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アベノミクスはまやかし、国民よ失敗に気づけ by伊東光晴・京大名誉教授

2014年11月22日 | 社会のニュースを考える


3本の矢折れて毛利元も子もなし(-_-;) (画像:東京新聞より)




11月19日の東京新聞「こちら特報部」の良記事です。理論経済学の第一人者、伊東光晴・京都大学名誉教授が語るアベノミクスの本質。

「アベノミクスのまやかし」と見出しにあるように、「アベノミクスはまやかしだ」と伊東氏は、断言した、で始まる。
伊東氏の語るアベノミクスへの批判も今後の提案も、納得し共感できましたので、以下、記事全文、がむばって入力しました。&少し編集しました。長いので時間のない方は、太字部分だけでもご覧ください。


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アベノミクスのまやかし 経済学者・伊東光晴氏に聞く

 「この道しかない」。安倍晋三首相は18日、アベノミクスと呼ぶ経済政策をこのまま進める考えを強調した。本当にそうなのか。景気上昇の実感はなく、国内総生産(GDP)はマイナス成長。国民には不安感が広がる。理論経済学の泰斗である伊東光晴・京都大名誉教授(87)に、アベノミクスと安倍政治の本質を聞いた。 (沢田千秋、上田千秋)

■国民よ失敗に気づけ



 「アベノミクスはまやかしだ」。伊東氏は、開口一番こう断言した。
 「デフレからの脱却」を掲げるアベノミクスは、「三本の矢」からなる。
 第一の矢は「大胆な金融緩和政策」。消費者物価の上昇率2%を目標に掲げ、市中の資金量を増やし貸出金利を下げるように仕向ける。企業や個人がカネを借りやすくして、設備投資や消費を促そうとした。だが、伊東氏は「利子率低下への期待だけでは投資を増加させることはない」と言い切る。
 「バブル期で投資しやすい時代の企業アンケートでも、利子率の低下で投資する可能性は低かった。不確実性を伴う企業投資の決定要因は利子率なんかではなく利潤が期待できるかどうかなんです
 「物価が上昇すれば、預貯金の価値は相対的に下がる。アベノミクスでは金融緩和で手持ちの資産価値が上がれば、消費支出も増えるという。だが、たとえば、持ち家の資産価値が1%上がったとしても消費支出を増やす人はいない。金融緩和が設備投資や消費支出の増加につながると考えるのは、短絡すぎる」と指摘する。
 ではなぜ、このような理論が、安倍政権ではまかり通るのか。伊東氏は「本格的な経済学をやっていないグループが首相のブレーンだから。理論上ありえない幻想。第一の矢は飛んでいない」と切り捨てる。
 日経平均株価は、第二次安倍内閣発足時の1万円台から6千円以上値上がりし、「アベノミクスの効果」と宣伝している。だが、伊東氏は、その要因は「外国ファンド資金の日本への流入にある」と解説する。外国ファンドはリスク分散のため、米国、欧州とその他の地域に資金を投じているという。「リーマン・ショックで落ち込んでいた米国と欧州の株価が回復し投資枠を超えたため、2012年6月頃から日本株が買われるようになった。アベノミクスとは何の関係もない

 アベノミクスの第二の矢は、国土強靭化政策を中心とした財政出動だ。公共事業で需要創出を図るとする。
 国土強靭化政策では、南海トラフ巨大地震や首都直下地震に備え、建物や堤防の耐震化、避難路の整備などに十年間で200兆円を投じるとされる。伊東氏は「14年度の公共事業関係予算は6兆円だ。国の財政状況や1000兆円を超える国債残高を見ても、年20兆円は不可能。土木事業は人手不足の上、今後、インフラの維持管理、更新にさらに予算がかかる。新たな投資をできる余地はない。第二の矢はすでに折れている」と話す。

 第三の矢は、規制緩和などによって「民間投資を喚起する成長戦略」だ。伊東氏は「既存産業での投資の増加は、その商品の需要増加が見られることによって起こる」という。「企業の生産性の高まりと、その継続への期待が十分あれば設備投資が起きるが、生産年齢人口が減り続ける日本では、このような状態は生まれない」という。「第三の矢はいつ実現できるかわからないプランが並ぶだけ。有効性のない音だけの鏑矢(かぶらや)になる可能性が大きい」と見立てる。


■格差のない国目指そう



 伊東氏の批判は原発政策にも及ぶ。あれほどの被害を及ぼした福島第一原発事故を経験したにも関わらず、安倍政権は九州電力川内原発を手始めに、再稼働に向けた動きを推し進めている。原発の海外輸出にも躍起だ。アラブ首長国連邦やトルコと原子力協定を結び、インドや南アフリカなどども交渉を続けている。
 伊東氏は「国内で再稼働を急ぐのは、安全性をアピールして、企業に大きな利益をもたらす輸出を後押ししたいとの思いがあるからだろう。ただ、いまだに放射性廃棄物の最終処分場が決まっていない。安全か安全でないかという議論は、結局水掛け論に終わる。処分先がないという一点を持ってして、(原発再稼働は)進めるべきではない」と言い切る。

