道楽人日乗

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映画「レッドタートル ある島の物語」

2017-05-31 11:40:21 | アニメ感想

マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督

男が一人、無人島に流れ着く。彼は島の古竹で筏をつくり何度か脱出を試みるが、その都度何者かが妨げる。大きな赤い亀だ。物語は予想外の展開を見せるが、終ってみるとまるで民話のよう。そして胸に迫るのは人生の儚さ。まるで一場の夢のようだ。

81分の台詞も無いきわめてシンプルなお話。背景の細部に至るまで描線で囲っている緻密な画風に圧倒される。人物の目が黒丸のタッチに色気は無い。そしてタルコフ的な浮遊描写。
退屈するかと思ったらそんなことはない。傑作だと思う。

男は、飛翔する夢や、砂浜の四重奏奏者の幻を見る。そして再び現れる亀。その意味を考えると胸が痛み、象徴のひとつひとつに目を凝らした。優しくあたたかな結末にほっとすると共に涙がちょちょぎれる。男の後半生は幸せだった。真実はひとつとは限らない。

昨日見てきたばかりの「夜明け告げるルーのうた」そして「崖の上のポニョ」に似ているなあ、と鑑賞中から思う。劇中の自然災害まで共通している。異類から恋われること、そして別れ。夕鶴や雪女、人魚姫など物語の原型がそこにはあるのだろうか。


この監督の前作の短編は以下の名前で検索すると、現状では見ることができます。
●「The Monk and the Fish」6:32
●「Father and Daughter」9:22(日本題名・岸辺の二人)

「僧侶と魚」は、とある僧侶がたまたま貯水池で魚を見つけて、気になって仕方が無い(食べたい?)お話。お話はあらぬところへころがる。見ようによっては「レッドタートル」にとてもよく似ている。
「岸辺の二人」は、何処へか去った父を慕う娘のお話。影絵のようなシンプルな画面に少女の人生が描かれ、涙をさそう。傑作。父は何故去ったのか、家庭を捨てる男を描いたという見方をした人がいたが、僕には身を挺して少女を救った父というふうに見えた。
いやあ、ほんとにこの2作を見ると「レッドタートル」がさらに味わい深く感じる。

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「レッドタートル」へのネタバレ? 的私見のつぶやき



男が見る飛翔する夢や、四重奏の幻覚は、男の理性が現実から離れようとしていることをあらわしているように見える。
サードマン現象? 男は、狂ってしまったのか。あるいは死の間際に夢を見たのか。
たとえ一場の夢だとしても、男にとって、それは真実だったのではないだろうか。
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