花冠俳句フェスティバル

花冠発行所
代表 高橋正子

◆花冠俳句フェス作品集◆

2011-12-01 12:03:59 | Weblog
■花冠俳句フェスティバル2011in大阪
□11月26日近江長浜吟行、
□11月27日大阪俳句大会開催

【花冠フェス最優秀4句】

第1回句会(長浜・豊公園)
★雪吊の天の青さに絞られる/小西宏
表現に無駄がなくイメージが鮮明である。琵琶湖畔の長浜豊(ほう)公園の松にかけられた雪吊り。雪吊りの縄が青空の中に、先端で括り絞られている。「天の青さ」が、堂々として、雪吊りの凛とした様子がよく見える。(高橋正子)

第2回句会(ホテル「プリムローズ大阪」客室)
★快晴が包みし冬の奥琵琶湖/多田有花
広い琵琶湖の奥である湖北は、その日快晴であった。時雨の多い湖北が快晴に包まれることは希かもしれない。「奥」という方言と、「包む」という表現がよく呼応して、湖北の感じがよく出ている。(高橋正子)

第3回句会(ホテル「プリムローズ大阪」会議室)
★冬晴れて視線を高く天守へと/藤田洋子
大阪城の吟行での作。大阪城は、巨大な石垣とそびえる
天守に目が注がれる。足元よりも、視線は冬晴れの空へ、天守へと自然に向けられる。いわゆる切れのない「一句一章」の句のよさがあって、すっきりと、素直な感覚でよくまとめられている。(高橋正子)

★句会へと急ぐ車窓に冬の虹/小西宏
照り曇り、どきに時雨がぱらつくような天気に、つかの間現れた虹。句会へ急ぐ車窓に見た虹に、時雨模様の時の経過と、作者のなにがしかの思いが読める。(高橋正子)

【選者詠】 
○高橋信之
  新横浜
★明日へ旅立ちの冬天ひろびろ青し
  琵琶湖
★鴨浮かべ湖の平らに旅人よ
  大阪城
★晴れの日は栴檀の実の明らかに

○高橋正子
  新幹線
★トンネルを抜けて手帖に差す冬日
  琵琶湖
★平らかな湖水に向きて冬はじめ
  大阪城天守
★冬がすみ生駒の山の青透かし

■報告①/花冠俳句フェスティバル2011in大阪■

2011-11-28 10:39:57 | Weblog
報告その1/高橋秀之記

「花冠俳句フェスティバル2011in大阪」は11月26日(土)から27日(日)の2日間にかけて、初日は北近江・長浜吟行と昼食会、句会、2日目は大阪で大阪城吟行と各賞授賞式、記念句会、記念講演が、横浜から高橋信之先生、高橋正子先生をお迎えして、ご出席いただいた花冠のメンバーとに行われました。

【1日目】
 1日目は午前11時15分にJR北陸線の長浜駅集合です。最近、週末の雨の確率の高かった関西地方でしたが、この日はそれが嘘のような冬晴れの陽気でした。
私(高橋秀之)は、特別参加の三人の息子たちと一緒に東海道本線から長浜方面に直接乗り入れるJRの新快速電車に乗っていたところ、米原駅から乗ってこられた高橋信之、正子両先生や句美子さん、佃康水さんと同じ車両のすぐ隣の座席に乗合わすという、偶然というか、巡り合わせのご縁からスタートいたしました。
 長浜駅改札口で今回の参加者のみなさん(小西宏さん、黒谷光子さん、多田有花さん、祝恵子さん、上島祥子さん)とも落ち合って、全員で「豊公園」へ向かいます。その豊公園内でこども俳句の授賞式を行いました。
 今日の受賞者は、高橋成哉・博己・周也、上島光太郎・千晴、祝桃果・龍之介の7人。
まずは本日本人が参加している高橋成哉くんから。少し照れながらも嬉しそうな表情で高橋信之先生から賞状をもらいました。次に博己くん。ものすごく嬉しそうな笑顔でした。3番目は周也くん。分かっているのかいないのか、少しはにかんでいました。上島光太郎くん、千晴ちゃんは祥子さんが、祝桃果ちゃん、龍之介くんは恵子さんがそれぞれ代理で賞状を授与されました。
 授賞式の後は黒谷光子さんの長浜城前を歩いて琵琶湖岸へ。この日の琵琶湖は、鮮やかな青空の下、穏やかな波に鴨がたくさん浮いてのんびりしていました。正子先生をはじめ、琵琶湖を始めて目にされる方もあり、ここで約30分、みなさん思い思いに吟行を楽しみました。
 昼食は光子さんのお世話で、長浜ロイヤルホテルのレストランでハヤシライス。同人会長になられた宏さんの乾杯のあと歓談のひとときと、今日の長浜吟行の最優秀句の発表があり、大会などの場では初めての受賞という宏さんの雪吊りの句が選ばれました。
 昼食後は午後2時から3時まで1時間。湖岸の緑地のベンチで句会です。参加者全員の句のコメントや作者の思いなどを語り合い、信之先生、正子先生からは、いろいろと楽しい句評、様々なご指導をいただきました。今回は、屋外での句会でしたが、自然の空気に触れる中での句会も室内とは違った趣がありました。これで1日目の長浜吟行の行事は終えました。

