村上春樹を英語で読む

なぜ、こう訳されているのかを考える。

「小説の語り手が書けること」の日英比較(208)

2016-10-18 14:37:13 | 村上春樹を英語で読む
『1Q84』に次のような箇所がある。下はその英訳である。

それからまたボールペンの尻で前歯をこつこつと強く叩き、喉の奥で重いうなり声を立てた。背後の高校生はそれを耳にしたが、今度は聞こえないふりをしていた。
She started tapping her ballpoint pen against her teeth again, and released a deep groan. The high school student behind her heard it rattle in her throat, but this time pretended not to hear.

「喉の奥で重いうなり声を立てた」がreleased a deep groan(うなり声を発した)と訳され、続く「背後の高校生はそれを耳にした」がThe high school student behind her heard it rattle in her throat(背後の高校生はそれが喉の中でごろごろ鳴るのを聞いた)と訳されている。つまり、原文の「喉の奥で」が後半の文中で訳出されている。
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