昭和・私の記憶

途切れることのない吾想い
生涯の記憶を切取らん

 

公民館が炎ようるぞー

2017年05月03日 | 1 想い出る故郷 ~1962年

隣町・下島の小学校の道路向の田んぼに沿って
海まで続く小川が在り、小川へ繋がる更に小さき小川が在った
私は、童謡「あかとんぼ」を聴く度に
幼い頃に、どじょうをとって遊んだ、斯の風景を想い出す

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1979年撮影の小川 
田んぼも埋め立てられ、小川も無くなっているが、面影は残っている

公民館がもようるぞー
昭和37年(1962年)、8才・小学2年生の物語である
(昭和36年の事やも知れない・・)

私は

「ついて行きたい」 と言う妹と、同級生二人(岡田、川原)を引き連れて、下島の小川に来ていた

とんぼ採りに来たのである

ヤゴからトンボに羽化する直後を狙って、手づかみで獲るのである

吾々は、暫らくトンボ獲りに熱中していた

すると

「公民館がもようるぞー」

背後からの叫び声に我々は振反った

中学校の(講堂兼体育館)公民館が火事だと云うのだ

スワッ 大変

我々は急いで引返した 

峠まで来ると煙が上がっているのが判った

「ウワッ・・!」  

私は初めて見る景色に興奮した

峠を越え、下りの坂道を走った

中学校の真ん前の階段まで着いた

炎が上がっている・・・大火事である

「あんちゃん、イノウ(帰ろう)!」

「一人でイネ(帰れ)!」

「ワッー!」

妹が大きな声で、泣きながら帰って行く

私は、妹の後ろ姿を見送った

幼い妹は、よっぽど恐ろしかった様である

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1979年6月撮影
妹が泣きながら帰って行った坂道  
右側が私の座した山があり  左側に中学校がある

野次馬は愉し
真昼間である 天気は良い 暑くも寒くも無い

道路を挟んで中学校の反対側の山の高台に坐して、そこから一部始終を見物することにしたのである

高見の見物 である

「オッ 校長が来たッ」

「オッ 教頭が来たッ」

・・・・と 生意気に大人びた口調で 

しかも調子に乗って

・ 

消防車が駆けつけて来た

ホースを伸ばしている

炎と共に まっ黒な煙、白い煙が立ち上る・・・目の前で、どんどん物語りが展開して行く

然し、無数のホースはあれど、無数の消防団は居れど

なかなか放水しない

「なんしょうるんじゃ」

公民館の隣りに沼が有る、「沼の水はつかえんのか?」

運動場の向うは海が有る、「海の水を採りゃええのに・・」

「消防車が錆びるから海から採らんのじゃろうて・・」

周りの見物人も、口々に好き勝手な事を言っている

海は潮が引いていて海水の有る位置まで遠かったのである

それでも、海水のあるところまでホースを伸ばして、消火に当ったのである

目の前は、逃げる人、運び出す荷物、消火活動と、ごったがえしの状態である

木箱が運び出されている

それは棺桶に見えた

そして、赤い色をした箱の中身が少しだけ見えたのである

「死んじょる人を運びょうる!」

我々の興奮は最高潮に達した

講堂で餅つきをしていて漏電し、それが原因で火災を起こしたのだと謂う

赤い色の箱の中身はもち米だったらしい

私の母は、帰って来ない息子の安否を心配した

心配で心配で仕方なかったと言う

妹一人、大声で泣いて帰ったから、尚更余計に心配だったと言う

私が火事に巻き込まれたのではないかと、母が気を揉んでいた頃

親の心、子知らず と謂う

丁度その頃、私は

「オッ 校長が来たッ」

「オッ 教頭が来たッ」

・・・と、調子に乗っていたのだから

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