【2日目】
 2日目は大阪で、大阪城吟行からスタートです。今日の大阪は薄曇の天候です。午前9時、各賞授賞式や記念句会の会場であるホテルプリムローズ大阪のロビーに午前9時に集合。信之、正子両先生に昨日から引き続き参加の宏さん、有花さん、恵子さん、康水さん、句美子さん、昨日の夜に合流された藤田洋子さん、本日の吟行から参加の桑本栄太郎さん、津本けいさん、それに私(秀之)の11名で大阪城へ向かいます。ホテルから大阪城公園までは、大阪府警本部の横を歩いて約5分。そこからお城までは15分ほど歩きます。みんなで天守閣にあがり、大阪の風景を展望してきました。河野啓一さんと付き添いの具子さんご夫妻は10時30分ごろに合流し、今日の記念句会の投句、選句を済ませます。
 正午からプリムローズ大阪3階高砂(東)の間で、各賞授賞式が行われました。今回の受賞者は、第29回花冠賞が小西宏さん、桑本栄太郎さん、佃康水さんの3名。第13回橘俳句賞が多田有花さん、有花さんは新人賞、花冠賞(旧水煙賞を含む)とあわせ、初めての三賞受賞者だそうです。第18回花冠新人賞が津本けいさん、第3回高橋信之賞が藤田洋子さん、第1回インターネット俳句センター賞が祝恵子さんでした。ご受賞なされました皆様方、おめでとうございました。
 その後、昼食をとりながら信之先生の記念講演がありました。先生からは今日がインターネット俳句センター開設15周年の記念日であることの紹介があり、15年前(1996年)にどうしてインターネットを使った俳句の場を作られたのか、そして、10年先を見越して、想定して行うことが大切であること、インターネットで仲間が大事な座の文学ができるのか、感性の共同体ができるのかといったことなどいろいろとあったが、今年の11月にgooのブログがフェイスブックと連携ができるようになったことで枠組みができたと考えられることなどについて、お話がありました。
 さらに、先生が成城大学の論文で書かれた「インターネットと文学」を題材に、お話がありました。その中で
「人間らしさ」といえば、ゲーテが『ファウスト』の終末近くで 述べているところの
Auf freiem Grund mit freiem Volke stehn.(自由な民と共に、自由な土地の上に住みたい。(鴎外訳))ということ、
トーマス・マンが、長編小説『ファウトゥス博士』のなかで『第九交響曲』をいっている、
Das Gute und Edle,was man das Menschliche nennt,obwohl es gut und edel.
善であり高貴であるもの、善であり高貴だが、人間らしいものといわれるものが求められていることを特に強調されました。
そして、最後に先生の言葉で「人の喜ぶのをみて喜ぶのがいい」「インターネットでみんなが楽しんで喜ぶのがいい」「来年は横浜で大会を開催しようと思うが、そのときも誰かの喜ぶ顔を見て喜ぶのがいい」との話で締めくくられました。これに対しては栄太郎さんの共感のコメントがあり、参加者全員の拍手で先生に感謝の気持ちを伝えました。
 引き続き、記念句会に移ります。事前に済ませた投句、選句を、宏さん、有花さんの名コンビ(迷コンビ?)の司会で句会が進みます。昨日の長浜吟行と同様、楽しさの中にも両先生からの様々なご指導もあり、例えば、「五感(特に触感)を活かして句を詠むことの大切さ」や「心は言葉で表せない。だから正確な言葉を使うことが大切であること」「先生の意見を自分で考え、自分で直すことの大切さ」など、参加者の皆さんはとても勉強になったことでしょう。だからこそ「句会はいいな」という句会の大切さを、改めてみんなで共有したところです。 最後に、両先生から記念句会の最優秀句が発表され、宏さん、洋子さんの句が選ばれました。そして、午後3時、まだまだ名残の尽きない中、今回の全日程を終えました。

最後に
最後に、長浜吟行のお世話をいただきました光子さん、両日とも司会を務めていただいた宏さん、有花さん、細々としたお仕事を引き受けてくださった句美子さんをはじめ、ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。また、両先生を始め、遠くからご参加いただいた皆様お疲れ様でした。今回ご参加いただきました皆様も、残念ながら今回は不参加でした皆様も、また次回、お会いできることを楽しみにしております。

今回の吟行の写真はこちらに整理しました。
http://www.photohighway.co.jp/AlbumPage.asp?un=79076&key=2370676&m=0

信之先生の論文はこちらにありました。
http://kakan.info/nobuyuki/02/haiku3.pdf


◆琵琶湖吟行: 写真①右端は昼食会場の長浜ロイヤルホテル、岸辺は花冠同人の吟行 写真②長浜豊公園での句会、司会小西宏・多田有花 写真③子ども俳句賞授賞式、高橋周也◆花冠各賞授賞式: 写真④祝恵子(第1回インターネット俳句センター賞)、左側は藤田洋子(第3回高橋信之賞)◆


■ご案内/花冠俳句フェスティバル2011in大阪■

2011-08-29 14:24:20 | Weblog
■花冠俳句フェスティバル2011in大阪
□主宰 高橋正子/花冠代表
□代表世話人 高橋秀之
□世話人 高橋句美子
□司会 小西宏・多田有花
□時  11月26日(土)~27日(日)
□所  ホテル「プリムローズ大阪」
(〒540-0008大阪市中央区大手前3-1-43/℡06-6941-1231)
http://www.primrose-osaka.com/

▼11月26日(土)
●北近江・長浜吟行
○集合 JR長浜駅午前11時15分(変更)
○案内 黒谷光子
○費用 各自実費負担
●歓迎夕食会
○午後6時~午後8時
○ホテル「プリムローズ大阪」レストラン
○会費 4500円(変更)

▼11月27日(日)
●大阪城吟行
○集合 ホテルロビー午前9時
○吟行(午前9時~11時)

●大会(各賞授賞式と記念句会など)
○集合 ホテル「プリムローズ大阪」ロビー午前11時
○受付:藤田洋子・高橋句美子
○会場 ホテル「プリムローズ大阪」会議室
○大会 正午~午後3時
①各賞授賞式
②懇親会
③記念句会
△記念句会投句:当季雑詠3句・締切11時30分
△選者:高橋正子
△記念講演:花冠ネット句会15年/高橋信之
△入賞発表と講評(高橋正子先生)
○会費 5000円(昼食費・会場費・諸経費を含む)

●大会閉会:午後3時  
●解散:午後3時30分

●会費:17,000円(下記の諸経費の総計です/変更)
○26日:歓迎夕食会費:4500円(変更)
○27日:大会会費:5000円
○ホテル宿泊料:7500円(27日朝食代を含む/変更)
※27日午後大会のみの出席者の会費は、5千円
※会費等に多少の変更があります。お確かめください。

▼お問い合わせ
電話:050-3641-8827
携帯:080-1278-5320
※26・27日は、<携帯>にお電話ください。



俳句フェスティバル2010in松山報告/柳原美知子記

2010-04-14 10:43:08 | Weblog
大会一日目(4月7日)
 前日の5月のような陽気から一転して、花冷えの雨の朝となりましたが、会場までの道中、のどかな山々や川沿いを埋める爛漫の桜が濡れた薄紅を湛えている風情に「花の雨」ということばが実感されました。

   師を迎う句会の朝や花の雨  美知子

 松山へ着くと雨も止み、城山は雨上がりの若葉の色が美しく、堀の緑深い水に、桜が静かに散り始めていました。集合場所の「ホテルJALシティ松山」のロビーには、高橋信之先生、正子先生ご夫妻、藤田洋子さんが到着しておられました。信之先生は前夜から風邪を引かれ、発熱を押してお越しいただいたとのことで大変驚き、有り難く思いました。レストランに移り、記念句会の5句の投句をし、4人でコーヒーをいただいていると、11時頃から高松の成川寿美代さん、新居浜の藤田裕子さん、大洲の井上治代さん、松山市内から今日の記念講演の講師、村上伸生先生が来られ、ホテルから5分位歩いたところにある大会会場の「松山珈琲屋」に移動しました。「松山珈琲屋」のマスターは、インターネット俳句コンテストの選者でもあられる川柳作家の原田否可立さんで、お店を貸し切りにしてくださるなど、いろいろ御配慮いただきました。

