花川倶楽部

  こども達に 豊かな里を手渡すために

政府は必ず嘘をつく 増補版

2016年09月14日 | 花川文庫



著者  堤 未果


震災後、1年を待たずに世に出た本書。
9.11後のアメリカの辿った道のりから、
日本に対して示唆された多くの懸念が、現実のものになっている。


”民主主義”は大資本にとって都合の良いスローガンのひとつだという。
「現代資本主義の下では、民主主義という幻想が広まっていなければならない。
 既存の社会秩序を脅かさない限り、
 反対派や抗議を体制の一環として受け入れることが、
 グローバル資本にとって利益になるからだ。
 反対派を弾圧するのではなく、
 逆に抗議運動を方向付けし、操作し、
 反対派にとっての限界を巧妙に設定するのだ。」

「テレビを視聴している時、人間の脳波は動きが鈍くなり、
 ある種の催眠状態になります。
 冷静、客観的にものを考えることが難しくなる。
 その結果、人々は無意識に分断されていくのです。」

「ソーシャルメディアがテレビの代わりとして伸びていると言われますが、
 情報量が増えても、それを使いこなせるかどうかは別問題です。
 そしてソーシャルメディアとテレビ、政府の距離は、
 むしろぐんぐん近くなってきています。」

「ツイッターのようにたった140字の情報が高速で動くものは、
 どうしても皮膚感覚で反応するようになってしまう。
 つぶやいた人が誤った情報を流しても、
 瞬く間に広がれば責任は取れません。
 ”アラブの春”の裏側に何があったのか。
 そういう疑問や検証作業がなければ、
 ネットユーザーもテレビ視聴者と同じように、
 集団思考に飲まれてゆくでしょう。」

災害や危機の後に、政府が市場化を導入するための国民”洗脳”ステップ。
「敵を作る」ことと、「スローガン」。
「大衆は理性ではなく、感情によって物事を決める」と
アドルフ・ヒットラーは言った。

「政府が内容をぼかすとき、それをさまざまな角度から検証し、
 議論の場を提供するのはマスコミの役割だ。
 だが、このマスコミこそが、議論をさせず、
 情報は一部しか見せないという、最後の二つのステップを担い、
 ワンフレーズポリティクス
 (一言で表現するキャッチフレーズ的な言い回しを多用する政治手法)
 を作り出すプレイヤーになっている。」

3.11後の「復興特区」、災害瓦礫処理事業、除染事業、そしてTPP。

「”アメリカ型独裁資本主義”の最大の功罪は、
 国民を市民ではなく消費者にしてしまったことだろう。
 顔があり、名前があり、
 生きる選択肢を持つことを根底に置いた市民と、
 単に生産を支える数として位置づけられることとは、
 天と地ほどに違う。
 今、世界中で起きている社会現象は、
 すべてこれに対するアンチテーゼ(逆の命題)なのだ。」

TPPの「ISDS条項」には、
「国(公共)の支配下にある法人事業については、
 外国企業に対しフェアな競争を阻む優遇政策の適用は認められない」とある。
これにより、国民健康保険制度、高額医療費制度はもとより、
産業振興機構などによる価格安定資金事業、
地方自治体による地元優遇政策や規制もISDS訴訟の対象となる。
必ず負けるその裁判で、
対象の制度は解体され、法律は改悪され、
さらに数百億円にもなる賠償金や
数億円の弁護士費用を税金で支払わされる。
医療も地域産業もズタズタ。
運の悪い(目をつけられた)小さな自治体なら吹っ飛んでしまう。
そうしたことが、いっこうに伝わらない。
この秋の臨時国会での”TPP批准”に政府も与党も鼻息荒いというのに。
あいかわらず国民は、「TPPは関税と農業の問題」と他人事のよう。

「3.11が私たちに教えてくれたことのひとつが、
 『権力は必ず嘘をつく』という気づきであるとすれば、
 あふれかえる情報をその前提から見ることは、
 私たち自身を確実に変えていくだろう。
 ルールに従い、お上の言うことを信じ、
 「実はこうでした」という事後報告に怒りの声も上げず、
 「ああ、まただ」と飼いならされてしまう私たちこそが、
 誰よりもこの構造を支えてきてしまったこと。
 私たちの無関心によって、
 いつの間にか社会のさまざまな場所に浸透してしまった、
 歪んだ価値観について。」

「震災をきっかけに多くの人にもたらされた、
 大切なものの優先順位や、
 『自分にとって本当の幸せとは何か』という問いの答えが、
 生き延びるための情報をより分ける、
 自分だけのものさしになるだろう。
 あふれかえる情報の中から、
 そうやって見つけ出した『真実』を手にした時、
 私たちはモノ(や数)ではなく、人間になる。」



※この本を手元にもっています。
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