村上春樹を英語で読む

なぜ、こう訳されているのかを考える。

「小説の語り手が書けること」の日英比較(206)

2016-10-16 11:20:32 | 村上春樹を英語で読む
『1Q84』に次のような箇所がある。下はその最後の文の英訳である。

千倉で弁護士から手渡された事務封筒のことを思い出した。そこには父親の遺していった貯金通帳と実印、戸籍謄本、そして謎の家族写真(らしきもの)が入っている。たぶんそれは携えていった方がいいだろう。小学校の通知表や、NHKの表彰状は置いていく。着替えや洗面道具はもっていかないことにした。通勤用のショルダーバッグにそこまでは入りきらないし、そんなものは必要に応じて買えるはずだ。
They wouldn’t fit in the now-bulging bag, and besides, he could buy them as needed.

「通勤用のショルダーバッグ」がnow-bulging bag(いまや一杯に膨れている)と訳されている。英語頭の語り手には「膨れているバッグ」が目に浮かんでいるのだろう。
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