 正午から藤田洋子さんの司会で大会を開会し、マスターご夫妻の心尽しのランチと評判の浅煎直火焙煎のコーヒーを味わいながら、全員の投句と選句を行いました。13時から、詩人で昨年のインターネット俳句コンテストの選者もしていただいた村上伸生先生の記念講演「詩を書きはじめた頃から」をお聴きしました。大江健三郎、伊丹十三といった方々を松山東高校の後輩に持たれ、「愛媛詩人会」を、信之先生のご協力を得て設立されたいきさつなど、興味深いお話を伺いました。
 また井上治代さんの「不器用な生き方もよし芋を掘る」、芭蕉の「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」などを例に挙げられ、詩精神についてお話されました。久しぶりで大学生に戻って講義を聴いているような気持になり、いろいろ考えさせられました。
 14時からそれぞれ選をした句へのコメント披露をし、村上先生、原田さんもまじえて、和気藹藹の句座となりました。その後正子先生から入賞発表と御講評があり、常体言語は心境を表す最高の言葉であること、言葉を超えた言葉、リズムの大切さなどについてのお話がありました。信之先生からは、俳句では、どういう場所で、どういう気持ちで作ったか、作者の心に添うこと、作者の気持ちに入っていくことが大切で、そういう句座を持つには、15人位までがよい、というお話がありました。”とりあわせ”や”切れ字”について、俳句、詩、川柳の専門家のお立場からそれぞれ貴重な御指導をいただき、大変有意義な記念句会となりました。

 井上さんと名残を惜しみ、16時からはホテルに戻り、インターネット俳句コンテスト協会平成 22年度通常総会が開催されました。その後、正子先生より入賞者に素敵な賞品授与があり、参加賞も全員にいただきました。ホテルのレストラン、ラ・テラッツァでの懇親会では、瀬戸内魚介料理テラッツァ風というメニューで旬の鯛のたっぷりとした身がイタリア風に料理され、白ワインとともに舌鼓を打ちながら、なごやかに親交を深め、心もお腹も満ち足りたことでした。最後に、お世話をしていただいた藤田洋子さんから御挨拶をいただき、フェスティバル第一日がおだやかに終了しました。

大会二日目(4月8日)
 昨日からの花冷えもゆるみ、空も晴れて、青麦畑を吹く風が心地よく、この日は丁度虚子忌でした。松山市から車で30~40分、松山自動車道の川内インターから車で3分の東温市の田園地帯にある坊っちゃん劇場は、舞台芸術を通して、四国・瀬戸内の伝統、文化を継承し、広めることを目的とし、今年で創立5周年を迎え、記念作品として選んだ演目が、ジェームス・三木作、演出のミュージカル「正岡子規」でした。ミュージカルを志す息子が、地元を盛り上げたいとの思いで東京から帰郷し、3年目の今年、ミュージカル「正岡子規」で「高浜虚子」の役をいただきました。この度のフェスティバルに参加するにあたり、6日から劇場近くに住んでいる息子方に泊っていた私は、「落ち着いてね。」と朝息子を送り出しながら、虚子忌に自分の俳句の師である高橋信之先生、正子先生、「花冠」同人の方々に虚子を演ずる息子の舞台を観ていただけるという有り難い御縁に興奮していました。12時過ぎから坊っちゃん劇場に行き、チケットなどの手配をして皆様をお待ちしました。13時過ぎ、松山から藤田洋子さんが、信之先生、正子先生、再度新居浜から来てくださった藤田裕子さんを車に乗せて、劇場まで来てくださいました。昨日記念講演をしていただいた村上伸生
先生も来てくださいました。14時からの公演までには間があったので、劇場前や坊っちゃん列車と野球のユニフォーム姿の子規のレリーフがあるロビーなどで、信之先生が皆の記念写真を撮ってくださいました。

 13時50分頃、450席ほどの劇場の前から七列目の中ほどの指定席に着いて間もなく、愛媛県出身の女優さんが伊予弁で携帯電話を切るようにとアナウンスし、ほのぼのとしました。幕が開くと舞台は「八百屋舞台」といって奥にいくほど高くなっていて、奥行きを感じ、ライティングと美術がとてもきれいでした。病魔を擬人化した死神が歌い踊るあの世、須磨の療養所、松山練兵場、根岸子規庵のそれぞれの舞台で繰り広げられる登場人物のやりとりが面白く表情もよくわかり、引きこまれていきます。子規が妹律に子もいない自分の身を嘆くシーンでは、律が子規が作った俳句や短歌が子どもだと慰め、「病床の匂袋や浅き春」などの俳句や「紅の二尺伸びたる薔薇の芽の針やはらかに春雨の降る」などの短歌がやわらかい調べに乗って美しく歌われ、涙を誘います。子規の悲しみの中にも情熱と弟子たちへの愛を感じ、新たな時代の息吹を弟子たちの演技に感じました。

 105分の上演時間が終わると、役者さんたちが見送ってくれ、握手をしたり、観客が感想を伝えたり、温かい交流がくりひろげられました。観劇を終え、劇場の敷地内の中華料理店で信之先生、正子先生、村上先生、洋子さん、裕子さんにお祝いをしていただき、感激しました。皆様もミュージカル「正岡子規」に満足していただけたようで、素晴らしい虚子忌の一日でした。お世話になった皆様に心よりお礼申し上げます。



▲坊っちゃん劇場オフィシャルブログ
http://botchan.i-yoblog.com/
▲ミュージカル「正岡子規」キャストの集合写真
http://kakan.info/photo/2010/100407b.jpg
▲ミュージカル「正岡子規」キャストの皆さんから寄せ書きをいただきました。
http://kakan.info/photo/2010/100407a.jpg
▲花冠同人の皆さん(坊ちゃん劇場入口にて/裕子、美知子、正子主宰、洋子)
http://kakan.info/photo/2010/100408i.jpg

俳句 in 松山

2010-04-13 11:31:54 | Weblog
◆松山へ五句/高橋信之◆

 横浜
花曇る旅立ちの朝となりていし
 機中三句
春天のあおあお深き機窓なる
四月の空明るし機内の水うまし
春天の飛機の胴なる中に居る
 松山
ふるさとの花らんまんの風の中

◆桜五句/高橋正子◆

松山の楠燃え桜まじりたる
青麦の穂の色濃くも揃いたる
 横浜港
港は春の朝のみどりの潮の色
桜咲く光が満ちて雲の上
 松山湾上空
島はしずかに島でありたり花曇

(四月七日早朝、横浜日吉の自宅を妻と二人の旅立ち。松山では、花冠俳句フェス(於:松山珈琲屋)、インターネット俳句コンテスト協会総会(於:ホテルJALシティ松山)に参加、そして、八日、ミュージカル「正岡子規」観劇(於:坊っちゃん劇場)。九日には、再度の観劇。信之記)

