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赤い実たちのラブソング

2016年09月12日 | キャンディ世代
赤い実たちのラブソング
名木田恵子
PHP研究所


小学校の国語の教科書向けに書き下ろされた小説のティーンエイジャーたちが、30歳になった頃を描いた小説です。その国語の教科書で学んだ世代を赤い実世代というらしい。小学校高学年だった赤い実世代がその後どんな大人になり、どんな恋をし、暮らぶりをしているのか。現代日本の世情を織り込みながら、切り取られています。婚期の平均が遅い昨今、30歳といえば結婚に向かう恋の盛り。公立の中学校で学んだ少年少女が大人になって、平凡や平坦とは言えないそれぞれの人生を垣間見せてくれる短編集です。2011年出版。2010年のキャンディのFINAL STORYの直後なので、作家のなかでは、同時進行で構想を練っていたのではと思われる興味深い作品です。

この本に出てくる格好良い男子にはどいつもこいつも、テリィの片鱗を感じます。日本の男子なのに。作家の中で、テリィは究極のキャラクターのようです。スマートさも激しさも優しさも明るさも、すべて兼ね備えているというのでしょうか。また、不倫のカップルの話もドキドキしてしまいました。私のなかで、キャンディとテリィの関係を彷彿させるのです。

キャンディとテリィは不倫ではなかったけれども、大きな障害が起こり別れを迎えます。この作家のなかで、不倫のような激しい恋の表現だったと理解が深まりました。障害となるスザナという女性は、テリィより年上の設定らしいというのも、この本を読んで思い至りました。キャンディファンの中では周知かもしれないですね。

赤い実の公立中学校のその学年では、病気で死んだ女子生徒が噂という形で出てきます。これも印象的です。目立って美しく聡明だったけれども、闇を抱えたその少女は、荒んだ人生の果てに、癌で早死にしたと伝えられます。必ずしも慕われていたわけではない、その少女の垣間見た闇を、残された生きている人たちがその人なりに昇華していきます。抱えている闇の質は違えども、私の中ではその短命さが、スザナの変形のように思えました。

青く若い実についた傷をいやしながら、赤く成熟させていく物語。実はひとつでなくて、たくさんある。そんな短編集となっています。
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