浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

三木清のこと

2017-04-30 23:29:21 | その他
 NHK・Eテレで、三木清の『人生論ノート』についてやっていたので、書庫にあるかと思ってさがしたところ、『哲学と人生』(講談社文庫)を発見した。私が20代の頃に読んだものだ。といっても、全部は読んではいなかった。ほぼ半分くらいまで、書き込みや赤線が引いてあった。

 その部分を読んでみると、三木清の文はクリアで、奥が深くうまい。私は線の種類で重要度の段階を示すようにしているが、最初の波線はこれ。

 現在は力であり、未来は理想である。記録された過去は形骸にすぎないものであろうが、我々の意識の中にある現実の過去は、現在の努力によって刻々に変化しつつある過去である。一瞬の現在に無限の過去を生かし、無限の未来の光を注ぐことによって、一瞬の現在はやがて永遠となるべきものである。 1917年

 三木は理想主義者であり、また感性豊かな哲学者であることがよくわかる。

 次にこれ。

 自己の良心に忠実であろうとする凡ての人々は必ず悩まねばならぬ世界に私達は生存している。

 そして、

 人生に於て大切なことは「何を」経験するかに存せずして、それを「如何に」経験するかに存すると云うことを真に知れる人はまことに哲学的に恵まれた人である。

 現実に対して不満を感じ疑いを懐くところから私達の哲学も始まるのである。


 現在でも通用する、素敵な言葉の群れがここにある。もう一度最初から読み直さなければならないという気になった。しかしもう若くないから・・・若い人は三木の素敵な言説から学ぶことは多いだろうと思う。

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