村上春樹を英語で読む

なぜ、こう訳されているのかを考える。

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「まっとうな文章を与える」は共同作業?

2016-09-18 10:24:27 | 村上春樹を英語で読む
『1Q84』に次のような箇所がある。下はその英訳である。

「話は簡単だ」と小松はコーヒースプーンを細かく振りながら続けた。「その二人を合体して、一人の新しい作家をでっちあげればいいんだ。ふかえりが持っている荒削りな物語に、天吾くんがまっとうな文章を与える。組み合わせとしては理想的だ。君にはそれだけの力がある。だからこそ俺だってこれまで、個人的に肩入れしてきたんじゃないか。そうだろ? あとのことは俺にまかせておけばいい。力を合わせれば新人賞なんて軽いもんだよ。芥川賞もじゅうぶん狙える。俺だってこの業界で無駄飯を食ってきたわけじゃない。そのへんのやり方は裏の裏まで心得ている」
“The answer is simple,” Komatsu said, still lightly waving his spoon. “We put the two writers together and invent a brand-new one. We add your perfect style to Fuka-Eri’s raw story. It’s an ideal combination. I know you’ve got it in you. Why do you think I’ve been backing you all this time? Just leave the rest to me. With the two of you together, the new writers’ prize will be easy, and then we can shoot for the Akutagawa. I haven’t been wasting my time in this business all these years. I know how to pull the right strings.”

「天吾くんがまっとうな文章を与える」がWe add your perfect style to Fuka-Eri’s raw storyとweを主語にして訳されている。この文の前にWe put the two writers togetherとあるので、こうなるのであろうが、日本語頭の筆者には意外な訳に思えた。
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