医科栄養学・栄養医学ブログ

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メラノーマでの5hmC発現、エクソソーム内包マイクロRNA発現とビタミンCの作用について 日本ビタミンC研究会

2017-07-05 13:27:48 | 健康・病気

メラノーマでの5hmC値の減少が確認され、ガンでのエピゲネティクな特徴として、注目されております。5hmCの減少はTET遺伝子群の発現の低下が原因で、TET群は、5hmCの発現を触媒する酵素をコード化します。フロリダ大学のChristopher B Gustafson博士らは、TET2の過剰発現は、メラノーマ(黒色腫)で5hmCの正常なプロフィールへ一部、回復させ、ロデントの侵襲を減少させることが、証明されています。現在、メラノーマ患者においてTETを過剰発現さす可能性はあるかどうか、明らかでありません。そこで、博士らは、TET群が5hmCを発現さすための補因子として、ビタミンCが必要なことを証明しました。

博士らの研究では、TET群の発現は、いろんなメラノーマ群で減少していることがわかりました。これと対比して、ナトリウム依存性ビタミンCトランスポ-ター(SVCTs)の発現は、メラノーマの転移由来の細胞群では、下方制御でした。生理学的レベル(0.1mM)のビタミンC点滴治療では、健康なメラニン細胞群にするために、違ったスタージのメラノーマ細胞群で5hmC値を高めました。ビタミンC点滴では、遊走とanchorage-independent growthに関わらない成長を阻害することにより、転移性A2058細胞の毒性を減少させました。一方、増殖率には影響を及ぼしませんでした。さらに、ビタミンC点滴は、RNA-seqにより示された、ゲノムの広い転写の変化をもたらしました。それは、主として、ArchGAP30と遺伝子において細胞外マトリックスの改善をもたらしました。そして、細胞外マトリックスの改善は、悪性の表現型の減少をはっきりと示すことができました。これらの研究結果から、ビタミンC点滴が、メラノーマ細胞の5hmC量を増やし、柔らかい寒天培地では、ガン細胞の侵襲とクローン原性の成長を低下させました。

結論として、TET群の発現は、メラノーマ細胞群で減少しました。SVCTsの発現の減少は、転移性メラノーマ細胞のビタミンC吸収能の低下をもたらしました。これらのことから、TETの低値に伴う局部的ビタミンCの欠乏は、転移性メラノーマ細胞の5hmC値の全体的減少をもたらします。また、生理学的レベル(0.1mM)のビタミンC濃度では、健康なメラニン細胞になるために5hmC値を高めます。ビタミンCは、時間依存的にA2058細胞の5hmC値を高めました。これらの結果から、ビタミンC点滴は、メラノーマに対しても5hmC値を高めることから、メラノーマの侵襲を弱め、患者の回復に寄与すると、考えられます。さらに、メラノーマのみならず、ガン幹細胞のDNAメチル化とヒストン修飾、それにエクソソーム内包マイクロRNA発現などに相互に複合的に関係し、それらを調整することにより、ガン幹細胞の生存をビタミンCが不安定化さす可能性が、最近の研究から明らかになりつつあります。

References
Christopher B Gustafson, et al: Epigenetic reprogramming of melanoma cells by vitaminC treatment. clin Epigenetics.2015;7(1):51
Juan I.Young,et al:Regulation of the epigenome by vitaminC. Annu Rev Nutr.2015 July 17;35:545-564

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