●ミュージカル「正岡子規」/高橋信之

2010-04-13 11:23:41 | Weblog
総合俳句
多様な俳句への新たな展開を

  ⑩ミュージカル「正岡子規」
   
  糸瓜咲いて痰のつまりし仏かな   子規

 四月七日は、四国松山に久しぶりの帰郷となったが、それは、松山近郊にある坊ちゃん劇場でのミュージカル「正岡子規」観劇のためであって、脚本演出のジェームス三木が「他ジャンルから見た俳句」ということで月刊俳句界(昨年七月号)に書いていた文に興味を持っていた。ジェームス三木は、外地からの引揚者で、また文学に携わっていることが私と同じであったので、かなり以前から関心を持っていた。

 横浜の自宅を朝早く出て、羽田空港からJALに乗った。俳句雑誌「花冠」代表の妻と二人の旅となった。松山空港では、花冠同人の藤田洋子さんが出迎えてくれ、松山市内のホテルまで車の運転をしてもらった。七日の午後は、喫茶店を貸し切っての句会、ホテルのレストランでの懇親会などを十名ほどの少人数で楽しんだ。

 ミュージカル「正岡子規」の観劇は、四月八日の午後となった。松山市内から坊ちゃん劇場までは、クルマで三十分ほどの田園地帯にある。今は珍しい麦畑があちこちにあって、青麦の美しく力強い風景が広がっていた。私の心は、無理なく、ミュージカル・子規に向かっていた。

 午後二時開演、一時間四十五分の上演は、ミュージカル・子規が喜劇であることに納得させた。子規を思って、涙がこぼれそうで、こぼれることのなかった、まさに喜劇であった。大衆芸能の明るさがあって、芭蕉の「高くこころをさとりて俗に帰るべし」という「俗なるもの」を思った。
 俳句が大衆の生活に入り込んだ「俗なるもの」に、その総合性を見た。明るく広がりのある世界であり、ミュージカルに生かされた新しい時代の俳句を予見させた。俳句の大衆性と総合性である。俳句は、古くから色紙・短冊に書かれ、また、軸物となって、座敷を飾ってきた。書と結びつき、床の間では、生け花と一体となった俳句が鑑賞された。生活の中の文学・芸術となっていたのである。

 ミュージカル・子規の舞台美術に注目した。その大道具、小道具、その舞台美術に注目した。根岸の子規庵には、何度か訪ねたが、舞台の根岸子規庵は、その再現であって、子規が寝ていた空間を現実のものとして見せ、その劇場空間が二十一世紀の今に相応しく新鮮であった。木と紙で出来た障子の舞台が新鮮であった。都会の大劇場とは違って、四国松山近郊の、あまり広くない劇場がよかった。文学、音楽、美術などとの総合芸術のよさを見たのであった。
 ミュージカルの中の演技、踊り、音楽によって、俳句がいきいきとしていた。俳句の言葉が音楽によって壊されていない。日本語の七五調、五七調といったリズムが生かされていた。

 ノーベル賞作家の大江健三郎は、『子規の根源的主題系』と 題した短い文章で、「子規はまたいかなる私小説の作家よりも勇敢にかれの全体を見せている。細部にわたって克明に。」と、言っているが、これは、文学・芸術において、「全体的、綜合的」であることの重要性を述べたもので、ミュージカル「正岡子規」が二十一世紀の新しい総合芸術、総合俳句を示唆しているに違いないと思った。

 高浜虚子を演じていた柳原悠二郎君は、「坊っちゃん劇場オフィシャルブログ」に自作の句を殆ど毎回載せている。四月六日のブログには、前日が誕生日であったので、

  祝われて生まれたこの日花盛り   悠二郎

という、いい句が載っている。初日翌々日の四月五日は「花盛り」で、いい日に生んだものだと、母親の美知子さんを笑わせた。
悠二郎君は、私が創刊した俳句雑誌「花冠」に、一九八九年の小学五年頃から自作の句を載せている。母の美知子さんが同人であったご縁からで、俳句実作のキャリアが長い。小学生の頃は、

  ベランダで美しくさく父の菊

などの俳句があって、子どもらしいが、句としての品格がある。それが生長し、虚子の風格を舞台で見せてくれたのが嬉しい。

 当時、私の俳句雑誌に投句していた小学生は、十数名の少数であったが、二十年も過ぎ去った今では、それぞれの道を歩いている。東大、慶大へもそれぞれ複数の子どもたちが進学した。京大、早大などへも進学した。それらの中にあって、悠二郎君は、ミュージカルを選び、俳人である私の前で高浜虚子を演じ、歌を歌ってくれた。東大出のキャリア官僚、慶大医学部出身の医師など様々な人生を歩いているが、私の目の前で今の生活の姿を見せてくれたのは、悠二郎君と句美子さんの二人だけである。句美子さんは、「俳句の未来人」として月刊俳句界に取り上げていただいた。
 「多様な俳句への新たな展開を」が私の論考のテーマなので、私が主宰し、選評をした雑誌のかっての小学生たちが悠二郎君をはじめとし、今、様々な分野で活躍しているのを嬉しく思う。多様な俳句への、こうした新たな展開を思えば、俳句の未来は明るいのである。

 四月九日、再度のミュージカル「正岡子規」を観て、花爛満の城下町松山を後にした。ここには、「坂の上の雲ミュージアム」があり、「伊丹十三記念館」がある。明治の正岡子規と秋山真之との交遊を思い、昭和の大江健三郎と伊丹十三との交遊を思った。この城下町からは、平成には平成の青春物語りがきっと生まれてくるに違いない。青春のある楽しみな町である。

 私の論考「多様な俳句への新たな展開を」の次回は、ネットの中の俳句を取り上げたい。「総合俳句」を思えば、ミュージカルの中の俳句と同じように、ネットの中での俳句が気になるのである。

■ご案内/俳句フェスティバル2010in松山■

2010-01-15 11:39:35 | Weblog
■主宰 高橋正子/花冠発行所
■世話人代表 藤田洋子
■世話人会計 柳原美知子
■ブログ管理 高橋信之

■時  4月7日(水)~8日(木)
■所  松山珈琲屋
(790-0067 松山市大手町一丁目8-2 渡部ビル1階/℡089-916-3058)
http://asairi.com/
●集合:午前11時30分、「ホテルJALシティ松山」ロビー
http://matsuyama.jalcity.co.jp/access/

▼第1日/4月7日(水)
●会場:松山珈琲屋
●受付:藤田洋子・柳原美知子
●大会開会:正午(司会/藤田洋子)
○昼食:正午
○記念句会:12時30分
△投句:当季雑詠5句・締切正午
△選者:高橋信之・高橋正子
△記念講演:詩を書きはじめた頃から/村上伸生(詩人)・午後1時
△入賞発表と講評(高橋正子先生):午後2時(賞品授与は懇親会場にて)
●大会閉会:午後2時30分    
●花見吟行:午後2時30分~午後4時
●懇親会:午後4時~午後6時
「ホテルJALシティ松山」のレストラン「ラ・テラッツァ」
http://matsuyama.jalcity.co.jp/

