なめ猫

kyouiku&entame

報道2001性教育討論

2005年05月02日 | Weblog
昨日、放送されたフジ系の報道2001の後半は4月3日の放送に続いて性教育問題だった。

今回は推進派と慎重派が討論するという企画で、推進派から人間と性教育研究協議会メンバーの3人と山谷えり子参議院議員、八木秀次高崎経済大学助教授という組み合わせで議論が行われた。あの番組を見ていたいろんな方からも聞いたが、意図的ではないにしてもフジテレビはどうして公平に3対3にするかしなかったのだろうか?

【推進派】浅井春夫立教大学教授・性教協代表幹事 村瀬幸浩一橋大学講師・同職 入江彰信熊本県菊水町立菊水中央小学校教諭
【慎重派】山谷えり子自民党参議院議員 八木秀次高崎経済大学助教授

山谷先生は具体的に事例と数字をあげて論議されていたが、性教協のメンバーは曖昧な返答しか出さず、冒頭からセックス人形と国会で追及したことを非難し、挙句の果てには八木先生に男らしさの定義をいえと迫りそれで議論が終わってしまったことは不愉快極まりなかった。

ただ残念だったのは八木先生男らしさの定義はと問われたとき、言葉に詰まったことだ。
国を守る、弱いもの、愛する女を守るということだくらいいってほしかった。ディベートに弱いのは仕方ないとしてもこの点が歯痒く思われた。

いま親が知らないところで先生が発達段階を無視した性教育を教えてたりとか問題になっている。
中には、山谷先生が紹介されたように性教育を受けて異性に嫌悪感を抱く子がいるとか、実際の出産シーンのビデオを見て子どもを産みたくないと言う女の子がいたりする。

学校でそういう感想をもつような教え方しておきながら、それを「親に言っちゃ駄目だよ」なんて言うのはおかしい。

性教育の問題は幅広い立場があり、一定のコンセンサスを得ることが不可欠だ。

たしかに現状として性体験が早まっている。いまの子どもたちを取り巻く雰囲気として男の子は童貞でいることは恥ずかしいということがあり、女の子は処女でいることは遅れてることで女としての魅力がないからだという認識が強い。その気持ちはわかるし、性的欲求が活発な時期だから関心をもつのは自然だろう。

私個人の感覚として人間が生きるうえでエロスは重要だと思うし、アブノーマルな行為も否定しない。

けれども、たとえば横浜市立今宿小学校のように女性上位、騎乗位の詳細な図解を教えたり、ラブ・アンド・ボディBOOKでピルを使うことを奨励してるととれるようなことを教えることは、かえって健康な性への関心を奪っているように感じる。

「違反は禁止を除去するのではなく禁止を高めるのだ。そこにエロティシズムの原動力がひそんでおり、同時にまた、そこに宗教の原動力が伏在しているのである」

ジョルジュ・バタイユがいっているように禁じられたタブーに対する侵犯が性行為であり秘められたことをやっているというところに快感もわくわけで、最初から何でもオープンでは羞恥心は起こらないし、異性への関心は失われるだろう。

そういう偏った教育がもたらす弊害が少子化につながってる面もあるのではないか。

問題になっている性教育実践に共通するのは生命の神秘さ、尊さを教えるという視点が欠落していることだ。テクニックを教えるだけでは、自分自身の尊厳はわからないし、人を愛することはできない。

精子と卵子がくっついて子どもが生まれるという科学的論理よりも両親から生まれ、先祖とつながっている自分のいのちの価値を伝えていくことが本当の性教育だろう。

慎重派を支持するFAXが多かったのは子を思う親の気持ちの表れだろうと思った。目の中に入れても痛くないようなわが子に行き過ぎた性教育をされても人質にとられているから何もできない保護者の声なき声ではないだろうか。

番組中で司会の女性が紹介した首都圏の成人男女500人を対象に行った電話調査の結果は以下のとおり。

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【問】あなたは、小学生や中学生に性教育をするのは誰の役目だと思いますか。

教師 19.6% 親 65.4% 友人・先輩 5.0% 性教育は必要ない 7.2% (その他・わからない) 2.8%

【問】あなたは子どもに、男らしさ・女らしさを教えるべきだと思いますか。

YES 75.2% NO 21.8% (その他・わからない) 3.0%

首都圏の成人男女500人を対象に電話調査=4月28日調査・5月1日放送/フジテレビ

***

山谷先生が紹介されたが自民党は今月26日に性教育やジェンダーフリーに関するシンポジウムを開く。それにあたり安倍晋三幹事長代理を座長として発足した「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」が全国の事例などを纏めた報告書を出すという。

断っておくが、私は性教協の実践を読みもしないで批判していない。セクシュアリティという彼らの季刊雑誌や市販されている著書やその他論文を精読した上で感じたのはよく勉強してるなァであった。いいかげんな教師も少なからずいるなかで彼らの研究成果は評価できるところもある。問題なのは彼らの理論と実践のバックボーンとなる思想と目指している方向性なのだ。

今回の限られた短い放送時間の中でお互い言い尽くせなかったことは多かったと思う。ずっと以前に高橋史朗先生があるテレビ局から性教育についての公開討論への出席を求められ承諾されたが、結局、性教協の創立者にあたる故、山本直英氏が拒否し実現しなかったということがあった。

しかし、これ以上イデオロギー論争を続けていても不毛なだけだ。

折角、直接顔をあわせたのだから公開の場で中立的な立場から議論する場を設けてはどうだろうか。

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