平行三度はなぜ聞き取りずらいか

2010年02月12日 17時10分24秒 | 2010年1月1日~2011年1月22日デビュー編
ハーモニーの基礎中の基礎である三度のハモり。
これをやられますと、なんとも言えない旋律のふくよかさが出ますね。
とはいえ、じつは主たる(と思い込んでいる)旋律の方は聞き取れても、なかなか片方の旋律が聞き取れないということがあります。
例を挙げましょう。
『もろびとこぞりて』
ド~シ~ラソ~ファ、ミ~レ~ド~~。
ここに平行三度で
ミ~レ~ドシ~ラ、ソ~ファ~ミ~~。
が同時に歌われると、なかなか聞き取れません。
これは平行三度が、旋律的に極めて相似、いや同じといって差し支えない旋律であるゆえと考えます。双子の兄弟くらい近しいものなのです。
いや、ある人の右面(みぎおもて)と左面(ひだりおもて)みたいなものでしょう。
なら、なぜ片方しか聞き取れないか?
わたしは『夏の終わりのハーモニー』『愛が生まれた日』を上も下も同じくらい練習したんで、どちらも同じように主旋律として歌えます。
しかしそういう特別なことをしない限り、片方の旋律はまったくその曲とはかけ離れた新しい旋律に感じてしまうことが多いはずです。
このことが三度ハモりの難しさを物語っています。

じつは三度関係にある平行旋律は【どちらが主とは決められない、決めているのは単に作曲家(もしくは聴き手)である】のです。
もし、反対を主旋律とします!としちゃえば、もう簡単にひっくり返ります。
それほど反転が用意な三度平行旋律。

それほど似ているのに、片方は全然別物に聞こえたり、逆に反対を覚えたら、それがいともしっくりと主旋律に思えたり。

オクターブもハーモニーですが、これも大変聞き取りが難しいハーモニーですね。
ピアノなどになるとあんまり調律が狂ってないんで、オクターブで弾いていることに気付かないということがままあります。
オクターブも三度もほんとに聞き取りが難しい。
例えば第1バイオリンと第2バイオリンが三度でハモったりしたら、まず第2は聞こえなく感じます。
これが素人の普通の耳です。オクターブも一緒。

仕方ないのです。
双子なんですから。
見分けがつきにくいんです。

これが、まったく別個に動くとわけなく聞き取れたりします。
別人は見分けが楽ってことでしょうね。

なお、三度上をハモると主旋律がぼけやすいのでオクターブ下げて、六度下をハモるのことが多い気がします。
また、女性が六度下をハモっても実際は三度上ですのでやはり主旋律はぼけるかも知れません。ただし、それもハーモニー。いかにもハモってるって感じになりますね。