▼第2日/4月8日(木)
●ミュージカル「正岡子規」鑑賞(脚本・演出:ジェームス三木)
※花冠同人柳原美知子さんのご次男悠二郎君が「高浜虚子」役で出演します。
△於:「坊っちゃん劇場」愛媛県東温市見奈良
●フェスティバル解散:4月8日(木)午後6時20分、「伊予鉄市駅」

■会費■
第1日参加者:6500円(大会・昼食・懇親会費用を含む)、両日参加者:1万円
■ホテル■
「ホテルJALシティ松山」を各自予約してください。
http://matsuyama.jalcity.co.jp/

▼出席者は、<コメント>をクリックして、その旨お書き込みください。

◆水煙300号記念俳句大会作品

2008-09-09 09:42:35 | Weblog
■大会最優秀句
○高橋信之先生選
★秋風のマストに少しある傾斜/徳毛あさ子
マストが少し傾いている。秋風が心地よく吹いているのだろう。その見つけどころがよい。(高橋正子)

○高橋正子先生選
★新涼の沖へ一隻帆を張って/藤田洋子
帆を張るヨットか、一隻沖へ向かう。さわやかな、涼も新たな季節がよく伝わってくる。(高橋正子)

○徳毛あさ子先生選
★海見える椅子に秋蝉聞いている/小西宏
海の見える椅子に、秋蝉の寂しくなりかけた声を聞く。過ぎた夏を思いもしてみる。ロケーションがよい句である。(高橋正子)

■大会高点句
○最高点句
★海見える椅子に秋蝉聞いている/小西宏
○次点句
★秋光に満ちて港の空広し/高橋正子
9月7日朝、港の見える丘公園からの眺め。外国へ開かれた港の空の広がりがうれしくなるほど、秋光に満ちた広い空であった。(自解)

■吟行優秀句
○高橋正子選
★秋蝉の声のあい間を水の音/黒谷光子
椿山荘での句だが、木々に秋蝉がよく鳴いていた。その合間を流れる水の音が聞こえてくる。夏の名残をとどめながら、秋になっていく自然のめぐりが良く捉えられている。

○黒谷光子選
★竹垣に触れれば軽し秋の音/藤田荘二
竹垣に触れると、軽く鳴る竹笹の葉音。この軽い音を秋の音として聞いた。小さな秋のおとずれである。(高橋正子)

○安藤智久選
★樹の間より三重の塔秋天に/村井紀久子
椿山荘には、三重の塔があって、樹の間から、上手く枝を配した位置に見える
場所もある。秋天へのびる塔がすっきりとしている。(高橋正子)

【作品】
★土を踏む強き背伸びに朝の露/藤田荘二
★海見える椅子に秋蝉聞いている/小西宏
★秋蝶の舞うて港の見える丘/大山正子
★木曽川の秋をボートの白き波/黒谷光子
★さわやかや丘に港の開く朝/臼井愛代
★夕立や砂場に残る三輪車/村井紀久子
★恵まれし八十余の年や天高し/奥田稔
★朝涼し家族の会話窓辺へと/高橋句美子
★凡々と一日過ごせり鳳仙花/渋谷洋介
★遠方の友と飲む酒柚子香る/高橋秀之
★新涼の沖へ一隻帆を張って/藤田洋子
★畦道に露草の青楚々とあり/飯島治朗
★日曜の煙突群の高く澄む/安藤智久
★蝉時雨の石段抜けてマリーナへ/徳毛淑
★旅立ちの朝つゆくさの青すがし/多田有花

【選者詠】
★秋朝日のぼらせまっすぐな道/高橋信之
★さわやかに窓の大樹の揺れどおし/高橋正子(神奈川近代文学館)
★秋風のマストに少しある傾斜/徳毛あさ子

◆水煙300号記念俳句大会報告/臼井愛代記

2008-09-09 03:51:26 | Weblog
■大会一日目(水煙300号記念大会・懇親会)

 大会初日のこの日は、朝から厳しい残暑となりましたが、懸念されていた雨もなく、お祝いの日に相応しい好天で幕を開けました。
 大会が開催される「神奈川近代文学館」は、横浜の、港のみえる丘公園の近く、大変横浜らしい景色が望める一帯にあります。
 大会スタッフの集合時刻に会場に行ってみると、高橋信之先生、正子先生ご夫妻が既に到着しておられ、会場設定のほとんどを終えてくださっていました。藤田荘二さんと小西 宏さんと共に会場設定の仕上げ、大会の打ち合わせに加わり、受付開始時間を待ちます。

 受付開始は正午。今年は、高橋句美子さん、徳毛 淑さんというお二人の若い方々が受付を担当してくださいました。大会開始時刻までの間に、受付を済ませた人から、記念句会への一人三句の投句もされました。
 大会開始時刻の13時になり、本大会の実行委員長をお引き受けくださった小西 宏さんが、300号記念のお祝いにふさわしい、明るく楽しい会にしたいというお言葉で、開会を告げられました。
 開会に際し、同人会長の藤田荘二さんのご挨拶がありました。成り立ちからの今日に至る水煙の歴史に触れられたあと、25年という長きに渡り、俳句のご指導を続けてくださっている高橋信之先生、正子先生の活動を讃え、感謝の意を表されました。そして、今後も、水煙に掲げられているモットーと、同人諸氏の協力のもとに、少人数であっても、家族的なあたたかさという良き特徴をもつ水煙の絆を強めていきたいという事と、こども俳句へのかかわりなどを通じて、若い世代へ言葉の大切さを伝えたり、興味のある人に水煙の俳句を発信していく努力をしたいと、抱負を述べられました。

 続いて、水煙各賞、特別賞を受けられた方々への表彰式に移りました。今年は、水煙賞を宮地祐子さん、藤田荘二さん、橘俳句賞を黒谷光子さん、奥田 稔さん、水煙新人賞を安藤智久さん、水煙300号記念特別功労賞を藤田裕子さん、藤田洋子さんが受賞されました。俳誌水煙主宰の高橋正子先生より、各賞の推薦理由が述べられ、高橋信之先生より、それぞれ、賞状、記念品が授与されました。

 次に、記念講演が行われました。講師に大垣市蓮華寺住職の臼井廣導先生をお招きし、「ほとけさまのお話」という講演をしていただきました。お寺の長男として生まれてから現在までの人生経験の中から氏が得られた、仏教者としての現在の心境が語られていました。人が、この、苦に満ちた人生を生きていく中で、「苦しみが苦しみでなくなる」あるいは「悲しみが悲しみでなくなる」というような前向きな心の持ちよう、言い換えれば、与えられた人生を、それがどのようなものであっても受け入れ、よろこべる心境に入るための、いくつかのヒントが織り込まれたお話だったように思います。

