんまと逃げおおせ、ルートの後半には数百人の兵士を待機させ、ふつうに逃げれば絶対に逃げられたはずなのに、なぜ国境の僻村ヴァレンヌで捕まったのか?全く不思議としか言いようがない。

 馬車が贅沢すぎて派手で目立った、というのがこれまでの説でしたが、最近の研究ではそうではないことがわかっています。ですので、それを書きたかった。

 まえがきにも触れましたが、旧約聖書のロトの妻のエピソードがとても象徴的に思えます。彼女はソドムの町を逃げるとき、決して振り返るなと神から命じられたにもかかわらず、振り返って塩の柱になってしまった。過去に捉われていたからです。過去に捉われたものは過去に結晶せざるを得ない。逃げるには、過去をふり捨てねばならないのです。新しい自分へ向かって逃げなければならない。国王一家の逃亡劇は、まさにロトの妻そのものだったと思います。

 わたしなりのアントワネット像、どうぞ楽しんでいただけますように!


☆レンザブロー「はじめてのルーヴル」更新しました。レンブラントの「バテシバ」♪

http://renzaburo.jp/louvre/index.html


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文春「本の話」から、「自著を語る」(「謎が解けたら、絵画は最高のエンターテインメントになる」)はこちら

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印象派で「近代」を読む―光のモネから、ゴッホの闇へ (NHK出版新書 350)

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「怖い絵」で人間を読む (生活人新書)

☆「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」(光文社新書)
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名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366)

☆「芸術家たちの秘めた恋 ―メンデルスゾーン、アンデルセンとその時代 (集英社文庫)
芸術家たちの秘めた恋 ―メンデルスゾーン、アンデルセンとその時代 (集英社文庫 な 53-1)
「週刊朝日」書評⇒ http://book.asahi.com/reviews/column/2011100300004.html


☆「残酷な王と悲しみの王妃」(集英社) 2刷中。
 レンザブローで本書についてインタビューが載っています。お読みくださいね!⇒ http://renzaburo.jp/(「特設サイト」をクリックしてください)

残酷な王と悲しみの王妃


☆光文社新書「名画で読み解く ブルボン王朝12の物語」4刷中。

名画で読み解く ブルボン王朝 12の物語 (光文社新書 463) 


☆「怖い絵」16刷中。

怖い絵

☆「怖い絵2」、9刷中。

怖い絵2

☆「怖い絵3」 6刷中。

怖い絵3


☆「危険な世界史」(角川書店) 5刷中。
危険な世界史


「おとなのためのオペラ入門」(講談社+α文庫)
おとなのための「オペラ」入門 (講談社プラスアルファ文庫)

☆「恐怖と愛の映画102」(文春文庫)
 
 恐怖と愛の映画102 (文春文庫)

☆「歴史が語る 恋の嵐」(角川文庫)。「恋に死す」の文庫化版です。

歴史が語る 恋の嵐 (角川文庫)

sai

 











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