昭和・私の記憶

途切れることのない吾想い 吾昭和の記憶を物語る
 

尊 皇 討 奸

2022年07月02日 | 5 右翼青年 1974年~

『 尊皇討奸
昭和維新の象徴である。
神達は是を、合言葉に使った。
二十歳の私 は
どうしても、神達と逢いたい
そう想ったのである。

昭和維新の春の空
昭和49年 ( 1974年 ) 11月25日
念願の 山王ホテル に、遂に来た。
「 オオーッ 」

昭和11 ( 1936年 ) 2月27日、
山王ホテルに
尊皇討奸旗 が、たなびいた。
爾来38年
私が、夢に見た 山王ホテルは、当時の姿のままであった。
是ぞ 昭和維新
私は、昭和維新の風を肌で感じた気に為ったのである。

昭和49年(1974年)11月25日撮影

ところが、何故かそこに
警備の警察官が立っている。
何故であらう
写真が撮れない・・・
「 普通に、普段とおりに行動するんだ 」
・・・
と、自分に言い聞かせ、
警察官に尋ねた。  

「 中に入って、写真を撮りたいのですが 」
 「ここは今、アメリカの将軍が泊まっていて、ホテルは治外法権に成っている、入れません 」
「 そうしたら、駐車場からの撮影だけでも、構いませんから 」
「 写真を撮りに、大阪から来たんです 」
「 それなら、自分はもうすぐ、警備の時間が終わるので、一緒に入れて上げます 」
「 そうですか、ありがとうございます 」
「 それまで、外から写真を撮って構いませんか、外なら良いでしょう 」
「 外からなら、構いません 」

警察官の対応が以外であった。
 「こんな、警察官も居る 」
東北なまりの警察官。
私は、その素朴な人柄に心をうたれ、嬉しく為った。


 昭和50年11月24日撮影


 
正義に結ぶ丈夫が
名残は尽きないも、次の目的地へと向かう。

溜池からの道
「・・・・・二月二十六日午前四時、各隊は既に準備を完了した。
出発せんとするもの、出発前の訓示をするもの、休息をしているもの等、まちまちであるが、
皆一様に落ちついた様の見えるのは事の成功を予告するかの如くであった

・・・・・村中、香田、余等の参加する丹生部隊は、
午前四時二十分出発して、栗原部隊の後尾より、溜池を経て首相官邸の坂を上る

その時俄然、官邸内に数発の銃声をきく。いよいよ始まった。
秋季演習の聯隊対抗の第一遭遇戦のトッ始めの感じだ。
勇敢する、歓喜する、感慨たとへんにものなしだ。
(同志諸君、余の筆ではこの時の感じはとても表し得ない。とに角云ふに云へぬ程面白い。
一度やって見るといい。余はもう一度やりたい。あの快感は恐らく人生至上のものであらふ。)

余が首相官邸の前正門を過ぎるときは早、官邸は完全に同志軍隊によって占領されていた。
・・・・・磯部浅一 行動記 」

 ・
雪の日、神達が首相官邸を目差し 踏みしめたる 路である。
神達と同じく、溜池からの路を登って歩かば
私も
「 官邸内に数発の銃声を聞く 」 ことが、出来るやも知れない。
・・と。
 

そして、遂に
昭和維新の中心、首相官邸・正門に着く
予想はしていたが
正門には警備の警察官が二人立っていた。
その横にも居た。
向うにも居る
官邸内にも一個小隊、居る。

胸裡百万 兵 足りて散るや 万朶の桜花

私は、構わず、正門の中央に立った。
「 なんだ君は ! 」
30歳代の警察官、凄い剣幕であった。
取押えられるかと想った。
「 どこから、来たんだ ! 」
「 2.26事件の関係で、写真を撮りに来ました 」
「 学生か 」
「 いいえ、社会人として働いております 」
こんなこともあらうかと、
会社で作って貰っておいた、身分証明書を警察官に見せた。
「 ここは、2.26事件では、本拠地となった処なので、写真を撮りたいのです 」
「 大阪から、わざわざ、来たんです 」
ここで、ようやく
警察官の厳しい顔が緩んだ。

「 今、山王ホテルへも行って来たところです 」
 「そうか、あそこは、本拠だったからな 」
「 ここからなら、撮って構いませんか 」 

19741124

 

 

 

 

 

 

 

 


警察官の凄い剣幕で怯んでしまった私、挙句の写真が是
是だけで、精一杯であった。
けれど
何故かしらん、正門が開いたまま

「 もしも
私が いきなり
正門を突っ切って官邸内に入らんとしたなら
実現したであらうか・・」

それは、一つの物語り
そういうのも、あったかな・・・とは、後で想うもの
もしも は 夢物語也 である。

政治が混乱した、この年
田中角栄 総理大臣
金脈問題で追及を受け、11月26日・辞任を表明した。
その、前日なのだから
首相官邸の警察官の緊張も至極当然の事なのである。
そんなことも知らなかった 私 
もう・・無鉄砲と謂おうか 暢気と謂おうか
何をか況や である。

首相官邸の尊皇維新軍旗
林八郎少尉 は、
二六日の午後
倉友音吉上等兵を供に、銀座の松坂屋に買物に出かけた
蹶起将校たる白襷をかけ
人々の視線の中、颯爽と店内を歩いた
林少尉は、
晒布、墨汁、筆 を購入し、首相官邸に帰ると
「 尊皇維新軍 」
と、大書した幟を作って、
高々と掲げたのである

・・・リンク→ 林八郎少尉 『 尊皇維新軍と大書した幟 』

昭和
11年2月26日、神達は蹶起したのである。
昭和維新を目指して蹶起した神達、
その面影を、
どうしても訪ねて見たいとの一念が私を駆り立てた。
蹶起から38年後の昭和49年、
二十歳の青年である私は、
独り、
意気揚々と、
昭和維新の地を踏みしめたのである。
山王ホテル 然り
首相官邸 然り
溜池からの道 然り

そこで私は
昭和維新の風を肌で感じ、神達の面影を見た。
・・・
そんな気に為った。 ・・・のである。

・・・リンク→男のロマン 1975


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