道楽人日乗

ツイッターのまとめ。本と映画の感想文。
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漫画「ど根性ガエルの娘」3巻

2017-07-14 18:27:37 | 漫画感想

大月悠祐子著

衝撃の15話、そして連載が打ち切りになり掲載誌を替えて現在の単行本が生まれる経緯。

有名漫画家のご子息と思い出の食事をとりながら、作品を振り返る、田中圭一先生の「ペンと箸」。その中でも特に感動的な「「ど根性ガエル」吉沢やすみと練馬の焼き肉屋」の回(ネットで見られます)と、娘さんである大月悠祐子先生の描かれた本作が(2巻迄読んで)あまりに内容が乖離しているのでとにかくビックリして、ネット上でその「15話」を探して読んでさらに仰天。人生の過酷さと儚さに呆然とした。2巻迄の感想

楽しかった思い出として描かれた「焼き肉」が、田中先生の聞き書き(弟さんが応えている)と、大月先生のそれとはまさに真逆の印象だ。(弟さんの外観の印象も、この二人の描写が全然ちがう)

3巻読了間際に「ああ、これも一つの視点なのだ」という認識がわき上がってきた。大月先生の目を通して見た一つの光景であるということなのではと感じた。この作品もしかしたらキモなのかも知れないが、私小説(漫画)の「私」が正しく魅力的な個性をもった人間では「ない」のだ。
「信頼できない語り手」とは言わない。自分の体験を再構成して描かれているのだと思う。ただし辛いことの多い現実への対峙のしかたは、登場人物各人それぞれあるように思う。先述の焼き肉の場面、楽しい食事を前に、一人だけ親から怒られていることの理不尽な感じ。自分が子供の頃の似たような経験を思い出すと、はっと気づくことがある。その時は想像もできなかった自分と違う目線である。
この漫画の作者目線は、冷徹な客観視が「あるのか」「ないのか」のバランスが微妙なのだ。どちらかというと、ない方に傾いているのでは?というのが3巻で得た印象である。表紙絵を見ると、これも作者の手の内なのかとも思う。

15話で描かれる現実も、それは過酷だが、何処の家でも起こりえる現実ではある。有名漫画家の転落人生という特殊な事情と思いきや「どこの家庭でも起こり得たかもしれない出来事」は存外この漫画の随所にあり、だからこそ多くの人の共感を得たのではないか。

「ペンと箸」で描かれていたことも一面の真実(忖度はあったかもしれないが)であり、「ど根性ガエルの娘」の内容とはもしかしたら矛盾しないのかも知れない、この巻を読んで得た感想だ。


(3巻の結末で終わりで良いように思うのだけど、え、4巻があるの?どうするの?)
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