栄養医学日記

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がん幹細胞でのヒストン修飾とビタミンCの制御 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦 

2017-08-11 16:53:52 | 健康・病気
ガン幹細胞の酵素反応の異常では、エピジェネティクなメカニズムによる制御がうまくいかず、その制御の異常を調整する作用がビタミンCにあることが、研究により明らかになりつつあります。このエピジェネティクな制御は、主にDNAメチル化とヒストン修飾よりなります。そして、DNAメチル化、ヒストン修飾、ニュークレオソームの再モデル化、それにRNAが媒体となった標的化は、ガンの起源に根源的な、多くの生物学的プロセスの制御に関係しています。また、CpGアイランドの変化(CpGアイランドのメチル化など)によるガン抑制遺伝子の抑制と発がん遺伝子の活性化、DNAメチル化パターン、ヒストン修飾パターン、それにDNAと結びついたタンパク質の制御異常のように、いろんなエピジェネテックなメカニズムがかき乱されて、発がんに至ります。このようなことから、ヒストンは、アセチル化、リン酸化、メチル化、ユビキチン化、といった化学修飾を受け、このような修飾は、がん関連遺伝子の発現と関連し、DNAメチル化の制御と共に、ヒストン修飾の制御が、がん対策として喫緊の課題になっています。

ヒストンメチル化とビタミンC

新しい研究によると、ヒストンメチル化の異常は、遺伝子変異、その過剰発現、あるいはエピジェネティクな調整酵素の調整不良によりもたらされます。また、ヒストン脱メチル化酵素(Jhdm1a/1b)は、ヒストンメチル化を調整し、ビタミンC依存性様式で体細胞の再プログラム化を高めます。そのことは、ガン幹細胞でも、同様の事が起こると、考えられています。さらに、ヒストン脱メチル化酵素(Jhdm1b)は、多能性機構の不可欠な成分であるミクロRNA群を活性化するため、oct4(転写因子)と協同します。なお、ビタミンCはヒストン脱メチル化酵素の補因子で、この酵素の活性化に必要です。そして、ヒストンメチル化の阻害は、ヒストン脱メチル化酵素で行われます。また、DNAメチル化とヒストンメチル化(H3K9me2)は、多能性細胞において生殖細胞系遺伝子を抑制するために協同します。ビタミンCは、Kdm3a/bによるマウス胚幹細胞のH3k9me2(ヒストンH3の9番リジンのジメチル化)の特異的脱メチル化をもたらします。Kdm3a/b(lysine-specific demethylase)は、生殖細胞の遺伝子の上方制御のためビタミンCが必要で、ビタミンCは、ヒストン脱メチル化酵素活性を調整することにより、IL17(インターロイキン17、糖たんぱく質)の発現にも影響を及ぼします。これらのことが、ガン幹細胞によるガンの転移に関係しており、ビタミンCによりDNAメチル化とヒストンメチル化が調整され、異常なエピジェネティクなメカニズムの制御に結び付く、一つの要因になると、考えられます。

ヒストンアセチル化とビタミンC

新しい研究によると、多くのガンの幹細胞ではDNAメチル化やヒストンのアセチル化が、正常な細胞に比べて異なっており、ヒストンアセチル化が低下しており、エピジェネチックな異常がガンに関係していることが分かってきております。また、他の研究では、L-カルニチン(栄養素)がヒストンのアセチル化を高めてがん細胞の増殖を抑制するという、報告もあります。また、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤と同様に、ビタミンCをマウスの培地に添加することで、マウスのクローン効率が最大5%まで上昇し、クローン胚の発生を促進するという、報告もあります。そこで、これらを参考に、ヒストンーアセチル化トランスフェラ-ゼとヒストンアセチル化では、ヒストンマーキングの脱制御が、多能性を解除し、腫瘍形成をどのように導くか、いろいろ考えられています。また、いろんな幹細胞のユニークな性質は、遺伝子の転写を制御する遺伝子プロモーター近くのヒストンアセチル化とヒストンメチル化により決定される可能性が有ります。そして、ヒストン脱アセチル酵素の阻害は、ガン幹細胞群を崩壊させ、ガン幹細胞数を減少させ、クローン原性領域の形成を阻害する可能性があります。ここでビタミンCは、正常なD1K1-Dio3のインプリンテイングⅡでのヒストンH3アセチル化とヒストンLys4メチル化の低下を防ぎ、ガン幹細胞を弱化させる可能性が有ります。このように、ビタミンCには、DNAメチル化、ヒストンメチル化、ヒストンアセチル化、それにミクロRNA発現など、エピジェネチックな機構の異常を総合的に調整することにより、ガン幹細胞の弱化をもたらし、ガンの症状を改善し、転移を防ぐ可能性が考えられます。

References
Juan I. Young, et al: Regulation of the epigenome by vitaminC. Annu Rev Nutr. 2015. Jul 18
J. Cuo, et al: Histone demethylases set the stage for cancer metastasis. Sci Signal.6, pe15(2013)
Kevin T. Ehata, et al: VitaminC induces specific demethylation of H3K9me2 in mouse embryonic stem cells via Kdm3a/b. Epigenetics Chromatin. 2017 Jul 12










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