TOMO's Art Office~My Philosophy

我思う、ゆえに我あり~ある創作者の思考

「ジャクソン・ポロック」と「騎士団長殺し」

2017年03月15日 | 芸術
2014年。僕がニューヨークのMOMAで衝撃を受けたのはウォーホルでもなく、アンリ・ルソーでもなく、ジャクソン・ポロックだった。それまで僕はジャクソン・ポロックを「(ある種のショーと化した)現代アートの成れの果て」と認識していたのだが、実際作品を目の当たりにした時の強力な圧力とも言うべき「説得力」は他のアーティストを凌駕していた。

残念ながら当時僕はその衝撃を言語化する術を持たなかったのだが、最近興味深い論考を発見した。岩波書店「図書」2017年2月号の三浦佳世氏の「ポロックの『でたらめ』~物理学者が発見したフラクタル構造」がそれである。簡単に要約すると、オレゴン大学の物理学者リチャード・テイラーらがポロックの作品に対してフラクタル解析を行ったところ、自然界にみられるフラクタル次元に極めて近い値がポロックの作品群に見いだされた、という内容だ。フラクタル解析というのは一種の幾何学的分析で、「部分」と「全体」にどの程度「相似」構造があるかを数値化して測定するものである。その結果、ポロックの作品群には「でたらめ」では得られない、極めて自然(ex.木々の分岐やリアス式海岸)に近い相似構造がみられた、ということだ。フラクタル構造と人間の快不快感情の関係性についてはまだまだ研究の余地があるが、ポロックの作品の持つ「説得力」を説明する一つの論拠となりうるだろう。

タイムリーなので村上春樹の「騎士団長殺し~顕れるイデア編」から印象深い一節を引用しておこう。
「あるいは諸君はその絵を描くことによって、諸君が既によく承知しておることを、主体的に形体化しようとしておるのだ。~中略~大事なのは無から何かを創りあげることではあらない。諸君のやるべきことはむしろ、今そこにあるものの中から、正しいものを見つけ出すことなのだ」

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