 労働政策も誤った路線を歩んでいるという。政府は臨時国会に、労働者派遣法の改正案を提出した。原則として最長3年と定められている派遣労働者の雇用期間を、条件付きながら無期限にするなどの内容だ。
非正規の形態が一般化するに従って、低賃金ですごさなければならない人が増えていく。西欧諸国は非正規も含めて同一労働同一賃金の原則が守られているが、日本はそうなってはいない。安倍政権が掲げる『女性が輝く社会』も賃金が半分になっても夫婦で働けばだいじょうぶだろうという考え方の裏返しと言える」とみる。これでは、国民の所得は増えそうにない。

 伊東氏は「安倍政権の問題点は、三本の矢に効果がないことに加え、『第四の矢』の危険性にある」と訴える。
 伊東氏のいう「第四の矢」とは、安倍首相が掲げる「戦後レジームからの脱却」を指す。安倍首相は解釈改憲による集団的自衛権の行使容認に踏み切り、憲法改定までも念頭に置いている。「国際紛争は武力で解決できないことは中東の例を見ても明らかなのに、中国との間で緊張関係を生じさせるなど、逆の方向へ向かっている」

 では、日本はどういった国家像を探るべきなのか。伊東氏は「50年(2050年)の生産年齢人口は今の6割まで減る。従来のような経済成長や発展は期待できない」と説く。
 「日本の高度経済成長期のような爆発的な経済成長が続く『鉄が鉄を生む』といわれるような期間は一つの国に一度しか訪れない。今で言えばインドや中国がその状態に当たる。日本はこれまでに蓄積した富や社会資本を生かし、格差のない、福祉重視の国を目指していくしかないのではないか

 18日夜、安倍首相は衆院の解散を表明し、総選挙が行われることになった。
 伊東氏は「アベノミクスが失敗だったことに、国民は気づく必要がある」と話す。
 「この2年間、安倍政権は経済政策を始めとして効果のあることは何もやってこなかったに等しい。今解散したのは、それがばれる前に選挙をやってしまえば引き続き政権を担えるから。どの候補者を選べば自分にとってプラスなのか、ひとりひとり真剣に考えるべきだろう」


いとう・みつはる 京都大名誉教授。1927年、東京生まれ。東京商科大学(現一橋大学卒)。理論経済学、掲載政策専攻。近著に「アベノミクス批判 四本の矢を折る」


デスクメモ 大企業や金持ちを優遇すれば、その恩恵は庶民にもしたたり落ちるはずというトリクルダウン理論が、アベノミクスにはある。だが、物価は上昇しているのに賃金は上がらず生活が苦しいままというのが、庶民の実感だ。これで、個人消費が伸びるわけがない。まずは、この理論を転換すべきではないか。(国)


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3 コメント

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経済活動とは。。。 (ばっかす9)
2014-11-26 15:08:50
経済活動とは、「生産と消費の循環」のことです。。。
消費がなければ、生産はしませんし
生産しなければ、消費はありえません。 

特に「第一の矢」については、政権では投資の意味が
理解されていないのではないかと思います。 

ヨゼフシュンペーターが云う
「資本主義はその成功ゆえに失敗する」
に、いよいよ日本も大詰めに向かっているのでしょうか。 

国家間の不均衡(格差)にこそ、貿易という形式上での
「利」があるのであり、これを埋めようとすれば別の格差
を作らなければ「資本主義は成立しません」から。
バッカス9さんへ (金木犀)
2014-11-26 22:41:24
バッカス9さん、コメントありがとうございます。

アベノミクスは、過去の成功体験を追っているもので、ほんとうの意味での新しい変化を起こせないと思います。
市場原理主義的な資本主義と呼ばれるものの、限界が見えてきていて、過去の成功体験などはもう意味が無いと思えて仕方ありません。

>国家間の不均衡(格差)にこそ、貿易という形式上での
「利」があるのであり、これを埋めようとすれば別の格差
を作らなければ「資本主義は成立しません」から。

格差をなくして、皆が平等にアメリカ人並みの豊かすぎる生活を営もうとすれば、地球は4柄5つ分くらいのエネルギーが必要だそうです。もちろんそれは、無理なこと。
地球全体の限られたプールをしきって、大方のスペースは、世界の金持ちと言われる数%の人がゆったりと泳ぎ、残されたスペースにほとんどの人間が押し込まれており、金持ちは、自分のスペースを手放そうとしない。
狭い方の小さなスペースの中で、多くの人びとはさらに場所を争っている。

歴史は突然、変化します。
極端な話ですが、お金がないと生きて行けない、というのはもしかしたら、長い間に作られた幻想じゃないかと思います。
ものは溢れ捨て場所にも困るほど。食べるものは、自分の手で作り出すことができる。里山資本主義。
そんなことに気づくと、お金は少しでもだいじょうぶ。身体さえ元気ならば。

今年亡くなった宇沢弘文さんが言われていたのは、医療、教育、自然、道路交通機関、水道電気は、社会的共通資本だから、人びとが共通で守らなければならないもの、金儲けの市場競争原理を働かせてはならない、ということ。
つまり、生きるための基本や、人びとの不安である、教育費や医療費の負担を社会が担保する。その担保があってこその消費税増税なら、「アリ」だと思います。

単純な生産と消費という数字合わせの経済、儲かった儲からないで一喜一憂する苦しさから逃れ、人が生きて活用するものなのだから、もっと情のある人間らしい経済に。
宇沢弘文さんの教えは、これからもっと広がっていかなければならないと感じます。
ばっかす9さん (金木犀)
2014-11-26 22:44:15
すみません、上記、ばっかす9さんのお名前の表記をカタカナに間違えていました。
失礼しました。

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