 講演終了後、休憩が取られたのち、15時より、記念句会が開催されました。選者は、高橋信之先生、高橋正子先生、徳毛あさ子先生の先生方です。投句、選句は、集計までは、句会のお世話を引き受けてくださった小西 宏さん、多田有花さんによって、15時までに終えられていましたので、このあと、互選高得点句の発表と互選コメントの披露、そして選者の先生方それぞれが選ばれた最優秀句の発表と句評がありました。
 入賞句への賞品授与のあと、徳毛あさ子先生より、記念句会をまとめて講評をしていただきました。あさ子先生は、俳句を「自然の慈光を感じつつ、それを、研ぎ澄まされた言葉で表現すること」と仰っており、「俳句には、誕生の新鮮さ(活きのよさ)が備わっていなければいけない」ということや、「俳句に力を与えるものは生命力(持続力)である」と述べられました。先生が目指されている俳句について、いくつかの大切なポイントが挙げられています。それらは、「いきいきとした言葉、研ぎ澄まされた言葉であること」、「よき生活から生まれた詩であること」、「作者らしさ、さらには作者の今の思いや感動が伝わるものであること」「励ましと癒しがあること」などです。先生は、俳句に対する姿勢として、「よき生活(内面の充実)を土台にした充実した制作活動」に身を置くことを心がけていきたいと、今後の、ご自身の抱負も述べておられ、私たちも、そのような毎日を過ごしていけたら、と思いを新たにさせていただきました。

 句会終了後、高橋信之先生から記念大会に寄せてのご挨拶がありました。水煙の創刊当時のお話から、先生が水煙で築かれた25年という月日への思いや感慨を語っていただきました。お話の中で、先生は、25年という月日を振り返り、長かったという思いは持っていないと仰います。それよりも、常に水煙の「今」に心を向けておられると述べられた前向きなお言葉が、印象深く心に残りました。
 最後に、実行委員長の小西 宏さんから記念大会の部の閉会が告げられ、懇親会場へと場所が移されました。

 懇親会は、この日の宿泊施設でもありました、ホテル「ポートヒル横浜」3階の宴会場「ルシェル」にて行われました。司会は、わたくし臼井愛代が担当させていただきました。
 高橋正子先生より、開会のご挨拶をいただいたのち、渋谷洋介さんのご発声で乾杯となり、会食が始まりました。
 「ルシェル」は三方を大きな窓が囲むお部屋で、横浜港、ベイブリッジ、みなとみらいなどが一望できる素敵な宴会場です。美しい夜の横浜の景色が、いっとき、激しい雷雨に隠れましたが、そのようなサプライズも、皆さん、その夜の特別な印象として楽しまれていたようでした。

 この日の懇親会は、300号のお祝いということもあり、「楽しい会に」という先生方の意向があり、出席の皆様からのさまざまな余興を交えながら進行しました。お歌あり、お話あり、詩の暗誦あり、皆様の積極的なご参加、ご協力のおかげで、思い出深いひとときを過ごさせていただきました。
 最後に、大会実行委員長の小西 宏さんからご挨拶をいただき、水煙300号記念大会と懇親会の一日を和やかに終了しました。

■大会二日目(水煙300号記念吟行句会)

 大会二日目のこの日は吟行句会の日です。早朝から、宿泊のホテルの窓に、あかあかとした朝日が差し込み、初日に引き続いてよいお天気に恵まれました。
 9時少し過ぎにホテルを出て、吟行の最初の目的地、目白の椿山荘を目指しました。電車を乗り継いでの移動でしたが、通勤ラッシュの時間帯を過ぎていたこともあり、混雑に巻き込まれることもなく、スムーズに移動ができました。椿山荘は関口芭蕉庵に隣接しています。宿泊なしで、この朝自宅から来られた藤田荘二さん、小川和子さん、村井紀久子さんが合流されたところで、松山までお帰りになる藤田洋子さんに皆さんでご挨拶し、昼食兼句会が始まる時刻まで、思い思いに吟行をしました。

 正午に昼食と句会場となっているそば処「無茶庵」に集合し、一人5句ずつ投句を済ませました。
 美味しいお蕎麦をいただいたあと、互選をしました。この日は特別選者として、信之先生が、出席者のなかで一番年上の方(黒谷光子さん)と、一番年下の方(安藤智久さん)を指名され、特別選者の方々の選とコメントがありました。高点句の発表があり、最後に、高橋正子先生の選と講評をいただき、句会を終了しました。

 椿山荘をあとにし、隣接する、関口芭蕉庵を訪ねました。あいにく、休庵日に当たり、入ることはできませんでしたので、外から庭の一部を眺めただけでしたが、胸突坂と呼ばれる坂や、水神社を仰ぎ見て、その場所の雰囲気を感じてきました。
 芭蕉庵から、これもあいにく閉園中で、入れずに一部のみを見ることになった早稲田大学の大隈庭園を経て、夏目漱石終焉の地にある「漱石公園」に向かいました。ここは、漱石が、晩年の9年間を過ごした「漱石山房」と呼ばれた家があった場所で、「三四郎」「それから」「こころ」などが執筆された場所です。漱石に関するビデオが見られるようになっていたり、漱石の家で飼っていた犬や猫や小鳥の供養のために建てられた猫塚が復元されていたりします。漱石公園から、漱石ゆかりの坂(夏目坂)をおりて、吟行を終え、飯田橋の駅で解散となりました。

 二日間にわたる水煙300号記念大会は、こうして盛会のうちに終了しましたことをご報告いたします。

●記念大会お祝/計19名23万円
大給圭江子・篠木睦・竹内小代美・志賀泰次・藤田裕子・藤田洋子・池田加代子・柳原美知子・久保越子・河野啓一・黒谷光子・多田有花・臼井愛代・渋谷洋介・高橋秀之・大山正子・奥田稔・徳毛あさ子・小川和子

●お花 川名ますみ ●祝電 岩本康子

●お菓子・飲物
祝恵子・井上治代・藤田洋子・徳毛あさ子・古田敬二・小西宏

◆◇◆懇親会風景①◆懇親会風景②◆女性コーラス◆◇◆

女性コーラス左より愛代・正子・有花・洋子(高橋秀之撮影)


◆300号記念大会写真集

2008-09-08 15:43:37 | Weblog
①記念大会/藤田荘二撮影
http://www.suien.org/0006/off/08/300a.htm

