藤本タツキ著
読寒波により荒廃し、「祝福」という各人異なる超常力を持つ者達が統べる世界。幼いアグニとルナが身をよせた村は、消えない炎の祝福を持つドマによって殲滅された。回復の力をもつアグニは炎に包まれたまま生き続け、復讐を誓う。オフビートな即興的展開。
最近読んだ漫画「人形の国」が味付けこそ異なるが実におんなじようなお話だった。お話の骨格が王道話である自覚があるのだろか「ファイア…」はコロコロ変わる思いつき的展開が独特。漫画は音楽とは違い絵を描く時間が必要な為、「即興」が可能かわからないが、思いつきの速度で「よくある話」からずらしてずらしまくる、或いは逃げて逃げまくる感じ。これもジャンプ伝統芸?「少年の人形遊び」的作劇なんだろうなあ、と読みながら思う。
この漫画にかぎらないが、人々の生死の扱いがとにかく軽々しく、しかもふざけている。子供の肉体が毀損(切断)される描写などは不愉快だ。
すでに物語は描き尽くされ?ていて、最大公約数、あるいは背骨のような「型」がある。明文化されているわけでは無いのだけれど、そういうものはあるのだろう。便宜上、物語の「王道」と読んでいる。
主人公を越える暴力を持つ女性?が登場し自主映画の為アグニに演技を強要する等、珍妙な作中内作品展開などに見る即興性?は、過去の膨大な物語記憶に対する対処手段のひとつなのかもしれない。