労働基準法-情報局

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実は残業時間にも上限があります。

2004年10月24日 | 職場トラブル
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☆残業時間の限度☆

   事業主が時間外労働をさせるためには36協定(労使協定)を締結し、
  労働基準監督署に提出しなければならないとは既に触れてきましたが、こ
  の36協定には時間外に労働させることができる時間に限度があります。

   具体的には次のとおりです。
         (一般の労働者) (1年単位の変形労働時間制)
    1週間    15時間        14時間
    2週間    27時間        25時間
    4週間    43時間        40時間
    1か月    45時間        42時間
    2か月    81時間        75時間
    3か月   120時間       110時間
    1年間   360時間       320時間
   ※育児、介護を行う一定の労働者については、上記より短い基準(1年
    間150時間まで)が定められています。 
     
   もし36協定で定める限度を超えて、時間外労働または休日労働をさせ
  た場合は、たとえ割増賃金を全額支払ったとしても労働基準法第32条、
  第35条違反になります。
  

 ☆解雇予告手当と休業手当の関係

   解雇制限に該当する場合を除き、労働者を解雇する場合には、労働者に
  少なくとも30日前に解雇の予告するか、予告しない場合は30日分以上
  の平均賃金を、支払わなくてはならないことを前回までに触れてきました。

   それでは解雇の予告と同時に、平均賃金の100分の60以上の休業手
  当を支払えば、休業を命ずることは法律上可能でしょうか?
   答えは可能です。しかし、解雇予告手当が平均賃金の30日分以上支払
  われるのに対し、当該休業に対して支給される休業手当は休日分が支払わ
  れず、かつ平均賃金の100分の60以上ですから労働者とすれば不利に
  なります。

   もっとも民法第536条第2項で、使用者に責任のある事由によって労
  働することができない場合には、労働者はその反対給付である賃金を受け
  る権利を失わないと定めていますので、これを根拠に使用者と交渉の余地
  が残されています。




 ☆ケーススタディ

   Q1.命令された時間を超えて時間外労働した場合にも割増賃金を支払
     わないければならないか。

   A1.使用者の命令や指示がないまま、または命令や指示を超えて勝手
     に業務を行った場合には、原則として時間外労働あるいは休日労働
     には該当しません。

      しかし、その労働が仕事を仕上げることを目的としていて、示さ
     れた時間が単なる目安に過ぎないのであれば、その超えた時間に対
     して割増賃金を支払わなければなりません。
      こういったケースについては、実際の明示だけでなく黙示の指示
     も含まれます。

      つまり、使用者の指示した仕事が、客観的にみて正規の勤務時間
     内に終わらないと認められる場合には、その労働が黙示の指示によ
     るものとされ、割増賃金が支払わなければなりません。

      反対にその仕事を仕上げることを目的とせず、時間だけ労働を指
     示された場合には、たとえ指示された時間を超えたとしてその超え
     た時間に対しては、割増賃金を必要としません。いわゆる「残業稼
     ぎ」には割増賃金を支払う必要がないということです。
      
      では、現実の世界はどうでしょうか?
      時間外労働の指示や命令がなければ、定時で仕事を終了すべきで
     すが、職場の雰囲気で帰ることができなかったり、自己の裁量で仕
     事を継続して時間外労働となることが多く見受けられます。

      この場合では、明確な時間外労働の指示がなかったこと、または
     労働者個人の非効率的な作業のため、時間外労働になったなどを理
     由として、使用者は割増賃金の支払いを拒むケースもあります。
      しかしながら指示がないのにもかかわらず、時間外労働をしてい
     る労働者に対して使用者がこれを黙認していれば、時間外労働の黙
     示の指示があったと考えられていて、割増賃金の支払いが必要とな
     ります。


   Q2.労働者の行為が懲戒解雇事由に該当する場合でも解雇予告手当の
     支払義務はあるか。

   A2.労働者の行為が就業規則に定める懲戒解雇事由に該当しても、解
     雇予告制度は適用されますので、30日前の解雇予告または30日
     分以上の解雇予告手当の支払いが必要となります。

      ただし、労働基準法では解雇予告制度の適用除外が定められてい
     ます。これは、天災事変その他やむを得ない事由のため事業の継続
     が不可能となった場合、労働者の責めに帰すべき事由がある場合及
     び一定の条件の労働者(日雇労働者、臨時採用者、季節労働者、試
     みの使用期間中の者)が該当します。

      就業規則の解雇懲戒事由に該当するということは、労働者の責め
     に帰すべき事由に該当します。しかし、該当しただけでは解雇予告
     制度は除外されず、労働基準監督署長の認定を受けて初めて、解雇
     予告制度が除外されます。


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