①懇親会/高橋秀之撮影
http://www.suien.org/0006/off/08/300b.htm

■水煙300号記念大会プログラム

2008-08-29 12:26:43 | Weblog
●記念大会
○日時 平成20年9月7日(日)午後1時~午後5時
○場所 神奈川近代文学館(横浜市港のみえる丘)TEL : 045-622-6666
http://www.kanabun.or.jp/index.html
○実行委員長 小西 宏

○12時:    受付開始(高橋句美子・徳毛 淑)
○午後1時:  開会 司会 小西 宏
         開会の挨拶 藤田荘二(同人会長) 
○午後1時10分:水煙各賞の授賞 高橋信之先生(水煙発行所代表)
         推薦の経過 高橋正子先生(俳誌水煙主宰)
○午後1時40分:記念講演 臼井廣導先生(大垣市蓮華寺住職)
○午後2時50分:記念句会
         △投句:当季雑詠3句・締切午後1時
         △選者:高橋信之・高橋正子・徳毛あさ子
         △入賞発表(午後4時30分、賞品授与は懇親会場にて)
         △入賞作品講評 徳毛あさ子先生
○午後5時:   閉会 

●懇親会
○日時:9月7日午後6時~午後8時 
○場所:ホテル「ポートヒル横浜」(港のみえる丘)3Fルシェル
TEL : 045-621-9684(代)
http://www.porthill-yokohama.jp/
○司会・世話人:臼井愛代

●宿泊(9月7日一泊)
○ホテル「ポートヒル横浜」(港のみえる丘)

●吟行
○出発: 9月8日午前7時30分、ポートヒル横浜フロント
○吟行地:東京早稲田界隈(漱石生誕終焉地・関口芭蕉庵・庭園「椿山荘」)
①庭園椿山荘
http://www.chinzanso.com/
②関口芭蕉庵
http://kkubota.cool.ne.jp/sekiguchibashouan.htm
③漱石生誕終焉の地
http://www.library.shinjuku.tokyo.jp/souseki/souseki-top.htm
○昼食: 椿山荘のそば処「無茶庵」
http://www.fourseasons-tokyo.com/restaurant/restaurant/muchaan.html

●解散
○9月8日午後3時30分、東京メトロ有楽町線「江戸川橋駅」

●会費
※1)大会・懇親会に参加した場合は、1万円の参加費です。
※2)大会・懇親会・宿泊・吟行すべてに参加した場合は、2万円の参加費です。
※3)9月7日の受付で納めてください。

●参加者一覧
○第1日目(大会・懇親会)/19名:
高橋信之・高橋正子・黒谷光子・小西宏・安藤智久・多田有花・臼井愛代・
藤田洋子・藤田荘二・渋谷洋介・高橋秀之・大山正子・奥田稔・徳毛あさ子・
高橋句美子・徳毛淑・飯島治朗・臼井廣導・村井紀久子

○宿泊/8名:
高橋信之・高橋正子・黒谷光子・小西宏・安藤智久・多田有花・臼井愛代・
藤田洋子
○第2日目(早稲田界隈吟行)/11名:
高橋信之・高橋正子・黒谷光子・小西宏・安藤智久・多田有花・
臼井愛代・藤田荘二・村井紀久子・藤田洋子・小川和子

▼お問い合わせ
電話:050-3641-8827
携帯:080-1278-5320

ご案内

2008-05-22 17:06:01 | Weblog
■水煙300号記念俳句大会

●日時:9月7日(日)午後1時~午後5時
●会場:神奈川近代文学館(横浜市・港のみえる丘)
○受付開始:9月7日(日)正午
○懇親会:9月7日(日)午後6時~午後8時 ポートヒル横浜3F「ルシェル」
○宿泊:ホテル「ポートヒル横浜」(港のみえる丘、Tel:045-621-9684)
▼吟行:9月8日(月)、早稲田界隈(庭園椿山荘・関口芭蕉庵・漱石生誕終焉の地)

水煙300号記念事業

2008-05-22 17:04:43 | Weblog
◆水煙300号記念俳句大会◆
9月7日(日)午後1時~午後5時
神奈川近代文学館(横浜市)

◆第二期水煙俳句叢書刊行◆
申し込みを受付中です。
気楽にご相談ください。
金額は二十万円(三百部)以上です。

◆水煙300号記念号◆
9月1日発行

◆水煙各賞発表◆
(300号記念号誌上)
水煙賞・橘俳句賞・水煙新人賞・特別賞

◆インターネット俳句コンテスト◆
俳句募集 6月10日~6月末日

●俳誌水煙は、300号を発刊することとなり、上記のような記念事業を企画いたしましたので、お誘いあわせて、ご参加くださいますよう、ご案内いたします。高橋正子(水煙主宰)                   


▼お問い合わせ
Tel. 050―3641―8827

水煙俳句フェスにご参加、ご協力ありがとうございました。

2007-11-28 00:57:09 | Weblog

今年度の水煙俳句フェスティバルは、好天に恵まれ、フェスティバルの行事を盛会の内に終了することができました。役目を担当された方々をはじめ、会員各位のご支援、ご協力をいただきましたことを、篤くお礼申し上げます。祝電、お祝、茶菓、飲み物などを直接に、またはるばるとお送りいただき、フェスティバルを盛り上げていただきましたことに、感謝申し上げます。下記にいただいた方のお名前を挙げさせていただきます。(水煙代表/高橋信之)

(順不同)
祝電:碇英一・志賀たいじ・まえかわをとじ
お祝:大給圭泉・藤田裕子・藤田洋子・吉田晃・臼井愛代・澁谷洋介・黒谷光子・大山凉・柳あき(計9万円、お祝の9万円は、水煙発行所に維持会費として寄付致します。)
茶菓・飲み物:藤田洋子・井上治代・池田多津子・祝恵子・志賀たいじ・古田けいじ・野仁志水音・岩本康子・小川美和

水煙俳句フェス報告①/授賞式・記念卓話・記念句会

2007-11-27 05:50:58 | Weblog


集合写真 神奈川近代文学館中会議室(古田けいじ撮影)

■水煙俳句フェスティバル2007in横浜大会報告
□第一日目/11月24日(土)

