道楽人日乗

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漫画「九段坂下クロニクル」

2017-07-14 17:00:12 | 漫画感想

一色登希彦・元町夏央・朱戸アオ・大瑛ユキオ著

東西線九段下近くに実際にあった「九段坂下ビル」の一角を作者の一人一色氏が仕事部屋にしていたことから、このビルにちなんだ連作として生まれた一冊らしい。
本の巻末に解説文が載っている。2009年発行の本なので「現在の九段坂下ビル」というくだりと写真が掲載されているが、この建物は東日本大震災をへて2012年に解体されている。

関東大震災の復興助成を受けて1927年に竣工されたという、古いビルディング。
表紙の絵(背景のビル)を描かれた画家の大西氏が最後まで入居していたという記述がwikiに書かれていた。
僕自身は20年くらい前に前を通り過ぎたことがあったような、かすかな記憶がある程度。

朱戸アオ先生の過去作をたどって手に取ったが、この本に収められている四編の漫画は、正直な感想としては他愛のないものだった。

前後編に分けられている一色登希彦先生の「スクリュードライブ」は、アシスタントを続けながらなんとか浮かび上がろうとする若者の青春。漫画を描き続けてゆく覚悟。現代。作画の現場が活写されているが、異様な感じ。大変な職場なのだと思う。主人公の書くネームは「人物の気持ちの動きが描かれていない」とダメだしされる。そういう風に言われるのか。なるほどそういえば…。

元町夏央先生の「ごはんの匂い、帰り道」は不器用な少女たちの友情。過去。ビルが建設される途上から完成後。ちょっとした憧れをもって見上げられる。
絵には雰囲気があるが、たわいもない話だ。

朱戸アオ先生の「此処へ」は過去。このビルで幼少期を過ごした女性が、三十も年上の軍人の元に嫁ぐ。妾腹の子という惨めさから逃れるために。幼い時を過ごしたその部屋に入居した新聞記者に心を寄せて逢瀬を重ねる。窓から見た何気ない風景に自分の幸せは此処にあったのだと気づく。大空襲、終戦をへて、彼女は何処へ行き着くのか。
場面はドラマチックだが、この女性の心情、空襲の場面などに僕は現実味が感じられなかった。
意志の強い女性と、彼女を振り回し、振り回される男性という作者のお話づくりの型はここにもしっかりあらわれていた。
(「FinalPase」の単行本は3年後の2012年、「ネメシスの杖」の単行本は2013年。「インハンド」の単行本は2016年。刮目して見よ、だなあ)

大瑛ユキオ先生の「ガール・ミーツ・ボーイズ」は現代。古びて無人となった部屋でオウムを飼う高校生男子二人組。その部屋に気の強い家出女子が住み着いた。
現実味がないと言えば一番現実味がない様に思う。彼女がいきなりハングル文字で叫び出すのは、8年前に読んだらどんな感じにうつっただろうか。


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