KUMIの句日記

写真と一日一句で綴るブログ。句の転載を禁じます。

兜太先生、さようなら

2018年02月21日 | 俳句
天気 曇

また真冬の戻ってきた朝、新聞の一面に「金子兜太さん死去」の報を見てびっくりした。
今年になってから朝日俳壇の選者をお休みしていたので気にはなっていたけれど、やはり長寿を全うされたのか、と。寂しいことだ。
写真の本は、兜太先生とはお友達のようにお付き合いしている、我が主宰がまとめた本。俳句のことも書いているが、その壮絶な人生のすべてを聞き書きしているものだ。2014年6月に刊行されたもので、その「あとがき」の本人の話は、95歳のときのもの。
あとがきの最後に、ご本人が選んだ句。

    水脈の果て炎天の墓碑を置きて去る 兜太

若い将校として南の島で終戦を迎え、島を去るときの句。この句の延長に生きてこられて、平和を願ってやまなかったのだ。

現代俳句の人なので、わが結社とはちょっと違う世界観ではあっても、なぜかわが主宰とはウマがあったようだ。そんな関係で、お近くでお会いする機会も何度かあった。(直接お話はしたことはないが)
私が最後にお会いしたのは、2013年7月、秩父の札所寺での、主宰の句碑建立の句碑開きの日だった。兜太先生の故郷でもあり、お祝いに出席された。その日は梅雨明けの炎天下。日傘やら帽子やらで防衛しないと熱中症になりそうだった。そんな日差しに、93歳の先生は帽子も傘もなく、きちんとスーツを着て、朗々とした声で祝辞を述べて・・
体調を心配したものだった。でも、いちばん元気だったのは、先生だったかもしれない。あれからも去年まで、様々に活躍されてきたのだから。

ご冥福をお祈り申し上げます。

とってもお粗末な弔句ですが・・
秩父札所めぐりや観光で何度も訪れた秩父を思い出して。

残雪の甲武の峰や巨星墜つ   KUMI

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4 コメント

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今朝のニュースで.... (ふきのとう)
2018-02-21 18:16:18
私も今朝のニュースで知りました。
直にお目に掛かっておられるなんて、素晴らしい!
あの時、この時と深い想い出が沢山おありの事でしょう。

俳誌のみで、お目に掛かっておりました。
kumiさんの俳誌の主宰もお力を落しの事、お察しいたします。

弔句「見事」としか、言いようも御座いません。
感銘いたしました。
俳句王国で (mako)
2018-02-21 20:39:09
稲畑汀子氏とのバトルが小気味良くて、
歯に衣着せぬもの言いが記憶に残っています。
稲畑氏にあれだけの物言いをなさるのは金子兜太さんくらいかと。
寂しくなられましたね。
ふきのとうさん、昭和は消える・・ (KUMI)
2018-02-22 16:13:06
昭和をどっぷりと生きて来られた方たち、だんだん消えますね。
戦場を体験した人が居なくなって、この先どうなるのでしょう。
大きな声でお話されて、生涯現役。健康には人一倍注意されていたのです。
見習わなくては・・

主宰は、幅広い人とのお付き合いがありますから、挨拶句の名人です。
兜太先生だけでもたくさん哀悼の句をたくさん作られると思います。
今度、お知らせしますね。私の句はとても主宰に見せられません。
makoさん、私も見ていました (KUMI)
2018-02-22 16:17:41
そうそう、お二人が出演されていた頃、私も見ていました。
兜太先生は、とっても声が大きくて、はっきりと物申す方。
現代俳句ですから巾広い句を作られて、稲畑さんとは合う訳ないですねえ。

それにしても俳人は生涯現役なのですねえ。
兜太先生も、動けなくなった今年になってからも作句を続けていらしたとか。

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