松岩寺伝道掲示板から 今月のことば(blog版)

ホームページ(shoganji.or.jp)では書ききれない「今月のことば」の背景です。一ヶ月にひとつの言葉を紹介します

鳩摩羅什のことば

2013-07-06 | インポート

Img_4664_kakou_12723_2汚水の中に、美しい蓮華が生えるように、美しい花だけを採って、汚水は取り入れてくれるな  鳩摩羅什


庭の蓮がつぼみをつけたので、今月は蓮の言葉をと思って探しました。中国、後秦、鳩摩羅什(344~413)の言葉です。原文は「譬えば臭泥の中に蓮華を生ずるがごとし。但だ蓮華を採りて、臭泥を取ること勿れ」(『出三蔵記集』巻十四、鳩摩羅什伝)ですが、和訳を使いました。
蓮は大乗仏教のシンボルですから、蓮に関連する経文はたくさんあります。「高原の陸地に蓮華は生ぜず、卑湿汚泥に乃ちこの華は生ずるが如し」(維摩経)なぞというのが有名なところですが、少し安易すぎるかなと思案したため、少々わかりにくい鳩摩羅什の言葉になってしまいました。なぜ、わかりにくいかというと言葉の背景がわからないと意味がわからないからです。背景はというと、奈良康明編著『仏教名言辞典』(東京書籍刊)に次のようにあります。

羅什といえば、『法華経』や『維摩経』などの翻訳者として、その名声は玄奘 (六〇〇~六六四)にひけをとらない。その流麗な訳文は、漢字文化圏の仏教に決定的な影響を与えた。しかし、羅什の生涯にはぬぐいがたい汚点があった。羅什は、そのことを深く心にとどめ、弟子たちがその轍を踏まぬよう、ことあるごとに戒めた。汚点とは二度にわたる女犯である。亀弦国を攻略した前秦の将、呂光によって亀弦の王女と密室に閉じこめられてついに節を屈したばかりでなく、法種の断絶を心配した後秦の支配者挑興によって、妓女十人と妻わされた。いずれも強権によるものとはいえ、羅什の激しい屈辱感は生涯消えることはなかったと思われる。門弟たちに向かって講説するとき、必ず真っ先に口にしたのが前掲の言葉であった。長安の仏教界に君臨した羅什が、この言葉を言わずにおれなかったところに、彼の誠実さと苦渋の深さを知るべきである。白い蓮華の花は正しい教え(妙法、正法)のシンボルであった。その濁りに染まない美しさを門弟に伝えようと心をくだいた。(岡部和雄) 『仏教名言辞典』東京書籍刊685

上記のような背景を知って始めてわかる今月のことばです。だから、街角の掲示板の言葉としては、失格でしょうか。
ところで、境内の蓮桶の蓮がつぼみをつけました。それに気がついた道を行く若者が山門から入ってきて、スマホのカメラで写真を撮っていました。そんな姿をみると、春の植え替えの苦労も報われるというもの。なんだか愉快になってきますが、本日の熊谷の最高気温予測は37度。不快な気温であります。

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