 前日まで日本列島を覆っていた寒気団による寒さが緩んだ11月24日朝、水煙俳句フェスティバル2007in横浜が幕を開けました。
 今年の大会第一日目は、横浜山手にある神奈川近代文学館にて開催されました。神奈川近代文学館は、神奈川県ゆかりの作家に関するものが展示されている施設で、横浜港を見渡せる高台にあり、近くには港の見える丘公園、外人墓地、大佛次郎記念館などがあります。
 9時半の開館と同時に、高橋信之先生の指揮のもと、手分けして会場設置がされました。受付は高橋句美子さんと、藤田洋子さんが担当されました。各地からご参加の方々、そして参加が叶わなかった遠くの水煙会員の方々からも、お心づくしのお菓子や果物が届いており、お菓子とお茶の準備は、高橋正子先生を中心に、池田加代子さんはじめ、女性会員の方々が積極的にお世話してくださいました。
 11時になり、藤田荘二さんの司会のもと水煙俳句フェスティバル2007in横浜が始まりました。最初に、同人会長の古田敬二さんから開会のご挨拶がありました。敬二さんは、ご自分の体験からも、ホームページの維持、更新の大変さをよくご存知で、インターネットが導入され、掲示板などで先生方と会員、また、会員同士の交流が盛んに行われるようになった現在の水煙の様子を、敬二さんが水煙に入会された当時と比べて驚くほどの進歩であると感じておられるということ、それに伴い、先生方にいただいているたいへんなご尽力への感謝の言葉が述べられました。そして、先生方のお気持ちに応えて私たち会員ができること、やるべきことは、よい俳句を作る精進をすることではないか、という呼びかけもなさり、身の引き締まる思いでした。
 次に、水煙各賞の授賞式です。今年は、水煙賞を岩本康子さん、池田多津子さん、橘俳句賞を高橋秀之さん、おおにしひろしさん、水煙新人賞を野仁志水音さんが受賞され、賞状と賞品が授与されました。(おおにしひろしさんは欠席)また、長年、先生方、そして水煙を支え、ともに歩んでこられた原順子さん、藤田洋子さん、井上治代さん、闘病中にあっても果敢に俳句に取り組んでおられるかわなますみさんに、特別賞が贈られました。句友の方々の晴れの授賞式は、見守らせていただく私たちもたいへんうれしい思いがいたします。受賞された皆様、おめでとうございます。
 授賞式終了後に、各地の会員の方々から届いた祝電の披露があり、その後、黒谷光子さんによる、記念卓話に移りました。
 光子さんは、浄土宗のお寺の方で、お生まれになった在所のことから生い立ち、これまでのご自分の歴史に重ねて、俳句との出会いやかかわり、俳句に対する思いなどを、ご自分の日々の生活が根ざす風土や、お寺の年中行事などを詠まれた俳句を紹介しながらお話くださいました。俳句を作る上で大切なのは、物事をよく見ること、そして、これからも俳句とともにあるよい生活をするように心がけたいと光子さんは仰います。光子さんのお人柄が伝わってくるような、しっかりとして、しみじみとした、素晴らしいお話を聞かせていただいた思いがいたします。
 高橋信之先生からは、、光子さんのお話は、今年の水煙フェスティバルのテーマともなっている「文学と生活風土」ということにぴたりと当てはまるような素晴らしい卓話であり、翌日の鎌倉吟行で掲げている目標にも繋がるものだとのコメントがありました。
 ここで正午となりましたので、休憩をはさんで、昼食と記念句会の部に移りました。昼食と記念句会の司会は、藤田荘二さんに代わり、わたくし、臼井愛代が担当させていただきました。昼食に先立ち、各地からご参加の皆さんへ、東京句会を代表して、渋谷洋介さんから歓迎のご挨拶がありました。この日は、時間の関係もあり、受付を済まされた方から、雑詠二句を投句いただき、清記(多田有花さん、池田多津子さんにお手伝いいただきました)は、昼食開始までに済まされていました。昼食、自己紹介の間に、同時進行で、選句をしていただきました。
13時に選句が締め切られ、各自が一句ずつ、好きな句を挙げてコメントをし、その後、主宰の正子先生より入賞発表と講評をいただきました。最後に、最高得点句の発表(集計は池田多津子さん)をし、記念句会を終了しました。
 句会終了後は、再び、司会を藤田荘二さんにお願いし、荘二さんの閉会の挨拶で、神奈川近代文学館での催しが全て終了しました。
 これより、神奈川近代文学館から宿泊先であるホテルメルパルク横浜に徒歩で移動し、午後4時から懇親会が開かれました。懇親会の司会は、池田加代子さんが担当されました。渋谷洋介さんのご発声で乾杯がされ、フランス料理のフルコースと歓談で、楽しい懇親会となりました。
 懇親会終了後は、高橋先生ご夫妻の和室のお部屋に集合し、二次句会が開かれました。二次句会は雑詠五句を出句し、高橋秀之さんの司会で進められました。宿泊の方のみならず、その夜帰宅される方も、時間の許す限り参加してお帰りになりました。宿泊をしての句会は、通常のオフ句会と比べて、より親しく、和やかな雰囲気があります。先生方のお部屋に集まって、先生を中心に、語らいながら句評をしながら過ごすひとときの、よき雰囲気があります。普段は、インターネット上の句会を中心に参加させていただいていますが、この日は、記念句会、そして、二次句会と、お互いに、親しく言葉を交わし、顔を見ながらの句会という、貴重な機会をいただきました。
 フェスティバル一日目は、こうして、先生や句友の皆様と親しく集い、共に学ばせていただいたよろこびのうちに終了しました。(臼井愛代記)

記念卓話「俳句と私」黒谷光子
※上記をクリックし、ご覧ください。

●記念句会
【最優秀】
目覚めれば冬晴れの富士そこにあり/高橋秀之(新幹線)
【優秀8句】
月冴ゆるこの横浜の地を踏みて/柳 あき
きんかんのたっぷり盛られ皿白し/高橋句美子
青深め動き始める冬港/池田多津子
ねこじゃらし白き光へ枯れ果てる/古田けいじ
発つ朝の初冬真青き松の枝/藤田洋子
少しずつ句友を知りぬ冬の薔薇/黒沼風鈴子
冬渚近寄りゆけば音温し/池田加代子
拾わずに冬の紅葉を胸中に/臼井愛代

●第2次句会
【最優秀】
客船のマスト黄葉(もみじ)の窓越しに/原 順子(ホテル「メルパルク横浜」)
【優秀7句】
冬晴れや港は紺を深くして/黒沼風鈴子
冬空へ足音はずむ港町/大西美緒(旧水音)
母子像の先に初冬のベイブリッジ/尾 弦
霜の田の輝く近江の空深し/多田有花
谷戸坂を冬日のなかへ登りきる/臼井愛代
海見えて落葉の芝に旅鞄/藤田洋子
桜紅葉散ってその上空広し/古田けいじ

■フェス写真集
□古田けいじ撮影
http://www.myalbum.jp/Pc/Albm_Dspy.aspx?albumID=5cfd128dac4d
http://www.myalbum.jp/Pc/Albm_Dspy.aspx?albumID=1cd265e3a0da
□尾 弦撮影(パスワード:suien「スライドショー」がおすすめです)
http://album.nikon-image.com/nk/NK_AlbumPage.asp?key=1145718&un=6657


左より かわなますみ特別賞受賞/受付左句美子・右美緒(旧水音)/懇親会スナップ・高橋正子主宰/二次句会(クリックし拡大してください)

▼下記に2日目の鎌倉吟行記が続きます。