浜名史学

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「共謀罪」はテロを招く

2017-06-16 08:07:54 | その他
 テロはどのような条件下で起きるか。人々の政治的意思が、民主的な制度の存在を介して政治権力へとつながって、その意思が少しでも反映される可能性があるとき、テロは起きない。

 テロは、民主的な制度がなく、あるいは機能せず、警察権力が強大で、人々の思想の自由や表現の自由が常に抑圧されているという状況のもとで起きるのである、

 1910年の大逆事件。被告人となった人々のうち、数人が明治天皇を暗殺することを話し合ったことがあり、また実際に爆弾らしきものを製造したが、多くの被告人は全くの冤罪であったことは確認されている。

 なぜそういう企図が生じたのか。内田魯庵は、こう記している。

「一体警視庁を政府の爪牙(そうが=主君のために手足となって働く者)とするは封建の遺習である。憲法既に布かれて議会開かれ、人民が立法府に参する權利ある立憲国では政治探偵といふものは全く不必要である。警視庁が人民の保護よりは政府の保護を重しとし、其費用と労力の過半を国事探偵に割くは専制の遺風である。政府の施設に反対するは国家を危うする所以に非ず、政府の政策と異なる意見を主張するは朝憲を紊乱する所以に非ず。然るに時の政府に利あらざる言議を立つるものを直ちに国賊視して之を恐れ之を嫌ひ、注意人物の称を与へて以て警視庁の監視に付し、或は密偵を放ち或は刑事を尾行せしめて其一挙手一投足をも報告せしめて警戒するは寒心すべきことである」(『自筆本 魯庵随筆』湖北社、1979年)

 また弁護にあたった今村力三郎弁護士も、

「不当なる警察権の行使が古今未曾有の大逆事件を醸したる動機の一たること」(「芻言(すうげん)」)

 と指摘している。

 また石川啄木も、「A LETTER FOM PRISON」において、クロポトキンの言説を引いている。

 「一切の暴力を否認する無政府主義の中に往々にしてテロリズムの発生するのは何故であるかといふ問ひに対して、クロポトキンは大要左の如く答へてゐるさうである。曰く、「熱誠、勇敢な人士は唯言葉のみで満足せず、必ず言語を行為に翻訳しようとする。言語と行為との間には殆ど区別がなくなる。されば暴政抑圧を以て人民に臨み、毫も省みる所なき者に対しては、単に言語を以てその耳を打つのみに満足されなくなることがある。ましてその言語の使用までも禁ぜられるやうな場合には、行為を以て言語に代へようとする人々の出て来るのは、実に止むを得ないのである。」云々。」

 テロは、人権や民主主義に対して強権的な国家権力の抑圧がおこなわれるところで発生するのである。

 今、反民主主義的な小選挙区制により民意を反映させない政治が行われ、「共謀罪」をもうけて人々の自由を抑圧し、あるいは窒息させようとしている。その抑圧が強ければ強いほど、テロを誘発するのである。

 「テロ対策」などという政府の主張がいかに空しいか。

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